12.31.2011

12/204

今年は多忙につき? 見る本数も減ったが、 それでもエントリーしなかったものを含めて204本は見たんだなあ。 そんななか、 いつものように半端な数のマイ・イヤーベストを。 邦題の付いてなさそうなものは日本公開未定、 邦題があってもボールドになっていないものは、 いわゆる 'ダメ邦題' という意味^ ^

ブルーバレンタイン Blue Valentine » 詳細
脚本・監督 デレク・シアンフランス/ライアン・ゴズリング ミシェル・ウィリアムズ 

ロストガール Welcome to the Rileys » 詳細
監督 ジェイク・スコット/ジェームズ・ガンドルフィーニ クリステン・スチュワート

FLIPPED » 詳細
監督 ロブ・ライナー/マデリン・キャロル 

Another Earth » 詳細
監督 マイク・ケイヒル 脚本・出演 ブリット・マーリング 

Catfish » 詳細
監督 アリエル・シュルマン+ヘンリー・ジュースト 

Megan Is Missing » 詳細
監督 マイケル・ゴイ 

I'M HERE *短編  » 詳細
監督 スパイク・ジョーンズ 

フェイク・クライム HENRY'S CRIME » 詳細
監督 マルコム・ヴェンヴィル/キアヌ・リーブス ヴェラ・ファーミガ 

エンジェル ウォーズ SUCKER PUNCH » 詳細
監督 ザック・スナイダー/エミリー・ブラウニング アビー・コーニッシュ 

冷たい熱帯魚 » 詳細
監督 園子温 

ばかもの » 詳細
監督 金子修介/成宮寛貴 内田有紀 

タナトス » 詳細
原案 竹原慎二 監督 城定秀夫 

こうして見るとあいかわらずのランダムな趣向で、 選んで映画を見る向きには上の方がドラマ、 下が邦画、 まん中あたりにホラーその他となっていて、 また [気に入った!] タグからも一覧できるのでご参考までに。

あの地震が今年のこととは思えないほどに記憶は遠のき、 淡々と時間だけが過ぎてゆく毎日。 先日亡くなった森田芳光監督のご冥福を祈りながら・・

さよなら2011, SEE YOU NEXT YEAR !

12.30.2011

PENGUIN EGG EMERGENCY HATCH HOW 
「空飛ぶペンギン」



原作は1938年に書かれた児童書というから、 年代物を引っ張り出したものだ。 しかし設定は大胆に置き換えられ、 静かな街のペンキ屋がNYの地上げ系不動産屋になっている。 といっても原作は読んでない^ ^

冒険家だった父は家にはほとんど帰らず、 寂しい少年期を送ったポッパーだったが、 それでもときおり父から届く無線連絡は彼をワクワクさせた。 30年の後、 彼は不動産屋として成功していた。 共同経営者に名を連ねようかというタイミングで、 最後の課題として買い取りを命じられた古いレストランは、 父との数少ない思い出の場所だった。

そんなある日、 父が世界の果てで果てたの知らせが届き、 遺産としてペンギンが送られて来る。 二人の子どもがいても現在は離婚して高級マンションで独身貴族のポッパーだったが、 この知的な?動物が舞い込んだことをきっかけに何かが変わり始める。 父との絆、 家族の絆を取り戻すかのように。

こうして書くと、 笑いあり涙ありの '乞うご期待' 作品に聞こえるが、 けっして出来はよくない。 ジム・キャリーは嫌いじゃないので楽しみにしていたが、 老けたな、 という印象しか残らず、 笑えもしなければ、 ホロリとも来ない。 (ましてやポロリはない..) けっきょくCGのペンギンがかわいい? というだけの、 いまどきディズニーでもやらないご都合主義なファミリータッチになってしまった。

細かいことを言い出すと切りがないが家族像が型通りすぎるし、 室内を氷の国にしたり、 飛べない鳥を飛ばしてみたりと、 いまどき子どもでも喜ばないんじゃないかというシーンのオンパレード。 子どもの希望を意識して、 別れた夫婦が元の鞘に納まるなんて愚の骨頂も用意されている。

これは公開されなくてもぜんぜん惜しくないし、 DVDスルーすらしなくてOK。 しいて言えば "Pフェチ" の秘書が "Qフェチ" の男と出会うなどという、 どーでもいいような周辺部分のほうが冴えていた? いつか、 どこかで乞うご期待。 エントリータイトルは孵らない卵を孵そうとポッパーがGoogleに打ち込む検索ワード。

(追記5/30) こんな邦題になってスルーされるもよう。



空飛ぶペンギン (原作題:ポッパーさんとペンギン・ファミリー) (2011) 日本未公開 
Mr. Popper's Penguins
監督 マーク・ウォーターズ 原作 リチャード&フローレンス・アトウォーター 
ジム・キャリー カーラ・グギーノ アンジェラ・ランズベリー 
オフィリア・ラヴィボンド マデリン・キャロル 

12.29.2011

何も感じない・・ 「永遠の僕たち」



デニス・ホッパーの息子さんが主演ということだが、 1990年生まれというとかなり晩年の子どもなんだな。 髪の毛ボサボサのナイーブな青年という役柄だが、 ときどき真顔をすると親父似で多少恐い^ ^

ナイーブな青年はカミカゼ特攻隊の幽霊が唯一の友だち、 他人の葬式で余命3ヶ月の女の子と出会うというシナリオは、 ジェイソン・リュウという人が書いている。 村上春樹原作を映画化した 「神の子どもたちはみな踊る」 (2008) に出てた人らしい。 こういう話が好きな人にはいいのかもしれないが、 格別のフックなどはなし。

前半は淡々と見れて、 音楽もNICOなんかがかかるので古い映画を観ている気分。 ああガス・ヴァン・サントなんだと思いながらも予定通りに話は収束し、 ショートカットのミア・ワシコウスカを含めキャスティングもディテールも悪くないように思うが、 特筆すべき何かがあるわけでもない。

あまりにも淡々とした小品すぎて拍子抜けするのだが、 それも狙いなのか、 外しなのか。 加瀬亮は坊主頭で特攻隊の幽霊を好演しているが、 へえ、 英語もソツなく、 と思う以上でも以下でもなく、 自分の感覚がおかしいのか、 この時期の公開がミスマッチなのか、 感想はと言うと "何も感じない" なのだ。 ヘンな話も暗い話もマイナーな話もけっこう好きなはずなのに、 困ったなあ・・^ ^ しいて言うなら、 自分の生きた証を描くかのような上のポスターのシーンやハロウィンでの日本趣味コスプレはキュート、 かな。


永遠の僕たち Restless (2011) 日本公開12/23~ 公式サイト・予告 
監督 ガス・ヴァン・サント 脚本 ジェイソン・リュウ  象のロケット 
ヘンリー・ホッパー ミア・ワシコウスカ 加瀬亮 

12.26.2011

ありがとう 森田監督



森田芳光監督が亡くなったと聞いて、 正直、 愕然とした。 と書きながら "愕然" ってどういうことだろう、 なんて疑問に思ったりもする。 英語で言えば shocked か。 そう、 ようするにショックを受けたわけだ。 人間、 いつかは死ぬ。 それはわかり切ったことなのに、 まさか、 あんな憎まれっ子が、 こんなに早く。 。 と。

スティーブ・ジョブズのときは みんなが騒ぎすぎるので 淡々と追悼するしかなかったし、 立川談志師匠については詳しくないし、 金正日氏にいたっては黙祷するしかないが、 それにしても ここしばらくの内に、 蒼々たるメンツが去っていったものだ。 そしてこのタイミングでか? という監督の訃報だった。

その昔、 とんねるずのオールナイトニッポンに監督がゲスト出演した際、 「そろばんずく」 (1986) の頃だ、 自分の投稿が取り上げられたくらいにしか付き合いはないが、 観客としてはその頃からずっとファンだった。 自分の邦画嫌いを治してくれた人でもあるし^ ^ 「家族ゲーム」 (1983) が国内の賞を総なめ、 NYの映画祭など海外でも話題になって、 自分はYMOとか、 逆輸入品に弱かったんだろうな。 ビビッとくるものがあった。

それでも角川映画でアイドルっぽいものを撮ったり "巨匠宣言" なるものを発したりと、 面白い人だった。 調子にも乗ってたんだろうな、 「メインテーマ」 (1984) には一瞬、 えっ?! と思うシーンがある。 万座ビーチの白い砂浜で四駆を運転する野村宏伸のゲジ眉が数秒間だけ、 さらにゲジゲジになるのだ。 気づく人も少ないかと思うが自分などは、 遊んでるな、 と思う反面 「エクソシスト」 のサブリミナル効果のように 'えも言われぬ' 何かを感じた。 眉毛ひとつでサブリミナルとは、 監督ならではに違いない。

"巨匠宣言" というのはメジャーデビュー作 「の・ようなもの」 (1981) で自分自身のための映画は撮ったから、 これからはお客さんのために撮る、 というような趣旨だったと記憶しているが、 そうして選んだ原作は夏目漱石。 「それから」 (1985) の出だしで、 松田優作の後ろ姿をカメラがヌっと なめるように撮る あのヘンな感覚も印象的だった。 そう言えば初期の監督はワイドレンズの歪んだ画面の使い方が上手かった。 以後、 邦画でもこうした映像をよく見かけるようになった気がする。 いろんな部分、 先駆的だった。

先述のメジャーデビュー作も、 30才までコピーライターを志したりしながら、 ほとんどプータローのようだったという監督が、 ハッタリにハッタリを重ねて世に出したことは知る人ぞ知る逸話だが、 有名なところでは、 まず配給を決めてから撮影に入ったこと。 配給が決まっているんだから、 役者に話を持って行きやすくなって、 結果いいキャスティングができたらしい。 撮影現場では "ワラって" などの現場用語を知らず、 わかったふりをしてメガホンを取っていたので、 さまざまな混乱も生じたとか^ ^

ベストセラーを原作にしながらも興行成績のパッとしなかった 「キッチン」 (1989) だが、 日本映画の質感アップという大きなテーマがあった。 しかし当時で思い出すのは、 テレビで おすぎがこれをケチョンケチョンに言ってたこと。 その内容をよく聞いてみると、 ようするにおかまの描き方が気に入らなかっただけのようだが、 作品のみならず監督のことをあまりにも暴力的にこき下ろすものだから、 鼻っ柱を折られた監督はこのあたりから少し変わったように思う。

失楽園」 (1997) で実際に巨匠の仲間入りをしたのかもしれない監督だが、 このあたりから自分的にはテンションが落ちた。 にもかかわらず 「 (ハル) 」 (1996) は恐らくは現場用語も習得して? 演出力も上がったのか、 グッと来させられた。

と思えば、 21世紀になってひさびさに劇場で見た 「海猫」 (2004) はつまらなかったなあ^ ^

そうこうして近年は、 なんとなく初期の雰囲気を取り戻しつつあるかのような小粒でオリジナルな作品と、 巨匠としてのリメイク大作などが交互に来て 両極に揺れる不思議な監督だったが、 総じて森田嫌いの人にもよく遭遇した。 まあ好き嫌いがはっきり出るのはいいことだ^ ^ まだまだ、 もうひと波乱ほしかったところに残念な知らせだが、 追悼の意味を込めてアンオフィシャルに書かせてもらった。

そうそう忘れてはいけないのが、 駄作と言われながらも自分のなかではナンバーワンのこの作品。 「ときめきに死す」 (1984) は沢田研二扮するヒットマンが、 新興宗教の教祖を狙って準備をする過程を描いた作品で、 説明しがたい雰囲気に満ちた映画。 メインディッシュより先にデザートを食べる男という描かれ方に、 表層と深層が入れ替わるような不思議な感慨を覚えて、 当時マネしたりしていたものだ。 ってバカか俺は。 。 いやあ渋い映画だったよ。

ひととおり思い出したことは書き連らねられたかな。 もっともっと書けるかもしれないが草葉の陰でクシャミでもされそうなので、 このへんにしておく。 ありがとう、 監督。 最後の作品、 楽しみにしています。 ではまた、 いつか。

12.24.2011

その目つき 「タナトス」



ひさびさに邦画で、 しかもスポ根。 ボクシングがスポーツか格闘技か、 あるいはそれ以外かはわからないが、 スポ根と言い切ってしまえるほど能天気なものでもないかもしれない。 が青春物とは言える、 ある必要不可欠なベタさとさわやかさのある作品で、 想像以上に面白く一気に見てしまった。

原作のマンガも知らないし、 原案の竹原慎二さんもよく知らないが、 実際に凄いボクサーだった人らしく、 現在は辛口人生相談でも話題の人。 そちらも読んでみたら痛快で面白い。

ゴーオンゴールドこと徳山秀典、 仮面ライダーガタックこと佐藤祐基の二人を擁して一見アイドル映画のようだが、 二人の目つきはなかなかよくて、 この映画の要となっている。

自分の置かれた境遇をバネに急成長する過程を描いているだけとも言えるが、 それだけで十分とも言え、 むしろそのスピード感や偶然の出会いが織りなす、 捨てる神あれば拾う神あり、 みたいなベタさが自分的には好きだ^ ^ 誰に教えてもらったわけでもないのに、 自然に繰り出してしまった "下がりながらのカウンター" ・・ シビレる^ ^


タナトス (2011日本) 公式サイト 
原案 竹原慎二 原作 落合裕介(コミック)  
監督 城定秀夫 
徳山秀典 佐藤祐基 平愛梨 渋川清彦 大口兼悟 大嶋宏成 升毅 梅沢富美男 

12.17.2011

神様ヘルプ THE HELP



たまには 'いい' 映画も入れとかないと・・ ということで、 賞取りの話題もちらほら聞く このへんを見てみた。 いかにも 'いい映画' という感じで持って来られると敬遠しがちな自分としては、 できるだけ先入観のないところで早めに見てしまうのが吉かと。

いい映画と言っても難病ものでもなければ説教くささもないので ありがたいが、 いまどき黒人問題が扱われていた。 しかし黒人の大統領が出たからと言って "いまどき" にしてしまうほど問題は軽くないのだろう。 舞台は60年代、 まだ大半の黒人女性はメイドあるいはヘルパーになるしかなく、 またおおかたの白人女性も誰かの妻に収まるしかなかった。

そんななか23才のスキーターは作家を志し、 黒人のメイドたちからリアルなエピソードを聞き出すことで本を出版する。 彼女自身も黒人のメイドに育てられ、 落ち込んだときには励まされ、 実の母以上に近しい存在だった。 そんな彼女がエピソードを聞いたメイドも小さな女の子の面倒を見ていて、 子どもを抱いたことすらない実の母より慕われていた。 自分の本当の息子を差別的空気の中で失ったというのに。

公民権運動のニュースがテレビに流れるとスイッチを切られるミシシッピでは、 KKKや威圧的な態度に出る白人もいる。 黒人の教会は "汝の敵を愛せ" と教えるが何をしてくれるわけでもない。 こう書くと固い社会派のドラマに聞こえるが、 そこはやはり今の映画であって、 意外に軽やかに変化は訪れる。 作家志望のスキーターをはじめ、 少し浮いた白人に最初から支配者意識はなく、 南部の人の多くも、 問題がないわけではないと思っていたことが伺い知れる。

エマ・ストーン演じるスキーターは地元の新聞社での面接の際に、 推薦状は? と聞かれて一通の手紙を取り出すが、 これが何と他社からの不採用通知。 今回は見送らせていただきますが、 才能はお持ちです、 みたいな文面を逆利用する図太さで採用される。 ドラマが進むにつれスキーターより、 ともすればマリリン・モンロー風なセリアの方が印象的になったりもするが、 あの時代の南部にタイムスリップして、 この物語をいま体験しているような軽妙な臨場感がある。

日本公開は来年春先とのこと。 新しい生活を始めようとする人にとっては何かしらの はなむけのメッセージとなる映画ではないだろうか。 乞うご期待。




ヘルプ 心がつなぐストーリー THE HELP (2011) 日本公開2012.3/31
監督 テイト・テイラー  公式サイト 
エマ・ストーン ヴィオラ・デイヴィス オクタヴィア・スペンサー 
ブライス・ダラス・ハワード ジェシカ・チャステイン アリソン・ジャネイ 
シシー・スペイセク