5.30.2013

一人称・単数・過去 「マニアック」



イライジャ・ウッドはこの仕事、 断るべきだったね^ ^ 1980年製作の同タイトル作のリメイクということらしいが、 そっちは未見。 ポイントは皮剥ぎかと思うが、 その昔、 確か東京タワーの下に蝋人形館があって、 そこで見た頭の皮を剥ぐインディアンほど恐くはなかった。 マネキン、 マザコン・・ リメイクの意図にもピンと来るものがなく、 突如やって来たヘンな映画でしかないような。 。

これが本物のPOVとばかりに99%が一人称の映像で、 サイコ野郎フランク自身の姿は鏡を通してしか映らない。 (ラスト以外) そのあたりは徹底していて悪くはない。 フランクをパンダウンしていくと下半身がマネキンになっているところなどは笑える。 (オリジナルにもあったのだろうか)

一般には超グロ映画かもしれないが、 まあ大したことはなく、 梅雨入りしてどんよりした空の下、 こんな映画を誰が見に行くのだろう。 フランス人の監督だからだろうか、 LAがLAらしくなく (地下鉄などが出てくるせいもあり) それはそれで物珍しいが、 夜のLAは夜のパリより寂しげで、 リメイクなのに80年代の映画を見た気がした。 乞うご期待。 。


マニアック MANIAC (2012フランス・アメリカ) 日本公開2013.6/1
監督 フランク・カルフン  公式サイト・予告 象のロケット 
イライジャ・ウッド ノラ・アルネゼデール 

5.28.2013

観客を消すマジック?! The Incredible Burt Wonderstone



10日ぶりくらいのエントリーになる。 その間もマメに見てはいるのだが、 幸か不幸か未エントリーとなる作品が続いた。 鑑賞の時間はまさにマジックのように消されてしまったわけだ。 そこへ、 この新作! スティーブ・カレルとジム・キャリーが共演するというアグレッシブな作品だが、 いつもながら日本公開も決まらず。 確かにポスターのビジュアルの通り微妙な部分も多い作品ではあるが、 荒技に満ちたコメディ大作には違いない。

IMDbでまた上手い評を見た。 “Meandering film with no laughs" 紆余曲折ありすぎの笑えないコメディ・・ ということだが、 実際に読めないストーリー展開ではある。 いじめられっ子が誕生日プレゼントにもらったマジックセットで目覚める。 体の弱い子は彼のマジックに魅了され30年後、 二人はラスベガスのステージに立っている。

・・と思えば突如、 名声を勝ち取った二人の前に現れる、 新進気鋭のストリートマジシャン。 その過激で新しいパフォーマンスはマジックを超えた新時代のマジックとも評され、 対して古くさいと評されることとなった二人は、 一方の女グセの悪さも災いし、 コンビを解消し落ちぶれてゆく。

老人ホームでの慰問公演で、 かつて少年をマジシャンへと駆り立てた老マジシャンに出会う。 マジックのスピリットを取り戻し二人はコンビを復活、 さらに紅一点を加え、 新旧マジシャンバトルとなって大技の応酬となるエンディング・・ とまあ少しアップダウンがきつい。

そんなストーリー運びのせいで前半はあまり笑えないが、 老人ホームのあたりからはようやく流れも落ち着いてコメディらしくなり、 結果なかなかインクレディブルだったんじゃないの、 という不思議な作品。 ジム・キャリーもひさびさの 'らしい' キャラだし、 オリヴィア・ワイルドも印象的。

デビッド・カッパーフィールドが特別出演するなど、 マジック好きには嬉しい作品かもしれない。 最後に親友チームが繰り出すのは“観客を消す"という、 かつてないマジックだが、 その舞台裏を見せながら終わる雰囲気などはオシャレ? 乞うご期待!




The Incredible Burt Wonderstone
俺たちスーパーマジシャン (2013) 日本未公開
監督 ドン・スカーディノ 
スティーブ・カレル スティーブ・ブシェミ オリヴィア・ワイルド 
ジム・キャリー アラン・アーキン 

5.16.2013

ヘンタイスタイル MOVIE 43



出演者はイメージダウンも覚悟、 説得されたか乗せられたか金を積まれたかの強者揃い。 オムニバスで軽妙にカムフラージュされているものの、 完全下ネタオンリーのお下品コメディ。 内向きと言われるアメリカ社会が、 内を向きすぎて裏返ってしまったかのような、 グローバルなわかりやすさも秘めている? movie 43というのは少年たちが探す架空のマル秘動画の出まかせファイル名だが、 それをクリックするごとに飛び出すのは摩訶不思議な変態ストーリーのオンパレード^ ^ おいおい、 なエピソードをスタイリッシュにラッピングするのがトレンドになるかもしれない。

とくに気に入ったわけでもないが、 数か所大笑いした。 しかし勝手な理由で笑ったのかもしれない。 パーソナルな笑いの入る余地のある、 ある意味 検閲されてないシナリオと言えるかもしれない。

さわりだけを書いてもネタバレしそうだから、 以下、 見る予定の人は流してほしい..

のどチXコならぬ のどキXタマにドギモを抜かれる。 “The Catch"
学校はダメだから家が学校、 でも10代の貴重な体験はさせたい。 “Homeschooled"
彼女はスXトロが趣味。 “The Proposition"
深夜スーパーのレジで愛の告白。 “ Veronica"
さらなるイノベーション! “ iBabe"
スーパーヒーローたちの婚活。 “Super Hero Speed Dating"
プレゼントには小人をあげる。 “Happy Birthday"
気のあう二人。 “Truth or Dare"
感動のスラムダンク! “Victory's Glory"
変態ネコ現わる。 “ Beezel"

その他パロディCM風なものと冒頭の動画探索のエピソードで構成される。 破壊的な笑いに、 乞うご期待!





ムービー43 MOVIE 43 (2013) 日本公開8/10 公式サイト
監督 ボブ・オデンカーク 他 オムニバス
ヒュー・ジャックマン ケイト・ウィンスレット ナオミ・ワッツ 
エマ・ストーン クロエ・モレッツ ユマ・サーマン 
ハル・ベリー エリザベス・バンクス リチャード・ギア
他 豪華キャスト

5.07.2013

目には目を、暴行には肛門を 「7DAYSリベンジ」



8才の娘が暴行・殺害され、 犯人はすぐにみつかりDNA鑑定でもクロとなる。 しかし収監されても25年だろうという予定調和に納得のいかない父は、 犯人を拉致、 山小屋に監禁してイタぶり、 7日後の娘の誕生日に殺そうという復讐計画を実行。 娘の死体は痛々しいリアリティがあって、 王道の復讐ものながら、 これはイケるかもしれないと思って見た。 ところがどっこい。 。

前半は静かなトーンで淡々と進み、 うちの娘も気をつけないと、 などと思いながら見る。 しかし監禁してからはダラダラとビールばかり飲んで、 思い立ったようにハンマーを犯人のひざに振り下ろしてみたり、 チェーンでムチ打ったり、 父は医者なのでメスを取り出して、 いよいよかと思えば何を考えたか人工肛門をつける手術・・ は?

逆探知回避のシステムを入れて、 余裕で警察に電話してきたりするが、 最後の殺すという計画は実行できず、 また自殺もしない。 強盗に妻を殺された刑事は共感を持ってこの父親を追うが、 刑事の顔を見たとたん父は "殺さなかったよ" などといい子ぶって話す。 じゃあ何だったんだ? 人工肛門をつけるだけの復讐劇なんて話にもならない。 何でまた人工肛門なんだ? 7日という設定すら何の意味もない。 ん? カナダ映画だったか・・ フランス語圏はとくにヌルいのか。



7DAYSリベンジ LES 7 JOURS DU TALION (2009カナダ) 日本未公開
監督 ダニエル・グルー 
クロード・ルゴー レミー・ジラール 

カセクシス 「ルーム205」



“サム・ライミ絶賛 ハリウッドリメイク決定!"とかで、 いちおう見てみたものの、 予想以上につまらない。 心理学的なフックがあるにもかかわらず、 心理的にも生理的にも恐くない。 主役のジェニファー・ウルリッヒはドイツのアイドル的な存在なのかと思えば、 のっけからベッドシーン。 それはいいとしても^ ^ このところ思わずエントリーしたくなる作品に恵まれない。

大学に通うことになったカトリンは父の反対を押し切って学生寮に入る。 部屋は205号室、 前の住人が行方不明となっている いわくつきの部屋らしい。 彼女にかかわってくる数人の上級生が次々と謎の死を遂げる。 現れるのは赤ずきんちゃんのようなフードを被った化け物・・ と、 ここでイヤな予感がした。

カトリンの母は自殺していて、 シーンは出てこないが異常な死に方だったらしい。 精神を病んでいたとのことで、 自分にも同じ傾向があるかもしれないと悩むカトリンだが、 常用していた薬を寮に来て切らしてしまう…。 赤いフードを被ったゴーストは行方不明となっている前の住人か、 あるいは母か、 それとも自分自身? そんな推理を誘発しておきながら、 それを計算したような進行はしない。

やがて一通りの結末を迎え、 最後にちょっとした落ちがあるが大してショッキングとも言えず。 。 奇しくも“フードを被ったホラーはつまらない伝説"が更新されてしまうかたちとなった^ ^ ハリウッドリメイクにも乞うご期待。 エントリータイトルはクルマでエッチ、 ではなく劇中で引用されるフロイト精神分析の用語で、 衝動や欲求、 好悪の感情など心的エネルギーがいつまでも続くことを言うそうだ。 ネガティブなカセクシスすなわち怨念か。




ルーム205 205: ZIMMER DER ANGST (2011ドイツ) 日本未公開
監督 ライナー・マツタニ 
ジェニファー・ウルリッヒ アンドレ・ヘンニック