7.10.2015

人を見る目 「ドラフト・デイ」



アメフトはぜんぜん知らないし、ケビン・コスナーのファンでもないが、なぜかウォッチリストに入っていたので見たら悪くなかった。ドラフトと言えば日本野球での一昔前の状況しか知らないが、こんな公認の裏取引きのようなことがあるのだろうか。

コスナー演じるジェネラルマネージャーのサニーは、ライバルチームと取引して、向こう3年分の「一巡指名権」と引き換えに花形選手ボー・キャラハンを獲得する手はずとなる。花形ではあるが棚ぼたのこの選手についてよく知らず、急きょ調査。当然ながら成績は良く、事件も起こさず、どこにも欠点はないかに見えたこの選手だが1つ気になることがあった。彼の21才の誕生パーティにチアリーダーは多数来たが、大学のチームメイトが誰一人として来なかったというのだ。

サニーはオーナーからも花形選手を採れとプレッシャーをかけられ、キャラハン獲得の噂に外野は盛り上がったが、ギリギリまで最終決断を先延ばし、タイムリミットの数分前にようやく答えを出す。誰が何と言おうと自分が見込んだ選手を集め、自分のチームを作るのが俺の仕事だ。それがサニーの結論だった。クビを覚悟で結論を出したサニーは吹っ切れて、その後は次々と新手の取引きを繰り出す。

鳴り物入りの破格な契約金で獲得しても想定通りに活躍してくれるとは限らないのが世の常だろうし、ましてやこのところ芳しくないチーム。人を選ぶというのは難しいことだろう。だから成績で選ぶ?他人の評価を総合する?そういう尺度が働く世界では世渡り上手が有利だろう。キャラハンはまさにそういうタイプだった。どんな質問にもソツなく答えるが、サニーは歯ごたえを感じず。

NFLドラフトの長い一日を切り取って、映画としてじゅうぶん成立しているわけだが、人を見る目というものがあやふやになっている状況がアメリカにもあるからこそ取り上げられたのだろうし、アメリカ臭い題材でありながら、ハリウッド映画が内向になったと言われる昨今、意外に内向きではない内容を持った作品ではないかと思う。また人事部長などにも見て欲しい作品と言える。

ドラフト・デイ DRAFT DAY (2014) 日本公開2015 公式サイト
監督 アイヴァン・ライトマン 
ケビン・コスナー ジェニファー・ガーナー エレン・バースティン