3.30.2014

18歳は6+6+6 「パラノーマル・アクティビティ/呪いの印」



パラノーマル・アクティビティ」 の5作目かと思ったらスピンオフらしい。 やたらスペイン語が飛び出すので言語選択を間違ったかと思ったが、 なぜかラティーナ狙いとのこと。 この手のものも意外にひさしぶりだったので、 飽きもせずに見たが想像以上に相変わらずだった^ ^ いちおう注目株ということで日本公開の早いこと。 他もこの調子で公開すりゃいいのに。

怖がらせかたは普通、 怖いものは数えるほどしか出ないが、 シリーズに一貫したユルさのなかで、 中庭を囲んで数世帯が暮らすアパートなど、 ラティーナ的日常がそれなりに描けている気もした。 友達が誘拐されたことを告げると、 近所のタトゥいっぱいのアンちゃんがショットガン持って繰り出してくれるところとか。 。

まあ春先から劇場で見る映画ではない気もするが、 作品中には卒業のシーンもあるし、 ユルこわさを楽しみながらそれぞれの新生活を迎えるのも悪くない。 エントリータイトルは、 なぜ18歳が悪魔の年齢かという説明より。 乞うご期待。

» パラノーマル・アクティビティ シリーズ 


パラノーマル・アクティビティ 呪いの印 (2014) 日本公開4/11 公式サイト・予告
Paranormal Activity: The Marked Ones  象のロケット 
監督 クリストファー・ランドン 

3.26.2014

美しい手書きの手紙ドットコム “her”



離婚手続きを催促されながらも男は未練がましく、 元妻になろうとする妻との出会い、 輝いた日々を思い出している。 そんなある日、 男は新型のOSを手にする。 そう、 OS‥ iOSやMacやWindowsと同じオペレーティング・システム。 こう見えて、 この映画はSFなので (非常に近い未来ではあるが) 最新型のこのOS1は、 ベタな名前ながらSIRIを進化させたような、 音声でやりとりができるエージェント型のシステムだった。

テキトーなインストールのプロセスのわりに、 立ち上がってきたシステムは優秀で、 彼女は自らをサマンサと名乗り、 有能な秘書としてメールをさばき、 今日の会議の予定を男に伝える。 彼女の受け答えは品があり、 かつ面白く、 ときには自作の曲などもプレゼントするサマンサ。 彼女の尽力で男は本を出版し、 ついに離婚続きを済ませるに至る。

眠れない夜などは肉体を持たないにもかかわらず親密な交渉があり、 しかも彼女は自分の存在について悩み、 さまざまな試みや自らの手によるシステムのアップグレードまで行う。 その先にははたして何があるだろう。 男は有限の肉体と生命を持つ存在としてここに居続け、 彼女は無限のビットの隙間を飛翔する存在へと向かう。

脚本賞でオスカーを取ったとのことで、 とりあえずはオメデトー。 ポイントはオリジナル脚本ということだろう。 ともすればあっちこっちから原作を持ってきただけの映画、 リメイク流行りのなかで、 映画のためだけに書き起こされた物語の必要性と可能性を示したことは、 スパイク・ジョーンズ監督の存在意義としても前々から認めるところ。 さらにサマンサの声はスカヨハとのことで、 確かにSIRIの声よりは色っぽい^ ^

スパイク・ジョーンズの他の作品と同様に、 湧き上がるような、 漂うだけのような不思議なエモーションに彩られ、 自分的には今回は、 ま、 面白いんじゃないの程度ではあるが、 オスカーも取ったことだし名作と絶賛する人が現れても不思議ではない。 願わくばヘンに持ち上げずに、 酸いも甘いもそのまま味わって欲しいところではあるが、 何はともあれ乞うご期待! エントリータイトルは男が勤める代筆名文サービスを提供する会社 beautifulhandwritingletters.com より^ ^ 



her/世界でひとつの彼女 (2013) 日本公開2014.6 公式サイト
脚本・監督 スパイク・ジョーンズ 
ホアキン・フェニックス エイミー・アダムス ルーニー・マーラ 
オリヴィア・ワイルド 

3.09.2014

ナイスパーソン 「ファーナス/訣別の朝」



暗くて地味な作品ではあるが、 巧みな演技、 あるいは演出によってグイグイ見せられる1本。 furnace というのはカマドのことらしいが、 閉鎖が予定されている製鉄所のある町。 兄はそこで働き、 彼女と暮らし、 病床の父の見舞いを欠かさず、 フラフラしている弟の面倒もきっちり見るという、 兄の鏡のような男。

しかし断りきれなかった酒、 帰りの運転での事故で実刑を食らう。 刑期を終えて出所しても いい兄貴っぷりは変わらなかったが、 状況は一変していた。 父は他界、 彼女は別の男と、 そして兵役から帰った弟は荒れていた・・ と、 これ以上書くとネタバレになりそうで止めておくが、 兄は、 いい兄のまま一線を越えてしまう。 いかに良い人でも、 閉塞した世界では清々しくいられない悲劇とでも言えばいいのだろうか。

IMDbのレビューによると、 これは現在のアメリカの多くの町の、 正確なポートレートということだ。 テンポはいいがストーリーに意外性はなく、 教訓などをとくに ほのめかすこともないまま淡々と終わるが、 正確に描写したのはいいとして、 果たしてどうすればこうならなかったのだろう。

兄はまだ幸せだった頃、 ベッドで彼女と戯れながら言う。 “二人でどこかへ逃げよう・・ でも、 この街から出たことがない” 一度、 故郷を捨ててみたら、 もしかしたら打開策が見出だせたかもしれない。 しかし故郷を捨てた時点で、 もういい人ではいられなくなっているのかもしれない。 いい人はどうすればいいのだろう^ ^




ファーナス/訣別の朝 (2013アメリカ・イギリス) 日本公開2014.9
OUT OF THE FURNACE
監督 スコット・クーパー 
クリスチャン・ベイル ウディ・ハレルソン ケイシー・アフレック 
ゾーイ・サルダナ ウィレム・デフォー フォレスト・ウィテカー 
サム・シェパード