12.31.2012

8/207


さて今年もあと数時間。 うちのブログ降霊・・ じゃなかった恒例 (またか) ハンパなランキングを入れておくか。 8/207 というのは、 今年207本見て、 そのうち8本がお気に入りということ。 4%弱か。 。 英語のタイトルはまだ日本公開もDVDスルーもされていないもの、 日本語は公開済み作品となっております。

AMBER ALERT (2012) 監督 ケリー・ベレッサ » 詳細

Alyce (2011) 監督 ジェイ・リー/ジェイド・ドーンフェルド » 詳細

精神科医ヘンリー・カーターの憂鬱 SHRINK (2009) ケビン・スペイシー » 詳細

ミッドナイト・イン・パリ (2011) 監督 ウディ・アレン » 詳細

ミスター・ノーバディ (2009) 監督・音楽 ジャコ・ヴァン・ドルマル » 詳細

ヒューゴの不思議な発明 (2011) 監督 マーチン・スコセッシ » 詳細

ゴッド・ブレス・アメリカ (2011) ジョエル・マーレイ タラ・リン・バー » 詳細

HOLY MOTORS (2012) 脚本・監督 レオス・カラックス » 詳細

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何だろうね、 このランキング。 世間的にも評判の作品と わけのわからないものが渾然一体となって。 。 そしてやや、 わけのわからないものが優勢^ ^ AMBER ALERTがベスト1? さあ来年も、 はりきってまいりましょう! では良いお年を。

12.24.2012

時間旅行のパートナー求む Safety Not Guaranteed



メリークリスマス! 人並みに忙しくて1週間、 映画を見てなかった。 何かすごく大切なことを忘れてる気がしてた。 そして、 ようやく1本。 水を得た魚のように感じる。 中毒だな。 。

しかし、 そんな1本は偶然にもクリスマスにふさわしい作品だった。 サンダンス映画祭でスタンディングオベーションを巻き起こした映画がこれ。 サンダンスらしい作品とも言えるし、 多少調子のいいところはあるものの、 ダークすぎない謎とハッピーすぎないエンディングで、 なかなかいいバランス。 たかだか映画で拍手喝采を起こすなんて、 できそうでできないものだから、 それだけでも何らかの1本だと言える。

さえない一人の女子は、 母を亡くしてから父親と二人暮らし。 インターンの身にて雑誌社で研修中。 ネタ探しの会議で挙ったのは、 タイムマシンを完成した男が、 一緒に過去へ旅立つパートナー募集の公告を出しているということだった。 こいつはアホか? おもしれえじゃないか、 ということで取材旅行。 潜入取材ということで彼女が・・。

その男はスーパーに勤める、 ややキモい感じの奴だったが、 彼女は上手く気に入られる。 男の車は往年のフェアレディZのように見えたが、 それはさておき彼女は過去へ旅してミッションを遂行するために銃撃や格闘技の訓練をさせられ、 泥棒の片棒まで担がされる。 男は政府関係者の尾行に神経を尖らせながら、 彼女になぜ過去へ帰りたいのかを聞く。 彼女は母の死を阻止したい、 あるいは最後の自分の態度を改めたいと話し、 男は共感を抱く。

かたや取材の責任者である編集者は facebookでこの地に住む元カノにコンタクト、 取材はそっちのけとなる。 もう一人、 インド系のインターンはノートパソコンをかかえた いわゆるオタクで童貞だっが、 取材の過程で一皮むけることとなる。

いよいよ旅立ちの日が来た。 しかしタイムマシンの男の話には不整合があることがわかる。 こいつは食わせ者なのか。 タイムマシンはほんとうにあるのか。 しかし彼女にもいくつかの嘘があった。 彼女は約束の場所へかけつける。 そこには川に繋がれた1台のボートが・・。

このボート型のタイムマシンが予想外にファンタスティックだし、 スタンディングオべとなる理由はよくわかった。 ラスト近くでタイムマシンの男が歌う歌もいい。 そもそもなぜパートナーをほしがったのか。 タイムトラベルでも何でも、 一人で行けばいいじゃないか。 このあたりが作品のテーマでもあり、 物語の展開には一貫してそのことが描かれる。

まだ公開予定も立たないので、 クリスマスアイテムとしてお薦めするわけにはいかないが、 まあ来年のクリスマスにでも見てくれたら幸い。 そのときは今日の時点に時間を戻して、 もういちどプッシュさせてもらう^ ^ インターン役の彼女の、 ブサイクなのか可愛いのかわからない睨みっぷりも印象的。

(追記2013.7/5) は?な邦題となってスルーされたもよう。




彼女はパートタイムトラベラー Safety Not Guaranteed (2012) 日本公開未定 
監督 コレン・トレボロー 
脚本 デレク・コノリー 
オーブリー・プラザ ベイジル・ハリス ジェイク・ジョンソン 
カラン・ソニ メアリー・リン・ライスカブ 

12.17.2012

80年代に十代だった中年グマ ted



フラッシュ・ゴードン」 がこのサンダー・バディたちのアイドルで、 セリフのなかにはシネイド・オコナー・・ そう言えば、 いたっけ。 他にも流れる曲、 聴いたことある曲だなと調べてみたらティファニーの "I Think We're Alone Now" だったりと、 80年代のオンパレード。 パソコンやスマホやテロねたが出てくるので時代は今なのだが、 セス・マクファーレン監督の頭のなかは概ねこんな感じなのだろう。

ミラ・クニス演じる彼女との出会いもディスコということになっていて、 マーク・ウォールバーグはクマとの友情を演じるだけでなくトラボルタ気分の 「サタデー・ナイト・フィーバー」 野郎にもなる。 ミラ・クニスが勤める広告代理店も後に不景気で・・ というような落ちまである。 代理店のボスも、 今ならありえないセクハラ上司だが、 その他テッドはR15な発言のオンパレードで、 実際にR15+に指定されている^ ^

その時代を生きた人にはたまらない懐かしさに裏打ちされている。 ただし、 その時代のアメリカにいれば、 という微妙なニュアンスも色濃く、 IMDbではかなりの高評価だが、 比較的速い日本公開では、 いかにズレた宣伝がなされるか楽しみな映画でもある。 ぬいぐるみが出てくるからといって子どもとは一緒に見れない、 という点も斬新?だ^ ^

後半のややホラーな味付けは効果的か ぶちこわしかは別にして、 意外にゾッとする感じがあり、 この世代のアメリカのフィルムメーカーは独自の着地点をみつけ、 内輪ウケか普遍的かは問わず、 強力な企画をずらっと並べてきそうな予感を抱いた。 乞うご期待。



テッド ted (2012) 日本公開2013.1/18 公式サイト・予告 
脚本・監督 セス・マクファーレン  象のロケット  
マーク・ウォールバーグ ミラ・クニス 
ノラ・ジョーンズ サム・ジョーンズ 

12.12.2012

頭文字P 「プレミアム・ラッシュ」



バイク・メッセンジャーを描いた映画は、 99年の邦画で1本あったが、 それっきり見かけない。 そこへ突如現れたこの作品は、 坊主頭が板についた売れっ子ゴードン=レヴィットの意味深な顔つきへのこちらの深読みとは裏腹に、 きわめてわかりやすい、 ようするに自転車版カーチェイスだった。

ちなみにバイクは自転車のことで、 日本で言うところのエンジンつきのバイクはモーターサイクルと言う。 レヴィット君の乗るバイクはブレーキなし、 変速ギアなし、 スチールパイプのヘビーな乗り物だが、 彼いわく、 ブレーキなどかけない方が安定する、 ブレーキこそが死だ。

そんな彼は渋滞するNYのストリートや裏道を猛スピードで飛ばし、 衝突の一瞬前に最適ルートを判別して切り抜けるのが日課だ。 そこへセキュリティ配達の依頼。 指定時間内に安全・確実にお届けするのが任務。 それはただの封筒かに見えたが、 NYPDの借金まみれ刑事にこの配達物が狙われる。 中国のシンジケートがからみ、 過激なバイクチェイスを繰り広げながら、 安いバイト代には代えられない、 プレミアムなバイク屋としての信頼と誇りを守るべく疾走する。

アングルによって可愛くもイビツにも見えるジェイミー・チャンが、 ダニア・ラミレスをさしおいて印象的。 そして職権乱用刑事にはタイムリミットがやってくるが、 このときの中国系の組織が使う処刑法が微妙に不気味。




プレミアム・ラッシュ PREMIUM RUSH (2012) 日本未公開 
監督 デビッド・コープ 
ジョセフ・ゴードン=レヴィット ダニア・ラミレス ウォール・パークス 
ジェイミー・チャン マイケル・シャノン 

12.08.2012

屋根裏の8mm SINISTER



IMDbなどでは評価の高い新作ホラー、 ポスターのビジュアルもいい感じなので見てみた。 スティーブン・キング味のサイコ・サスペンスといった感じで前半は悪くなかったが、 ゴーストが登場するようになって急に恐くなくなった^ ^ なぜなんだろうね、 造形にこだわりがなさすぎるのか。

一時期は脚光を浴びたものの、 売れなくなった作家が家を売って片田舎に引っ越してくる。 前の学校に戻りたいと文句を言う子どもたち。 今度こそヒットを飛ばして家を買い戻すからと娘に誓い、 今日も書斎にこもる父。 彼が書く本は実際にあった事件を扱うもので、 模倣犯が現れて問題となることもあった。 今回 引っ越してきた家も、 安かったというだけでなく次回作のテーマとなる 'いわくつき' の家だった。

彼は屋根裏で何本もの8mmフィルムを発見する。 それは実際の殺人を記録したもので、 しかも "首吊り" "バーベキュー" など不気味な殺し方ばかり。 古いものは60年代にさかのぼる。 夜ごと8mmを映写し、 テレシネしてMacに取り込み、 疑問を書き連ねていくと、 別の場所で撮られたと思われる各事件はすべて未解決で、 しかも繋がりがあることがわかる。 ミスター・ブギーと呼ばれる男の存在と謎のマーク。 事件にはカルト教団が関わっているとも推測された。

しかし、 この辺りから家にはゴーストの出没が頻繁になり、 それは恐らく犠牲となった子どもの幽霊らしく、 事件の謎を暴いて本にしたいという野望と、 幽霊の影響でおかしくなる家族の安否とが量りにかけられる。 やがて作家はこの家を出ようと決心し、 夜中に大急ぎで荷物をまとめるが・・

イーサン・ホークが年期の入ったソツのない演技を見せ、 不気味な8mm映像は上出来、 プロットも悪くないように思うが、 なぜか後半からつまらなくなるのが惜しいところ。 いつかどこかで、 乞うご期待。

(追記2013.2/28)限定不足な邦題が付いて公開決定。 フッテージものっていっぱいあるのに今さら。




フッテージ SINISTER (2012) 日本公開2013.5月予定 公式サイト
監督 スコット・デリクソン 
イーサン・ホーク ジュリエット・ライランス ジェームズ・ランソン 
フレッド・ダルトン・トンプソン 

12.03.2012

森の仕事は来ないか? HOLY MOTORS



カラックスの新作、 見た。 "知的な映画体験" "アートシアターの失敗作" "死と演技に関する論文" "シュールで不気味なパリジャン・トリップ" "カラックスは実存主義のメカニックか" "面白いアイディアだが達成されていない" "うぬぼれ屋のたわごと" などとIMDbでは評されているが、 まあ、 そんな感じだ^ ^

自分的には面白かったし、 いろいろ語りたいのはやまやまだが、 あんまり言うと面白さが半減するだろうから、 あくまでさわりだけ。

ヒントその1:特殊メイク ヒントその2:オスカー ヒントその3:来世 

ハリウッド映画だけではないが、 特殊メイクやCG、 モーションキャプチャーといった最先端ハリウッド的な要素が大きくフィーチャーされている。 またドニ・ラヴァンが演じる男はオスカーと呼ばれている。 これはカラックスの本名 (ミドルネーム?) でもあるらしいが、 あえてこの名前にしている以上、 他でもないアカデミー賞のオスカーと関連づけられてしかりだろう。 冒頭のシーンで、 人形のように、 あるいは死体のように映画を見ている観客が出てくる。 また中盤ではホリーモーターズのパトロンとおぼしき男のセリフとして、 観客の美をみつめる目が衰退していることが揶揄される。

ラスト間際にかかる叙情的な曲はこんな歌詞。 もし生まれ変われるとしても、 同じ人生を一からやり直すだけだとしたら? もう一度、 あの頃を過ごしたいか、 あの冷たい水を浴びたいか・・

朝、 子どもたちに見送られて豪邸を出るオスカー。 リムジンに迎えられ、 今日のスケジュールを確認。 車が着いた先でオスカーは乞食のばあさんになっている。 杖をついて橋の上で空き缶を差し出す。

リムジンの車内で念入りに変装し、 今度はなぜかマンホールの怪人に。 テニスルックのカメラマンを尻目に撮影中のファッションモデルを強奪、 そしてやはりお金を食べる。。 (曲はゴジラ、 弁当は幕の内^ ^) リムジンを降りてプジョーを自ら運転、 年頃の娘をパーティの帰りに拾い、 シリアスな説教をしたかと思えば、 次は殺し屋、 そして次は臨終間際の老紳士。 行かないでほしいとの想いを告げる相手の女も同業らしい。 その後、 かつての恋人に偶然出会うが こちらも同業で、 これから人生最後の日のスチュワーデスを演じるという。 どこまでがプライベートでどこまでが偶然かもわからない。 しかしどんな役柄であってもタバコは吸う^ ^

そうこうして真夜中、 ハードな一日は終わり、 わずかばかりのギャラを受け取り、 いよいよ最後のアポイントとして送り届けられた一軒の家は・・

カラックスはマイペースにいい場所へたどり着いたのかもしれない。 かつての疾走感はもうないかもしれないが、 それでも一部早回しにフォローさせながら、 賛否両論は言わずもがな、 ちょっと他では味わえない映画を送り出してくれた。 乞うご期待。 俳優の人が見ると一層面白いかもしれない。 エントリータイトルはオスカーが切望する仕事。 (ヒント4:森=ウッド?)





ホーリー・モーターズ (2012フランス・ドイツ) 日本公開2013.4/6 
HOLY MOTORS
脚本・監督 レオス・カラックス 
ドニ・ラヴァン エディット・スコブ エヴァ・メンデス ズラータ 
エリス・ロムー カイリー・ミノーグ ナスティア・ゴルベワ・カラックス