10.29.2010

頑丈なテープにしとけばよかったね


更新が滞っているなか、 お茶濁しでショートムービーのご紹介。 お茶濁しとは失礼、 シンプルだが面白い。

The Black Hole


実はいまビッグイシューを準備中で、 例の 「ソーシャ・・」 なのだが、 来年1月の公開に先がけて見れることになったが、 当然 英語だし、 ハーバード大内部の知識が多少いるので苦戦してる^ ^ でも予想に違わずガンガン来る映画、 もうすぐエントリーできるはずなので、 乞うご期待!

(追記) 見た!» 「ソーシャ・・」 ^ ^

10.18.2010

「内なる殺人者」 というより、内側のない男
「キラー・インサイド・ミー」



1952年に発表された原作を唐突に持ってきて、 4ヶ国合作 ウィンターボトム監督で贈る話題作。 日本語の公式サイトは準備中のようではあるが、 公開スケジュールは未定。 これをお先に拝見した。

何でも器用にこなす監督だが、 自分的にはドカンと来たものがない。 今回も世間的にはどうか知らないが、 やっぱり 'それなり' だった。 ラストはわかりにくく未消化な気さえした。 企画が立ち上がったときの安全パイ監督の要素もあったに違いない。 しかし、 それにしても今なぜこの原作なのか。

テキサスの田舎町、 物腰のやわらかい保安官。 だが彼の内側には殺人者が住んでいた。 殺しの対象は憎い者ばかりではなく、 最愛の人でさえも。 それは愛しさ余って、 というより都合がいいからという理由で、 あっさり殺せる男。 しかも殴り殺すのだ。

顔がグチャグチャになるまで殴り、 内蔵が破裂するほどのボディブロー。 けっして たくましくは見えないケイシー・アフレックがこの行動に出たときは、 それなりにショッキング。 しかしその内面的な理由には迫らず、 理由なき理由があるとしても、 いま取り上げる理由は見えてこない。

1976年にも映画化されているが、 日本未公開。 海外版DVDジャケットの写真だけで比較すると、 今回の殺人者はソフィスティケイトされた印象。 76年の作は いかにもテキサス男なのに対し、 アフレックはテンガロンハットもやや取って付けた感じのする南部っぽくない男。 しかしこれくらいのモダナイズでは。 。

50年以上経って、 この程度のサイコ野郎はもう大したインパクトがない。 そのようにしか思えなかった。 それでもジェシカちゃんの生尻は拝めるので乞うご期待^ ^


キラー・インサイド・ミー (2010アメリカ・スウェーデン・イギリス・カナダ) 
The Killer Inside Me 日本公開2011.4/16 公式サイト 象のロケット 
監督 マイケル・ウィンターボトム 原作 ジム・トンプソン 
ケイシー・アフレック ジェシカ・アルバ ケイト・ハドソン 
キラー・インサイド・ミー [DVD][DVD]

トゥルー・グリット スペシャル・エディション [DVD] ザ・ファイター コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD] ツーリスト [DVD] 英国王のスピーチ コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD] ザ・タウン Blu-ray & DVD〈エクステンデッド・バージョン〉ブックレット付き(初回限定生産)

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10.17.2010

報復の七日間 「セブンデイズ」



似たようなタイトルがいくつもあるので印象はパッとしないが、 カナダ発フランス語の話題作。 原題は "報復の七日間"。 何気ない朝、 8歳の娘がいなくなる。 いつもはクルマで学校まで送るのに、 7日後の誕生日パーティの招待状をポストに入れながら登校するというので、 今日だけは長めの徒歩。 医者の父は夜勤明けで疲れていて同行せず、 画廊勤めの母も時間がなかった。 だが娘はそれきり帰ってくることはなかった。

同じ年頃の娘を持つ身としてはイヤな始まり方で、 すぐにさらにイヤな展開となる。 娘は草むらで死体となって発見される。 しかも暴行されたあとが・・ 容疑者はすぐに逮捕されるが、 以前にも証拠不十分で釈放となった前歴がある男。 今回は証拠もあり、 有罪にできるとのことだが恐らく刑は25年程度と聞かされ、 父は何かを決意する。 護送車から容疑者を拉致し、 森の中の一軒家に監禁。 娘の誕生日までの7日間、 ゆっくりいたぶって、 娘が迎えるはずだった誕生日をその男の命日にと・・

繰り返し取り上げられてきた題材ではあるが、 シンプルな構成でスピーディな展開。 しかしホラー映画ではないので、 どのようにいたぶるかは見せ場ではない。 父の葛藤が見せ場なのだが、 居場所をつきとめようと奔走する警察、 煽るマスコミ、 夫の行動に批判的な妻などをからめて進行する正統派ドラマと言えるだろう。

父は犯人に何かの手術を施すが、 それが何かは曖昧にしかわからず。 ところどころ未消化な感じもしたが、 一足先に見た話題作、 うちの娘に持たせているGPSを解約しようかと思っていた矢先、 このままにしておこうかという気にさせられた。 この映画の例で言えば GPSあるいはケータイを持っていてもムダだったわけだから、 どうせならスタンガンぐらい持たせるか^ ^




セブンデイズ(原題) (2010カナダ) 日本公開未定 
Les 7 jours du talion/Seven Days 
監督 ダニエル・グルー 出演 クロード・ルゴー 他 

10.16.2010

週末ホラークイーン 「シロメ」



もともとホラー映画のなかにあったエロい要素、 あるいはコミカルな要素を、 ネタ切れからか強調する方向にあるのが洋の東西を問わず、 最近のホラー映画の傾向のようだ。 多作な白石監督の今回の作品は再度フェイクドキュメンタリーではあるが、 よりコミカルな要素が強調されているように思う。 恐怖のまっただ中にあっても、 必死に歌と踊りを披露しようとする主演の "ももクロ"。 彼女たちの けなげな姿は微妙な笑いを誘う。

シロメ様という都市伝説にもとづいて、 廃校の取材に駆り出される彼女たち。 シロメ様に願い事をすると、 その願いが純粋であれば叶えられるが、 不純な場合は '連れて行かれる' という。 霊能者や怪談師?が奇妙な状況をつくるなか彼女たちは、 紅白に出たい、 との願い事をする・・

ジェニファーズ・ボディ」 のように、 悪魔に魂を売って現在の人気を勝ち取ったのではないかという 彼女たちの裏プロモーションのような結論となっているが、 肝心の彼女たちのことをよく知らない。 ファンが見たらヤバイ内容なのかもしれないし、 もしかしたらAKB48の例のプロモーションビデオより先を行ってるのかもしれない。 。 年末に向けて、 もうそろそろ発表されるであろう紅白の出演者リストが微妙に楽しみになってきた。 。

シロメ (2010日本) 公式サイト 
監督 白石晃士 
ももいろクローバー 
シロメ [DVD][DVD]

ピンキージョーンズ -初回限定盤A- (DVD付) ピンキージョーンズ -初回限定盤B- (DVD付) ピンキージョーンズ -初回限定盤C- (DVD付) ももいろクローバー 2011年 カレンダー 小中高一貫ももえび学園~ももいろクローバーの部 其の壱 (2枚組) [DVD]

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10.14.2010

愛する人よ 「ラブド・ワンズ」



トロント映画祭のミッドナイト・マッドネスとかいう賞を取って、 ホラー各誌からは "傑作" "必見" "デートに!" と評される話題作、 一人寂しくではあるが、 さっそく見てみた。 。 古くは 「悪魔のいけにえ」 から定番となっている、 クレイジーな人にとっつかまって痛い思いをするというパターンの作品ではある。 しかし今回のクレイジーちゃんは、 パパだけに愛され、 好きな色はピンク、 王子様を待っているが振り向いてくれないなら さらっちゃうという '困ったちゃん' だ^ ^

オーストラリア作品なので、 ハリウッドとは少し違うクロコダイルな雰囲気の情景。 このあたりでは過去に何件も失踪事件があり、 実はすべて、 このクレイジーちゃんの仕業なのだが、 今は高校で、 一見ただの冴えない女の子に収まっている。 冴えない女の子からダンスパーティに誘われるロン毛のイケメンくん。 彼女がいるからと丁重にお断りしたところ、 とんでもない目に合わされることに^ ^

新ネタも盛りだくさん。 おでこにドリルで穴を開けられ、 熱湯を流し込んで脳をゆでる? 10秒以内に要求を聞き入れないとクギを打たれる? 胸にフォークでハートマークを描かれる? かなり・・ だ^ ^ 果たしてイケメンくんはこの事態を切り抜けることができるのか、 それとも・・

平行して、 イケメンくんの友だちであるヘビメタ青年と彼がソソられてたまらないゴスロリねえちゃんのデートの様子も実況されるが、 これは最後まで本筋に絡んでこない^ ^ 痛い笑いが散りばめられたコメディ・ホラー、 いつか公開されたら乞うご期待!

(追記2012.4/20) 6月に公開されるそうです^ ^ 2年落ちですが。 。




ラブド・ワンズ The Loved Ones (2009オーストラリア) 日本公開2012.6/9
監督 ショーン・バーン  公式サイト 
グザヴィエル・サミュエル ロビン・マクリーヴィ ヴィクトリア・サイン 
ジェシカ・マクナミー ジョン・ブランプトン 

10.12.2010

何通りもの宇宙.. 「パレード」



原作を知ってるわけでもないのに、 見始めてしばらくすると結末というか犯人?がわかってしまった。 サスペンス作品としては致命的かもしれない^ ^ 文学的な部分はどうかというと "マルチバース" という言葉が出てきたな。 "ユニバース" が唯一の宇宙なら、 何通りもの宇宙ということらしい。 共同生活を描くこととは逆説的に 'みんな' というのは虚構に過ぎず、 自分にとってのある人は、 他の人にとっては全く別の誰かである。 集まって座っていても、 こっちに向いている顔は あっちに向いている顔とは違う。 そんなテーマがあるようだ。 へ理屈のようにも聞こえるが^ ^

雨のシーンで "パレードに雨を降らせないで" という曲名が連想されたが、 そういうニュアンスを含んでのタイトリングなのだろうか。 藤原竜也 演じる直輝は共同生活者のなかでは一番年上で、 みんなから頼られる。 直輝は映画配給会社に勤めていて 「2001年宇宙の旅」 についてちらっと話したりする。 占い師によると、 彼は変化を求めて世界を相手に闘っているが、 その世界を抜け出してもまた別の世界があるだけ、 と。 ああ、 何たる閉塞感^ ^

場所は新宿界隈・・ やっぱり新宿だろうな、 渋谷ではないな。 そこには直輝の他に三人が共同生活をしているが、 個室もあって2LDKくらいか。 思いっきりプアというわけでもない。 "ここはインターネットの掲示板のような場所" と説明されるが、 ニートハウス的なものとは違って疑似家族のような感じ。 お互いを干渉しないとか明確なルールもなさそうで、 ただ なんとなく上手くいってるといった雰囲気。 ルームシェアのメリットとして家賃負担が軽くなるとか具体的なことは語られず、 けっきょく一人は寂しい的な理由っぽい。

それぞれに何かしらの問題を抱えているが深刻さはなく、 むしろ問題は、 上記の '変化を求めて' という説明に反して、 当然のことながら訪れる変化にできるだけ鈍感に対処しようとするモラトリアム的な体質ではないのだろうか。 自分的には共感もなければ、 憧れ、 あるいは否定すら生まれないので、 同作家の 「悪人」 なども未見だが、 こういうタイプの作品が比較的 好意的に受け入れられるのが今の日本だという気がして息苦しさを覚える。 悪い作品ではないが積極的に見たいとは思わない類の映画で、 いちおう見とくべきかなと思ったものの、 やはりダルい^ ^ キャストはみな いい感じで頑張ってるんだけどね。 。

(追記) 親知らずを抜くシーンがあって、 上手いシチュエーションの作り方だと思うが、 奇しくもこれを見た翌日である今日、 自分も親知らずを抜く日だった^ ^ 奇妙なシンクロはさておき、 抜いたすぐ後で 「いま親知らず抜いたばかりで痛いんすけど」 と電話しているが、 よく考えれば嘘っぽい。 自分の場合、 麻酔がよく効いているからかもしれないが、 今ようやくそれが切れかかって、 これから痛くなるのか。 歯医者からは今日は激しい運動は避けるように言われているが、 直輝はジョギングしてたな^ ^


パレード (2010日本) 公式サイト 象のロケット 
監督 行定勲 原作 吉田修一 
藤原竜也 香里奈 貫地谷しほり 林遣都 小出恵介 竹財輝之助 

10.10.2010

The Way I Love You. 「フィリップ、きみを愛してる!」



移送されるスティーブンを追いかけて、 フィリップが中庭へ走り出すシーンにビージーズの "To Love Somebody" がニーナ・シモンのカバーで使われている。 自分などは 「小さな恋のメロディ」 の曲として記憶しているだけに、 それがこんな映画のこんなシーンに使われているだけでヘンな気分になる^ ^ それにしても実話というのだから強烈だ。

邦題ではフィリップとファーストネームだけになっているが、 原題ではフィリップ・モリス。 スーパーライトか? という感じで、 それだけでもすでに何とも言えない可笑しさが漂うが、 ジム・キャリーはコンスタントにいい映画に出てくれて嬉しい。 ユアン・マクレガーもゲイっぽい仕草などを研究してきたんだろうな^ ^

何か書くのが難しいタイプの映画で '珠玉の' とは当然言えないが、 最後には最大のギャグも用意されているし "僕たちは愛の道化だ" も名台詞^ ^ 頭が良すぎて詐欺で終身刑? 凄い人もいたもんだ。 哀しい天才の生きざまを1時間半ほどで見れるんだから、 やっぱり映画っていいもんですね。


フィリップ、きみを愛してる! (2009フランス・アメリカ) 日本公開2010
I Love You Phillip Morris  公式サイト 象のロケット 
監督 グレン・フィカーラ+ジョン・レクア 
製作総指揮 リュック・ベッソン 
ジム・キャリー ユアン・マクレガー 
フィリップ、きみを愛してる! [DVD]
[DVD]
ウディ・アレンの夢と犯罪 [DVD] ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い Blu-ray & DVDセット(初回限定生産) プレシャス [DVD] 処刑人I&IIブルーレイ・ツインパック【初BD化/初回生産限定】 [Blu-ray] 運命のボタン [DVD]

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10.09.2010

アンチ・アカデミック 「のだめカンタービレ 最終楽章 後編」



疲れて眠いタイミングで見たのに睡魔に襲われなかったというのは、 なかなかスゴいことだと思う。 劇場で見れなくてお祭り気分にはなれなかったが、 いちおうの結末は見た。 今後もスペシャル番組は作られそうだが、 あらためていい原作、 そして上手い映画化だなと思う。 当ブログは最新作やホラー志向で、 邦画もパスしてるわけではないが しばらく見てない気がするし、 とくにこんな作品をエントリーすると何となくミスマッチで気恥ずかしいのだが、 実はテレビシリーズも全部見ている自分であった。 。

千秋や友人が躍進していくのに、 のだめは開花しないどころか、 水が切れて枯れかかっている。 そんとき突然 大きな舞台が用意される。 最高の演奏を終えても "それが何だというの? 窮屈でしかたない" と彼女は感じる。

ピアノは打楽器。 そう表現するシーンがあって、 テルミンと打楽器で曲を作る人なども出てくる。 厳しい音楽教育のなかで、 あるいは音楽ビジネスのなかで苦悩する のだめは、 ここで原初的な '音を楽しむ' という感覚を取り戻す。 その才能ゆえにミューズに愛された彼女だったはずなのに、 道を究めるほどに外れてゆく。 一見アッパラパーな雰囲気の中にも、 こんなアンチテーゼが密かに内在されているところが深いなと。

このアンチテーゼは展開せずにすぐに現実に収束してしまうが、 それ以上はこちらも期待しない。 大人になることの一抹のわびしさを残しつつ ときには一人で、 あるいは誰かと歩んでいく。 ファイナルと言いつつ、 ここがスタート地点というようなエンディング。 "飛びつきたくなる先輩の背中" ・・ のだめの愛の表現はそういう形だが、 最も抽象的な芸術の物語の傍らに、 身体的でプリミティブな感覚を忘れないのも素敵。

余談になるが出演者はスクリーンの外での現実も含めて、 みな一様に疲れている気がした。 アナログ地上波時代の最後の名作と言わんばかりに。

» 最終章 前編


のだめカンタービレ 最終楽章 後編 (2010日本)
原作 二ノ宮知子 監督 川村泰祐  公式サイト 象のロケット 
上野樹里 玉木宏 瑛太 水川あさみ ウエンツ瑛士 ベッキー 
山田優 福士誠治 谷原章介 伊武雅刀 竹中直人