10.18.2014

人類よ永遠に Autómata



ポスターをちらっと見て、 ブルース・ウィリスかジェイソン・ステイサムだと思ったが違っていて、 このハゲはアントニオ・バンデラスだった。 役作りのための坊主頭のようだが、 映画ではむしろハゲはかっこいい。 画面を引き締めてくれる必須アイテムのように扱われて久しい^ ^

ロボットものSci-Fiということで可もなく不可もなく見ていると、 意外に面白い。 ブレードランナーのような感じもしたが、 いやもっと昔の暗いSF 「Z.P.G. 赤ちゃんよ永遠に」 のような香りもする。

2044年、 環境の変化とテクロノロジーの停滞により人類には暗雲が立ち込めていた。 実際、 人口の雲から降らせる雨で地球の砂漠化に対処するのが精一杯だった。 人型ロボットが普及していた。 ロボットものの型どおり、 人を傷つけない、 自己改造をしないというプロトコルが埋め込まれていたが、 改造品が現れ、 それを追う保険会社社員ジャック・ボーカン。

そもそも改変できない仕組みを設計したのもロボット自身であり、 そのリミッターは外したのではなく外れたのだということがわかる。 人類が猿から進化したように、 それは起こるべきこととして進行した。

ジャックは先の見えないこの世界で娘を授かり、 幼い頃に見た海をめざすが、 ロボットは核エネルギー炉を内蔵して自己修復し、 さらには新たなモデルを自ら開発する。 有機体でない '生きもの' を生み出すことが人類の役割だったと、 その後の歴史は語るかもしれない。 からくり人形は人間に与えられた顔を捨て、 砂漠に消えた。



オートマタ Autómata (2014スペイン・ブルガリア) *日本公開2016
監督 ゲイブ・イバネス  公式サイト
アントニオ・バンデラス メラニー・グリフィス 

10.01.2014

間近に見る星は醜くかった MAPS TO THE STARS



星への地図、 というタイトルに素敵な映画をイメージしたのも束の間、 それはハリウッドスターのことであり、 ビバリーヒルズのお宅探訪のような展開は、 いい意味で期待を裏切ってくれるとも言える。 さらに監督がクローネンバーグとわかると期待も高まる。

淡々としながらも通り一遍等ではないムードにクローネンバーグを意識しつつ、 物語はどこへも進まず、 実際に空の星になってしまうような終わり方に肩透かしな気分。 しかしまあ、 それなりに楽しめたので、 感想は控えながらも設定を追ってみよう。

ジュリアン・ムーア演じるハバナは中堅の女優。 しかし母親はもっと大女優であった。 いい人に見えるハバナの内面はかなり歪んでいるようだ。

ハバナをマッサージしながら意味不明なセリフを吐くのは、 キューザック演じるセラピストとしての成功者ワイス。 これはセラピーだったのか…。 その息子は天才子役として人気を博したベンジー。 しかし飽きられるのも早く、 年少の子役に人気を奪われつつある。

レイヤ姫ことキャリー・フィッシャーが実名でハリウッドの顔役として登場。 彼女とツイッターで知り合ったという少女が、 彼女の経験に基づく注目のシナリオを携えてやってくる。 ミア・ワシコウスカ演じるその女アガサは髪で火傷の痕を隠し、 いつも長い手袋をしていた。

火傷と言えばハバナの母親も火事で亡くなっており、 天才子役にも火事と姉の記憶があった。

パティンソン演じるリムジンドライバーは役者の卵でシナリオライターでもあったが、 意外にもコネづくりに淡白で、 そんなものに頼らなくていいよ、 と自信を漂わせる。 対する既得権者はことあるごとに世間体に気を使い、 この世界、 コネがすべてと考えている。

やがてアガタはハバナの世話役となり、 火種は再燃し、 予定調和のハリウッドは崩れ落ちる。




マップ・トゥ・ザ・スターズ
MAPS TO THE STARS (2014 カナダ・アメリカ・ドイツ・フランス)
監督 デビッド・クローネンバーグ 
脚本 ブルース・ワグナー 
ミア・ワシコウスカ エヴァン・バード ロバート・パティンソン 
ジュリアン・ムーア ジョン・キューザック オリヴィア・ウィリアムズ 
エミリア・マッカーシー キャリー・フィッシャー