10.31.2008

危なっかしさも欲しいね・・ 「ザ・マジックアワー」



あんまり絶賛されると悪口の一つも言いたくなるタチだが、 言えないな。 面白かった。 まあ映像に酔うとか音楽にシビレるとかはないが、 2時間16分も苦にならず楽しい時間が過ごせる。

しいて言えば、 人工的なセットなどは狙いすぎて外している気がしなくもないし、 ときどき映画研究会的な演出に出くわすことがある。 次回は三谷脚本+新人監督などの組み合わせで新局面が見れるといいかな。 。


ザ・マジックアワー (2008日本)
脚本・監督 三谷幸喜  オフィシャルサイト&ムービーコンテンツ 
佐藤浩市 妻夫木聡 深津絵里 綾瀬はるか 小日向文世 
寺島進 戸田恵子 伊吹吾郎 香川照之 西田敏行 

欠けているのは ** 「ヘイジャパ!」



本当のタイトルは下にあるように長いらしい。 まあ力作だし、 欠けているのが何かというメッセージは見て確認してもらったらいいと思う。 すごく聞き取りにくいんだけどね。

6つのエピソードを水平につなぎながら、 テンポもいいし会話の作り方なんかも上手。 55%くらいはすべらず笑える。 でも、 ともすれば言葉に頼りがちで、 エロいシーンもたくさんあるわりにドキッとしない。 会話も肝心な部分がボソッとなって聞こえない。 音声を抑えるんだったら、 それでも聞き取れるように拾ってほしい。 あるいはそこだけ一瞬音楽を止めて声のミキシングを上げるとかして、 しっかり耳に入ってくるようにしてもらえないかな。 映画館ではたぶん聞き取れるんだと思うが、 夜中にDVDを見る場合、 そんなに大音量で見たりヘッドホンで聞いたりするわけではないので、 今の日本映画は全般的にそうなんだが、 字幕付きの洋画より疲れることが多い。 テレビでも、 話すギャグを字幕で強調しないと笑えなくなっているようだし。 日本人の滑舌が悪くなったのか、 音声に無配慮すぎるのか、 これらは同根のような気がする。

昔、 森田芳光監督が、 映画と演劇の違いの一つとして '映画は囁きが許される' ということを挙げていたが、 そんな彼の作品ではボソボソじゃべるわりにちゃんと聞き取れる。 昔の日本映画などは恐ろしいぐらいにハキハキしゃべるし。

音声のことも含め、 何かやりたいんだけど勢いだけで、 技術的考察が足りない感は拭えないが、 オープニングのクレジットの出し方などは日本映画には珍しく遊んでいて、 まあ次回作も期待してやろうかなという気までは失せないギリギリセーフ!


ヘイジャパ!(2008日本)
2008年、 イマドキジャパニーズよ。 愛と平和と理解を信じるかい?
監督 村松亮太郎  公式サイト&トレーラー 
神田沙也加 桜塚やっくん いしだ壱成 川合千春 他豪華キャスト

10.30.2008

LAの片隅で 「素敵な人生のはじめ方」



素晴らしい映画! これが未公開とは。 。 たくさん映画を見るが、 ほんとにいいなと思うものは正直それほどあるわけじゃない。 これはもう久々のヒット。 ただ願わくば、 こんな二番煎じのどうでもいい邦題は付けないでほしい。 原題の "10 Items or Less" (10品以下) とはスーパーのレジ渋滞緩和策で、 10品以下の方用のレジという意味。 ジュース1本買うだけなのに並ばないで済むようにとの配慮からアメリカのスーパーなどでは当たり前になっているようだ。

レジ係の女25歳、 スペイン出身。 LA郊外の寂れたスーパーで働く彼女のもとに、 4年近く仕事をしていない俳優が新作への出演オファーを受けるかどうか決めるため、 ロケ場所であるこのスーパーの下見にやってくる。 製作はインディペンデントだし 監督は若造、 どうしようか、 などともったいを付けてやってくるのだが、 こんな設定自体がすでに物語の一部になっているわけだ。

落ち目の俳優とレジ係は少し会話を交わし、 俳優の迎えが来ないために レジ係がクルマで送って行くことに。 彼女はこのあと別の仕事の面接を控えていたが、 元夫の浮気あるいは生活の疲れからか、 どうせ私なんて、 と弱音を吐く。 俳優は彼女に、 面接に向けてのイメージづくりから心得までを演技指導する。



レジ係の女を演じるパス・ベガは、 一時期のペネロペ・クルスのようなニュアンスで好演。 落ち目の俳優を演じるモーガン・フリーマンはこの作品で製作総指揮を兼任、 心から楽しそうに出演している。 LAの片隅の半日ロードムービー、 笑いも存分に盛り込まれ、 ラテン音楽と、 後半の黄色いクルマが走り出すシーンに流れる挿入歌もいい。 日常のつまらないことを笑い飛ばし、 ありきたりな言い方だが、 元気になれる快作。 下になぜ 「子鹿物語」 が出ているかは見てのお楽しみ。 お薦め中のお薦めだ!


素敵な人生のはじめ方 10 Items or Less (2006) 日本未公開
監督 ブラッド・シルバーリング 
パス・ベガ モーガン・フリーマン 
素敵な人生のはじめ方[DVD]
小鹿物語 小鹿物語 The Yearling (1947)
グレゴリー・ペック, クロード・ジャーマン・Jr

10.29.2008

二日飲み歩く 「東京失格」



東京を失格になるってどういうこと? 自分のことかな、 なんて気になって見たが、 振り返って考えればタイトリングは上手いのかヘタウマか微妙なところ。 東京じゅうを駆けめぐるロードムービーというよりは、 男同士で飲んでウダウダする風呂屋ムービーか。 青春映画というよりは、 リアルすぎるプライベートフィルム。 それでもNGの烙印を押せない、 退色しかかった珠玉の作品と言えるかもしれない。

30を過ぎたインディーズバンド男、 昔のバンド仲間が自殺。 その葬式の帰りから飲み歩いて丸二日、 最後に男はターニングポイントのハンドルをようやく切ることができる。 いくつかの映画祭で好評価を得ているらしいが、 作品に野心的な匂いはなく、 むしろ素朴すぎるくらいで、 自分などはこんな年代をとっくに過ぎてしまったにもかかわらず気恥ずかしく苦い思いを呼び起こさせられる。

説明セリフは一切なく、 わかりにくいとは思うが、 こういう日本映画もあるのだということで、 迷えるアラウンドサーティな人は一見の価値ありではないだろうか。



東京失格 (2006日本) 公式サイト&予告 
監督 井川広太郎 
福島拓哉 岩崎高広 TOMOMI 金井アヤ こばやしまり 

10.28.2008

Lなホラー 「サイレント・ボイス」



ジャケットが怖そうだったので見たが、 始まってしばらくしたらアレレという感じになって、 よく見るとアルバトロスだった^ ^ おまけにTVものだった。

まあ出だしはそれなりに雰囲気もあって、 外国の葬儀は絵になるな〜などと見ていたが、 ひと昔前のタッチのマジメな心霊ドラマだった。 カナダ出身の女優ミア・カーシュナーがポイントなんだろうなとは気づいたが 「Lの世界」 とかも見たことないし、 清純そうに見えて大胆なシーンもこなすらしいが、 本作ではちょっとしたバスルームシーンがあるだけ。

両親の事故死のあと、 見えない者が見えるようになる少女。 そしてカーシュナー演じる心理学者も幼い頃はイマジナリーフレンドを持っているような女の子だった。 カウンセラーとして一人の患者を救うことができなかったことから、 教鞭と執筆だけに専念するようになった彼女だが・・

なんとなく意味深なレズっぽい設定は L・・ を意識してか。 。 怖くも新しくもないが、 静かに淡々と進む物語は、 まあ疲れた夜などにはいいかもしれない。



サイレント・ボイス They Come Back (2007アメリカ・カナダ TV)
監督 ジョン・ブラッドショウ 
ミア・カーシュナー ニーアム・ウィルソン シャーロット・アーノルド 

10.27.2008

チ○立て伏せ・・ 「テネイシャスD」



ここまで下ネタオンリーだとは思わなかった^ ^ 以上

・・ってことで終わりにしたいが、 もう少しだけ触れるなら、 ミュージカル仕立てになっていて、 いくつかの映画のパロディが入っている。 どの映画のどのシーンだったかなどと考える気もしないが、 珍しいところでは 「時計じかけのオレンジ」 のパロディらしきものが登場する。 まあ、 ただ引っ張り出してきたというだけでパロディとも呼べないが、 笑わせてもらおうという期待はこのあたりで一気に失せる。

カーチェイスのシーンは、 ほぼ不要。 唯一、 ベン・スティラーの出てくる数分間だけはそれなりに迫力があった気もするが、 取り立てて語るほどのこともないだろう。 。 でもこうして関連イメージを貼ると面白そうに見えてしまうので不思議。 まあ、 お暇ならどうぞ。 ジャック・ブラックはこっちのほうがよかったかな。 。


テネイシャスD 運命のビックをさがせ! (2006) 日本公開2008
TENACIOUS D IN THE PICK OF DESTINY 公式サイト&トレーラー 
監督 リアム・リンチ  (字幕監修 伊藤政則) 
ジャック・ブラック カイル・ガス ティム・ロビンス ベン・スティラー