10.30.2012

lovable! 「人生はビギナーズ」



「人生は」 なんて、 それらしく付いてるが、 必要ない。 しかしまあ原題も '何となく' なタイトリングで、 絞れているとは思えない。 自分はモロにストレートなんでゲイの悩みはわからない。 ゲイの親父を持った男の気持ちも想像がつかないし、 世界を旅する孤独な女優の気持ちもまったくわからない。

それでも自分だけが苦しんだ事柄はいくつかあるように思うし、 長い前腕を持つ男にドキッとしたことがあったような気もする。 一人暮らしの真っ暗な部屋に帰りたくなくて寄り道ばかりしていたこともあっただろう。 過ぎてみれば、 それだけのことなんだよな。 だからグジグジ悩むのも好きじゃないし、 悩みに酔った映画も好きじゃない。 でもこの映画は嫌いじゃない。

何なんだよ、 この書き出し、 と自分でも思う^ ^ ようするにメラニー・ロランがキレイで (ちょっとメグ・ライアンしてる気もしたが) その他の登場人物もなかなかよくて、 結局よかったんじゃないの? ・・かな^ ^

見ようとは思ってたが 「人生は」 ってのが、 辛気くさそうな雰囲気を漂わせてたし、 「サムサッカー」 もつまらなかった気がして (実は覚えてない) 無意識にパスしてた。 結局メラニー・ロランで見たから、 キャスティングは成功と言えるだろう^ ^

いくつかの映画サイトを覗いてみたけど、 日本での評価は芳しくなく、 でもIMDbではかなり評価が高い。 この温度差は何なんだろうという作品だな、 これも。 観客を選ぶ作品であることは確かで、 かつ、 気に入らなかった人が大っぴらに叩ける '威厳のなさ' みたいなものがあるのだろうな^ ^

しかし大したことないのに威厳だけで評価を引き出してしまう作家よりは "lovable!" だと思えるね。 これをタイトルにすればよかったかも。 これは、 グラフィックデザイナーと思われる主人公がCDジャケットの依頼に対し、 "悲しみの歴史" という わけのわからないプレゼンをして、 困った顔となる女ボスが作品の冒頭13分25秒あたりで発する単語。 心がスカスカするときにでも見てほしい愛すべき映画。 お母さんもけっこう面白い人だ^ ^



人生はビギナーズ BEGINNERS (2010) 日本公開2012.2 公式サイト
脚本・監督 マイク・ミルズ  象のロケット 
ユアン・マクレガー メラニー・ロラン クリストファー・プラマー 
ゴラン・ヴィシュニック メアリー・ペイジ・ケラー 

10.28.2012

小さな幸せがほしい 「監督失格」



プロデュースの庵野氏以外のスタッフ/キャストともほとんど知らないが、 キャッチーなタイトルに何らかの匂いを嗅ぎ取って、 見た。 フェイクではない純然たるドキュメンタリーではあるが、 むしろプライベートフィルムとも言える内容。

監督になったのが十数年前ということは、 その頃はすでにAVと呼ばれていたのだろうか、 しかし出演者たちは一様に ただ "エロ" と表現する。 当時すでにその世界で地位を築いていた女優 由美香を主演に迎え出世作を撮った平野監督。 プライベートをさらけ出すことに徹さない監督を、 由美香は 「監督失格」 と叱咤する。 由美香に認められようとアグレッシブな企画を次々に繰り出す監督。 それは口にするのも恥ずかしい "運命的な出会い" だったと監督は語る。

やがて二人は '名実ともに' 運命的な関係となり、 それまでは数ヶ月しかもたなかった男性とのおつきあい遍歴の由美香にとっては最長記録となる。 監督には奥さんがいるらしく、 いわゆる不倫の関係ではあったが、 それもいつしか THE END を迎える。 二人は別れ、 その後よき友となる。 "ただ小さな幸せがほしい" と話す由美香はその後もパートナーを探し続けるが、 35才の誕生日を目前に逝ってしまう。

マンションに駆けつけた由美香の 'マニッシュな' 母親の反応は痛々しくて見てられない。 むしろフェイクドキュメンタリーであればよかったと思うのだが、 数年後の母親の表情はどこか魂が抜けたようでさらに恐い。 同じ悲しみを授かった監督は、 それでも由美香を卒業しようともがき、 このドキュメンタリーを作るにいたったのだから、 ついに監督合格したと言えるかもしれない。

見終わった後は、 自分の一番大切な人がまだこの世にいることをありがたく思い、 願わくば自分より先に逝ってくれるなと祈るばかり。 想像以上にヘビーな作品だった。


監督失格 (2011日本) 公式サイト 
監督 平野勝之 プロデュース 庵野秀明 
林由美香 小栗冨美代 カンパニー松尾 

バリの神々 「キラー・ゴッド」



ベタなタイトルだなと思ったが原題もそのままだった^ ^ 日本未公開のマイナーな作品ではあるが、 バリの神々やお面のモチーフが不気味だったので見てみた。 カナダの雪景色を背景に、 予想以上に こじんまりとしているが、 見終わった後、 バリ・ヒンズーからヒンズー教、 仏教、 イスラム教、 ユダヤ教など、 関係あるなしを問わずいろいろ調べてしまった。 お勉強になるホラーだ^ ^

子供の頃、 とにかく般若のお面が恐かったのを覚えている。 今こうして世界のお面をイメージ検索で並べてみると、 日本の般若や能面は独特だ。 昔はオリジナリティのある国だったんだな。 。 バリの神々の顔は獅子舞の獅子にも似ているがカラフルで、 この映画では子供くらいの背丈で、 赤やチェックのシャツを着て出てくる。 衣装はお面とコーディネートさせたのかもしれないが、 ありあわせ丸出しで いかにも低予算^ ^

ストーリーとしては、 博覧会のためにバリから搬送された石像が偽物にすり替えられ、 その中にはウランが隠されて密輸されようとしている?! 「ガメラ対ジャイガー」 みたいな内容だが、そのような行為は魔女ランダを怒らせ、 聖獣バロンとの均衡が破られるのだった。 そして冒涜者は制裁を受ける・・ 珍しもの好きには一興か。


キラー・ゴッド Killer God (2010カナダ) 日本未公開
監督 スタッシュ・ラドワンスキー・Jr 

10.26.2012

乞うリベンジ.. Wrong Turn 5



こないだが出たと思ったら もう5。 あまり気乗りしなかったが、 つきあってみた。 1817年にウェストバージニアのフェアレイクとかいう町で、 住民全員がいなくなったとかいう事件があったらしく? それを題材にしている。 と言っても最初にテロップが出るだけで、 ほとんど関係ない。 事件は恐らく、 このシリーズに登場するサイコ一家のような奴らのせいで、 今でもアメリカの片田舎には恐い所があるんだぜ・・ そんな示唆だろうか。

自らの内蔵 食わされ、 地面に埋められ首だけ出して芝刈り機、 ドラム缶蒸し焼き等々、 バカらしいまでに残虐な殺戮シーンのオンパレード。 しかし やられる方も無防備すぎて、 誰か一人ぐらいピシッとこいつらに報復してほしいものだとイライラする。 ダラダラとシリーズを延命せず次回作では、 こいつらがやってきたことがすべて返ってくる "デッドリベンジ" で幕を閉じてほしいものだ^ ^


クライモリ デッドライン ・・たぶん はずれ! デッド・パーティだってさ
Wrong Turn 5: Bloodlines (2012) 日本未公開 (DVDスルー ・・たぶん これは当たり)
監督 デクラン・オブライエン 
ロクサンヌ・マッキー カミラ・アーフウェドソン 

スペース・ダンスパーティ 「パラノーマル・アクティビティ4」



シリーズ4作目になって、 日本の宣伝はマンネリ気味で地味ながら、 アメリカでは1週目トップだそうで何より。 イギリスでは 「マダガスカル3」 と間違えて上映してしまい子供が泣いたとか。 これが宣伝だとしたら、 さすがと言うべきか。

しかしマニアックに見るなら、 監督は日本未公開の "Cat Fish" の気鋭を引っ張ってきて、 フェイクドキュメンタリーを一歩進めた仕上がり。 手持ちのハンディカメラや監視カメラから、 CAM世代の彼らはパソコン搭載のカメラに移行する。 iPhoneのカメラでのチャットや、 室内にはほぼ各部屋にMacがあって、 夜中もつけっぱなし。 前半はバカバカしい '脅かし' でお茶を濁し、 「REC」 のパロディなどもちゃっかり入れながら、 当然ながらその手法の本質は見えそうで見えない 'ちらリズム'。

見えないから妄想が膨らむように、 見えないからこそ恐さが増幅される。 その '見えなさ' がスタイリッシュで、 そのくせ今の世界にうごめく恐怖の本質はしっかりつかんでいるような感覚。 上品だけど悪くないね。 暗視カメラには劇中で "スペース・ダンスパーティ" と形容されるようなノイズ水玉エフェクトが施されたり、 楽しんでやってる。 主演のキャスリン・ニュートンも屈託なく可愛い。

前作で行方不明となったケイティとハンター少年は、 2011年になってニューヨーク州の とある町に現れる。 静かな町に不吉な予兆。 少年は家にやってくる。 この家の男の子と友だちなる。 そして奇怪な現象が再び始まる。 数日だけの先行上映、 すぐに公開されるので乞うご期待!

シリーズ 第一弾 第二弾 第三弾 おまけ 


パラノーマル・アクティビティ4 (2012) 日本公開11/1 公式サイト・予告
PARANORMAL ACTIVITY 4  象のロケット 
監督 ヘンリー・ジュースト+アリエル・シュルマン 
キャスリン・ニュートン マット・シヴリー  ケイティー・フェザーストン 

10.24.2012

かなり! 「スーパー・チューズデー」



先月とは打って変わって、 今月はたくさん見てるなあ。 生英語と向き合うのに少し疲れてフォローが多くなっているが、 ジョージ・クルーニーが監督、 ディカプリオなども製作に関わり、 その他 豪華キャストひしめく本作は、 言わばハリウッドのリベラルが結集したような作品。 日本版DVDで遅ればせながら見て言うのも何だが、 かなりいい線。

売れっ子のゴズリングは、 ここでもかなりいいね。 主役はクルーニー演じる大統領候補ではなく、 このゴズリングが演じる若手選挙参謀で、 その上司にあたるベテラン参謀がフィリップ・シーモア・ホフマン。 この三者や敵対する共和党側の参謀も合い乱れ、 すったもんだあって、 大統領候補もベテランもすっ飛ばす切れっぷりをゴズリングは見せてくれる。 切れっぷりとは、 いわゆる 'キレる'+頭の切れだ。

大統領選の内幕の描き方も、 ここまでブレーンにスポットが当たるのは新しいと言えるだろう。 切れ者なだけでなく、 まだ純粋な面も残す彼だったが、 ダーティな古株たちに潰されそうになるところ、 強烈な起死回生策を繰り出す。 そのことを通して一人の男が成長する物語とも言えるが、 あらためて成長とは苦いものだなという感想が残る。 政治や世の中への痛烈な批判でもあるが、 これを見てもやはり日本の政治には関心が起こらず。 面白みのないところにはキレイなインターンも来ないだろうな。

音楽はカッコいいとかではないが微妙によくて、 1時間ちょい過ぎあたりの、 国旗をバックにしたゴズリングの横顔に流れる曲やエンドロールの曲もよかった。 言い忘れた、 邦題はかなり、 もさい^ ^


スーパー・チューズデー 正義を売った日 (2011) 日本公開2012.3月 公式サイト
THE IDES OF MARCH  象のロケット
監督・出演 ジョージ・クルーニー 
ライアン・ゴズリング フィリップ・シーモア・ホフマン 
エヴァン・レイチェル・ウッド ポール・ジアマッティ マリサ・トメイ