5.31.2012

鮫、犬、歯ブラシ、銃身 「コロンビアーナ」



またしても日本公開は世界最遅の9月ということらしいが、 ちらほら紹介され始めて、 そういや、 これ見てねえと思って速攻見た^ ^ 「レオン」 (1994) の続編として企画されたが、 紆余曲折あって、 新たな物語として生まれ変わったらしい。 監督はメガトンに任され、 ベッソン節はそれほど強くない。

カトレアという名のコロンビアの少女は両親を殺され、 アメリカに逃げ15年の歳月を経て殺し屋に、 そして復讐の鬼となる。 組織の20数名をカトレアの花とともに葬り去り、 残るは側近とボス。 しかし敵は反撃に転じ、 またFBIにもシッポをつかまれる。 はたして復讐は成し遂げられるのか。

とくに新鮮な何かがあったわけでもないが普通に面白い。 サルダナのスリムな肢体が美しい。 下のスチールでもわかる通り、 マシンガンからロケットランチャー、 さらには鮫、 犬、 歯ブラシ、 一瞬にして分解された自動小銃の銃身までが武器となる。 自分的には、 大人になったカトレアがボディコンで登場するあたりがよかったかな^ ^ 乞うご期待。




コロンビアーナ Colombiana (2011アメリカ・フランス)
日本公開2012.9/1 公式サイト
脚本 リュック・ベッソン 監督 オリビエ・メガトン 
ゾーイ・サルダナ クリフ・カーティス カラム・ブルー 
ジョルディ・モリャ レニー・ジェームズ ベト・ベニテス 

5.25.2012

シネマ延髄斬り?  「エージェント・マロリー」



IMDbでも賛否両論、 ソダーバーグはこの映画で何を企んだのか。 主演は美人格闘家、 しかもムエタイ使い。 スクリーンには鈍い喘ぎ声とともに、 本物の格闘が炸裂。 延髄斬りも本当にヒットしている様子。 彼女に惚れて立てた企画か。

海兵隊出身のエージェント、 敏腕を買われて指名依頼。 マドリード、 そしてダブリン・・ この手の仕事も、 民間企業が政府機関からミッションを請け負っているらしい。 しかし彼女はすでに退社しており、 それでもゴリ押しされフリーランスとして引っ張り出される。 人質となった中国の要人を救出したり、 MI6との共同作戦。 だが何かがおかしい。

裏切り、 策略・・ 誰が、 何のために? しかし多くは語られず、 彼女は刺客を次々と返り討ちにし、 ついには首謀者を追いつめる。

スパイ映画にリアリティを求めるとこうなる? 収まっていない人だな、 ソダーバーグ。 自分的には面白かったが、 はたして日本公開はあるのか。 乞うご期待。 ちなみに延髄斬りは英語でも Enzuigiri だ^ ^

(追記7/7) 公開されるらしい。9月末、 邦題はこの通り^ ^




エージェント・マロリー HAYWIRE (2011) 日本公開2012.9/28 公式サイト 
監督 スティーブン・ソダーバーグ 
ジーナ・カラーノ ユアン・マクレガー マイケル・アンガラノ 
チャニング・テイタム マイケル・ダグラス アントニオ・バンデラス


存在してほしい BABYCALL



「ミレニアム」シリーズをきっかけに 一部で売れっ子となっているノオミ・ラパス主演のサスペンス作品。 とくに興味はなかったが、 見たいという人がいて一緒に見た。 ネタはかなり早くにバレたが、 あれこれツッコミながら、 北欧の寒々とした感覚を楽しめる作品? 悪くはなかった。

'ベビーコール' というのは赤ちゃんを別室に寝かせているときに、 異常がないか音声モニターする機器のことだが、 この母親は、 息子が8才になっているにもかかわらず、 心配性なのか、 これを設置する。 前夫の暴力から逃れ、 福祉局の保護プログラムにより ひっそりとこのアパートに移ってきたという経緯もある。 しかし物語が進むにつれ、 それが彼女の被害妄想である疑いが出てくる。 以下まさにネタバレになってしまうので、 見るつもりのある人はスルーしてほしい^ ^

妄想はそればかりでなく、 実は息子の存在も妄想、 途中で知り合う男も妄想、 福祉局員すら妄想だった。 不幸の末に、 妄想や記憶の断片が現在と未来までもを作り出し、 そのなかで一人ぽっちで震えて生きる彼女と、 彼女の結末を淡々と描く北欧発のサイコスリラー。 一人で見たなら寂しすぎる作品だったかもしれない。 乞うご期待。



チャイルドコール 呼声 BABYCALL (2011ノルウェー・ドイツ・スウェーデン)
日本公開2013.3月  
監督 ポール・シュレットアウネ 
ノオミ・ラパス クリストッフェル・ヨーネル 

5.24.2012

ママ、ごめんなさい THE ROAD



本年度ホラー映画のベストとの呼び声も高いので見てみたが、 フィリピンのこの監督作品で、 前作同様、 自分には響かなかった。 やたら、 ゆったりとしていて、 めまぐるしいのが当たり前のホラーの中では異質な感じがするのはいいが、 もったいぶって明かされた秘密が その程度のことか、 みたいな。

3パートに分かれた仕立てとなっていて、 時間が前後しているのもややわかりにくく、 心霊ものかと思えばサイコもの、 サイコものかと思えばやっぱり心霊もの、 フィリピンの片隅の、 あるいは不幸な少年の悲しみが描かれているのかと思えば そうでもなく、 ただ 顔にビニール袋や布を被せることの不気味感にフェチしているだけという気がしなくもない。

流行りのドキュメンタリータッチの逆を行く、 物語志向のゴシックスリラー、 "ママ、 ごめんなさい" な作品だ。 乞うご期待。



THE ROAD (2011フィリピン) 日本公開未定 
監督 ヤム・ララナス

5.22.2012

そこにはただ風が吹いているだけ Hick



お、 これは! という匂いのする作品だった。 またしてもクロエ・モレッツ、 彼女が扮するルーリーは13才にして、 破綻した家庭を後にして、 ラスベガス目指してヒッチハイク。 舞台は70年代後期、 ルーリーは鏡の前で STAR WARS のセリフを真似る。 流れるのは当時の甘い音楽、 あるいはボブ・ディラン・・

このへんまではまさに、 おお、 という感じ。 原作者の半自伝的物語のようで、 シナリオも彼女が担当。 しかし その後、 何となく肩すかしな展開? そして最後はあっけなく・・ 見終わっても満足しきれないのは、 聞き取りにくい中西部なまりのせいかとも考えたが、 あるいは期待が高すぎたか。 "フューチャー・クラシック" と呼ばれるには今一歩及ばないという感想になってしまった。

しかしまあ、 魅惑的な匂いが立ちこめる映画に変わりはなく、 ただその芳香に先には何もないことが、 空しさをいっそう強調して、 憤慨するか酔えるかの違いになるだけなのかもしれない。 例によって日本公開はかなり先になると思われるが、 気になる人はテンガロンハットを被り直したりして待ってみよう^ ^



Hick ルリ13歳の旅 (2011) 日本公開2012.11/24 公式サイト
監督 デリク・マティーニ 原作・脚本 アンドレア・ポーテス 
クロエ・モレッツ エディ・レッドメイン ブレイク・ライヴリー ロリー・カルキン
ジュリエット・ルイス アンソン・マウント アレック・ボールドウィン 

5.20.2012

ストイックに暴走 Bad Ass



"バッドアス" ときて、 ダニー・トレホで、 ツーリストルックにウエストポーチ・・ 思いっきり狙ってきている通りの作品で、 追い討ちをかけるラップのテーマソングには微妙に呆れる。 重量級の肉弾戦は迫力あるが、 それ以外は意外にあっさり、 プレーン。 ベトナムも友情も軽すぎるのが玉にキズ。

後半、 バスでのチキンレースという大技も用意されているが、 手に汗握るというより、 今度は もたれる感じ。 。 仮にトレホでなく、 あるいはシナリオをもっと練ったら・・ と考えても無意味なくらい、 企画に対して正攻法なところが持ち味だろう。

ダニー・トレホって本当に70才近いんだね、 それでこのパンチは驚き。 そういう意味ではシルバーエイジを励ます作品か。



バッド・アス Bad Ass (2012) 日本未公開 
監督 クレイグ・モス 
ダニー・トレホ ジョイフル・ドレイク チャールズ・S・ダットン 
ロン・パールマン ハリソン・ペイジ 
これがテーマソング^ ^

5.08.2012

Ganbare Nippon! 「ヒミズ」



DVDリリースまでまだ少しある中途半端なタイミングでのエントリーで失礼。 子温監督、 けっこう多作なので多少ありがたみには欠ける昨今、 しかし やはり見応えはあった。 キャスティングにしても、 いちいちリンクを張るのが面倒なくらい贅沢。

園監督は自分の中ではずっと評価の高いお方だし、 見応えも十分だったのに、 なぜか書くことがない。 かつての監督作品の感想として何を書いたのか振り返ってみたが、 自分でもイヤになるくらい まとまっていない。 。 が書くことがない理由もわかった気がする。 監督の日本での評価が上がったからだ。 好きだったバンドがメジャーになるような感覚・・

それでもやはり震災を撮影に行ったり (しかもドキュメンタリーではなく) あるいは原作を大きく改変しているところに支持の分かれ目を残し、 自分としては当然、 支持だが、 震災を映画のダシにするな、 原作への冒涜などの評を見かけると少し面白くなる。 もともと映画は身の回りのあらゆることをダシにするのだし、 そもそも小説やコミックなどの原作を勝手に取り上げて (金で買い上げて) 映画化なんてこと自体が傲慢きわまりないことなのだ。

宮台真司氏のコメントにからめてのシーンなどもヘンに効果的だったし (当初の役とは違ったらしいが) マルチェロ・マストロヤンニ賞の二人もよかったし、 存在感のある登場人物はみなよかったが、 それにも増して 「夢を持て」 との教師の言葉が空々しく響くがごとく、 瓦礫の山がセットに見えたり、 最後の 「がんばれ」 も一言ごとに意味が反転して、 励ましてるのか自虐的かけ声か、 ほとんどわからないくらいに、 映画を通して 「みんなを励ます」 ことの難しさが露呈している点がよかったように思う。

けっきょく映画は、 作り手の勝手なインスピレーションの集大成だし、 それをテキトーに楽しめる人が観ればいいのだし、 作り手がどれだけのリスクを取ってるのかが ときにはスパイスになるし、 それを楽しめる作り手だけが少しは観客を楽しませることができ、 けっきょくのところ評価は次への軍資金にすぎないのだ。

なんて、 多少は映画論ぽくなったかな。 。 とにかく、 これからも 'がんばって' ほしい。 自分は自分でがんばるから^ ^ 本作は海外ではまだこれから公開されるところなので、 もうひと波乱ありそうだ。


ヒミズ (2012日本) 公式サイト 象のロケット 
脚本・監督 園子温 原作 古谷実 アクション監督 坂口拓 
染谷将太 二階堂ふみ 渡辺哲 諏訪太朗 川屋せっちん 吹越満 神楽坂恵 
光石研 渡辺真起子 モト冬樹 黒沢あすか 吉高由里子 窪塚洋介 宮台真司 
村上淳 でんでん