7.28.2012

テ・キエロ [REC]3



夏のグロ映画特集?第三弾は昨日と反対に、 そんなにグロくはないだろうと思っていたら、 けっこうグロかった^ ^ シリーズタイトルはほとんど冠だけとなっているが、 チェーンソーを持った花嫁、 鎧とメイスで武装した花婿など、 弾けつつコミカルな方向に振っている。

そして何よりも最後の腕切断とラストキス・・ グロいのにラブストーリーとは、 なかなか あなどれない。 ゾンビ版ボニー&クライドでもあった。 まあ、 それ以上書くこともないが^ ^ いざとなったら強い女性像はスペインでもトレンドのようで "いい母親になれ" と言われ、 毅然と "あなたもいい父親になるの" と言い返すところなどはチェーンソーよりカッコいい。

以上、 グロ映画特集はこのへんで終わることにする。 特集しなくても日常的に入ることでもあり^ ^ » [REC] シリーズ


[REC]3 レック3 ジェネシス GENESIS (2012スペイン) 日本公開4月
監督 パコ・プラサ  公式サイト 象のロケット 
レティシア・ドレラ ディエゴ・マルティン 

7.27.2012

フィガロに乗る男 SOP DEK 2002



夏のグロ映画特集?第二弾の本日は、 中絶した胎児の霊に襲われるというタイ式ホラー。 SOP DEKとアルファベット表記になっているのはタイ語で ศพเด็ก 「死んだ子」 という意味らしい。 これはグロいぞ!と期待したが、 それほどでもなかった。 それもそのはず、 タイは未成年の中絶件数が世界3位らしく、 ストップ中絶キャンペーンの一環として製作された映画とのこと。 しかしそれをアピールするのにホラーとは、 わかりやすいというか、 ありえないというか^ ^

夫婦と小さい娘一人の家庭。 ダンナは報道カメラマンで、 なぜか今どきNISSANフィガロに乗っている。 これ、 俺も乗ってんだよな、 恥ずかしい。 抽選に当たらないと買えない過剰な限定商品で、 割高の値段にトロい走り^ ^ 色まで同じペールアクアだ。

奥さんは高校教師なのに美脚ミニスカートで、 もう一人キレイな人が出てくるが、 このあたりがやはり怪しかった。 娘は、 妹が遊ぼうと言ってると不気味な行動を取る。 もちろん妹などはいないのだが。 モグリの中絶医が襲われる。 リベートを取っている焼却炉屋?が何かを恐れる。

それでもこの処置室を訪れる高校生は後を絶たず、 最後は2002体もの胎児の遺体が未焼却のまま出てくる。 そしてなぜかダンナが引きつった顔のまま植物人間となるが、 その理由は・・ あまり恐くもない政府公報的ホラー、 愛と悲しみのフィガロ^ ^ いつかどこかで乞うご期待。




ソップデック2002(原題) (2011タイ) 日本公開未定
SOP DEK 2002: The Unborn Child
監督 ポット・アーノン 

7.26.2012

帰れない青年 「キナタイ」



突如として始まる (そして突如 終わるであろう) 夏のグロ映画特集。 本日、 その第一弾は "汚い" と読んでしまうコレ。 マニラ・アンダーグラウンドとのサブタイトルが漂わすヤバそうなニュアンスはほとんどなくテンポも悪いが、 ひょんなことからバラバラ殺人の片棒を担ぐこととなった ひとりの青年の普通の心情を淡々と追う^ ^

青年は警察学校に通う警察官のタマゴ。 娘が生まれ、 いわゆる "できちゃった婚" の結婚式を挙げたばかり。 フィリピンでは市役所で結婚式を挙げるのが一般的らしい。 ヘンなノリの式を、 へえと見ながら、 この辺りのシーンがけっこう長い。 まあ、 ひととなりをじっくりと描いているとも言えるが、 いろいろとお金がいるということで、 友達に仕事を紹介してもらう。 どんな仕事かと聞くが、 けっきょく現場に行ってみるまで詳細はわからない。

組織の使いっ走りの仕事のようだが、 まずは集金。 これならチョロいと思っていると、 女が車に連れ込まれる。 薬の代金が未払いらしい。 縛って口にテープを貼り、 延々と車は夜道を走る。 青年の顔は葛藤で歪むが、 いまさら引き返せず、 無言のまま車は走る。 この辺りもまた長い。 まあ、 じらすほどに、 これから起こることへの恐怖感は高まるとも言える。 そして人里離れた一軒家の地下室へ。

しかし事は進まず、 ビールやタバコの買い出しと使いっ走りをさせられ。 途中のバス停で、 このまま さよならしてしまおうかと考えるが ふんぎりが着かず。 とぼとぼ戻ると、 あれよあれよと言う間に女は刺されると同時に、 斧で解体される。 青年は吐き気を抑えながら、 麻袋を取って来させられ、 パーツをそこに詰めて、 帰り道に車から投げ捨てる。 痕跡がたどれないように、 あちこちにバラまくのに、 頭部だけはゴミ捨て場へポイ。

朝のニュースではそれが発見されたと報道されているが、 フィリピンでは珍しくないかのようだ。 一連の仕事の指揮を取ったボスに屋台でおごってもらうが喉を通らず。 これからもよろしくと、 ボスからプレゼントされた銃を鞄に忍ばせて帰路につく青年。 拾ったタクシーはなぜかパンクし立ち往生、 家では妻と娘が父の帰りを待ちわびている。 カンヌ監督賞、 日本未公開。




キナタイ マニラ・アンダーグラウンド (2009フランス・フィリピン) 日本未公開
KINATAY * 「三大映画祭週間2011」 でのみ上映 
監督 ブリランテ・メンドーサ 
ココ・マルティン

7.16.2012

半券の風葬 「精神科医ヘンリー・カーターの憂鬱」



新作ではないが見ようと思っていた作品、 ようやく見た。 未公開なんてぜんぜんもったいない、 いい映画。 ただ、 こういう作品ほど書きにくい。 映画を見るスキル、 あるいはハートのある人なら、 騙されたと思って見てもらう他ない^ ^

それらしい邦題がついているが、 原題はSHRINK、 ただの 「精神科医」 。 それだけだとカタいのかな。 日本ではいわゆる精神科医はポピュラーじゃないし、 自分も残念ながら受けたことがない。 一度受けてみたいものだ・・ とジョークにできない内容がここにはある。

ケビン・スペイシー演じるヘンリー・カーターはLAのセレブ相手のお医者さま。 しかし数年前、 他でもない妻に自殺され、 無力感からドラッグに溺れている。 患者には曲がり角を過ぎた年齢に悩む女優、 いい映画に出たいがアクション映画ばかりが回ってくる俳優、 天才的IQながら潔癖性と神経症のプロデューサーなどがいる。 弟分としてスランプのシナリオライターの卵。 そんなある日、 普段はセレブしか診ないドクターに、 縁あって高校の問題児が回されてくる。 そして彼女が抱えていたのは自分と同じ悲しみだった。

精神科医という いかにも現代的な切り口で映画の街LAの、 ありがちな悩み、 ありがちではあるが大きな悲しみを切り取ってゆく。 そして一連の出来事も最後は映画になる。 母と見た映画の半券を風葬する彼女。 精神科医はようやく誰か一人くらい救えたのかもしれない。 シナリオライターは なり振り構わぬ悪戦苦闘の末、 精神科医と同義語になれたのかもしれない。

ラストはみんないい人になってしまうが、 コメディになりかけては沈む前半のディプレッションとバランスを取るには、 これくらいのカタルシスがあってちょうどいいか。 しかし結局どうやって問題解決に向かったのか、 思い出しても曖昧だ。 それほど微力な積み重ねしかないということかもしれない。





精神科医ヘンリー・カーターの憂鬱 SHRINK (2009) 日本未公開 
監督 ジョナス・ペイト 脚本 トーマス・モフェット 
ケビン・スペイシー マーク・ウェバー ダラス・ロバーツ 
キキ・パーマー サフロン・バロウズ ペル・ジェームズ 
ジャック・ヒューストン ジェシー・プレモンス ロビン・ウィリアムズ 

7.15.2012

ハイスクール・ララバイ Some Guy Who Kills People



どことなく社会派なタイトル、 それとは裏腹にユーモラスなトレーラー、 そのあたりに引かれて見た。 ジョン・ランディスなども製作にかかわっているらしい。 いじめと復讐の物語だが、 最後にどんでん返しが用意されている。

ハイスクール時代にいじめられていた男、 34才になった今も忌まわしい記憶にうなされる。 彼はアイスクリームパーラー勤め、 未婚、 母と暮らしている。 彼のスケッチブックには復讐の殺戮シーンが綴られている。

と、 ここまではシリアスに進むが、 突然11才の少女が登場、 実は彼の娘だったという展開になる。 娘は母や義父との生活に嫌気がさし、 父の居場所を聞き出し訪ねる。 戸惑う父、 だが娘とは馬が合った。 娘は父や祖母、 祖母のボーイフレンドである保安官と暮らすようになる。 娘の存在は彼らの世界を明るく変えていった。 事件が明るみに出るまでは。

男の同級生が次々と惨殺される。 娘は夜に一人出かける父の後をつける。 保安官は事件の関連性に気づく。 植え付けられた憎しみは簡単に取り除けない。 娘におやすみを告げ毛布を掛けてやる安らかな日々は終わろうとしていた。

いま日本で報道されている悪質ないじめ事件の前には、 絵空事のように映る作品ではある。 父と娘にフォーカスした部分をもっと見たかった気もするし、 パパの新しい彼女ルーシー・デイビスなどは余分だったかもしれない。 ケヴィン・コリガンは好演、 利発な娘は可愛く、 ひさびさに見るカレン・ブラックは画面をぴりっと引き締めていた。 日本公開はなさそうだが、 DVDとなった際にどんな邦題が付くかは乞うご期待。




人を殺す奴(原題) Some Guy Who Kills People (2011) 日本公開未定 
監督 ジャック・ペレス 脚本 ライアン・A・レヴィン 
ケヴィン・コリガン バリー・ボストウィック アリエル・ゲイド 
レオ・フィッツパトリック ルーシー・デイビス カレン・ブラック 

7.14.2012

吸血鬼の処刑 TWIXT



エル・ファニングが歌舞伎風のメイクでミステリアスに歩くビジュアルだけでも、 さすがコッポラと思わされる。 中身はクラシカルなゴシックホラーだが、 原題はおそらくボードゲームから取ったと思われ、 ゲーム同様にさまざま伏線を結んで複雑な物語が編まれる。

売れない作家、 娘の死、 サイン会で訪れる小さな町。 そこには7つの面があってそれぞれ別の時間を刻む時計台、 保安官、 胸に杭を打たれた死体、 湖畔にたむろする若者、 フラミンゴという名の黒い服の青年、 悲しい事件、 そしてこの地に眠るというエドガー・アラン・ポー。 イメージの連立方程式が通常の1.5倍増量で散りばめられる。

作家が見る夢は、 青いモノクロームのなかに浮かび上がるパートカラーの ある種懐かしくも美しい映像。 しかしシンクロするはずの謎は時空をさまよって未消化のまま増幅されず、 小粋な小品としての控えめな自己満足に繋がれる。

そうしたパッケージのラッピングとしてのTWIXTが、 ファニング演じる "V" だけにフォーカスした邦題によっていつものごとく自己満足さえも剥ぎ取り、「地獄の黙示録」 「ゴッドファーザー」3部作? などと わけのわからないショルダーまで付加される日本公開。 涼しげな作品にふさわしい真夏の蝉の声の時期に届けられるのが せめてもの救いか。 乞うご期待。 ヴァル・キルマーが醸し出すペーソスはいい味。



Virginia/ヴァージニア TWIXT (2011) 日本公開2012.8/11 公式サイト・予告
脚本・監督 フランシス・フォード・コッポラ 
ヴァル・キルマー ブルース・ダーン エル・ファニング 
オールデン・エアエンライク ベン・チャップリン 
ナレーション トム・ウェイツ