2.10.2011

こんどはベイビー 「パラノーマル・アクティビティ2」



第2章 TOKYO NIGHT とかいう日本タイアップ企画があって紛らわしいが、 こちら明日から公開の本家パート2。 前作は限界的な低予算のなかで いかに恐がらせるかということに創意工夫を凝らしたという点でリスペクトに値したが、 今回 ペリ監督は製作だけに回り、 またしてもハリウッドに略奪されたかのような第2弾。 こういうのを出世というのか何と言うのか、 前作の成功を喜んだはずのスタッフは、 こういう展開について実際のところ どういう心境なのだろう。

前作での固定カメラ+ブレブレのハンディというスタイルも、 ウイジャー盤や火、 幽霊でなく悪魔という流れもフォーマットのように完全踏襲し、 時系列的には前作よりも前に起きた出来事ということになっているが、 ハリウッド製作になってもプール付きの家を借り、 固定カメラの台数が増えた程度の予算増か。 アイディアのほうは増えた様子がない^ ^ ウイジャー盤が指す文字は多少笑えたが、 これだけ いかにもなパート2なら、 せめてハリウッドらしく最後くらいは ど派手に盛り上げてほしかったところ。

プールの自走式掃除機や熱すぎるジャグジーなどは どこが怖いのかよくわからないが、 あんな掃除機、 うちのプールにも一台欲しいところだ^ ^ 赤ちゃん自体は それだけで怖そうで、 お、 考えてきたかなと思わせるが、 いまいち使い切れてない。 個人的に不思議だったのが、 出てくるシェパード犬の名がアビーで、 先月の終わりから奇しくも三たび連続でアビーの出る映画をエントリーしたことになる。 。 真冬に8月の気分、 果たして今回も大ヒット御礼となるか。 ちなみにこちらもお薦め^ ^


パラノーマル・アクティビティ 2 (2010) 日本公開2011.2/11~ 公式サイト 
PARANORMAL ACTIVITY 2  象のロケット 
監督 トッド・ウィリアムズ 脚本 マイケル・R・ペリー 
製作 オーレン・ペリ 他 
ケイティー・フェザーストン スプレイグ・グレイデン モリー・イフラム 
パラノーマル・アクティビティ2 [DVD][DVD]

完全なる報復 DVD 僕と妻の1778の物語 スタンダード・エディションDVD パラノーマル・アクティビティ第2章/TOKYO NIGHT [DVD] マッハ!参 [DVD] ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島 3枚組DVD&ブルーレイ&デジタルコピー(DVDケース)(初回生産限定)

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2.09.2011

KISSのTシャツ 「モールス」



「ぼくのエリ 200歳の少女」 と説明的すぎる邦題の "Let The Right One In" がハリウッドリメイクされるとは聞いていたが、 海外では早くもDVD化。 エリはアビーとなり、 注目のクロエ・モレッツがキャスティングされたりしているが、 雪の静けさから暗闇の質感まで、 かなりオリジナルに忠実なリメイクと言える。 それならハリウッドリメイクにどんな意味があるのか。 それは あいかわらず疑問だが、 大半のアメリカ人は外国映画を好まず、 適当な作品をピックアップしてリメイクすれば それなりに動員できます、 ということなのだろう。

そう言えば時代設定は80年代だったなという感じで、 カルチャークラブはかかるし、 アビーはKISSのTシャツを着ている。 なぜ80年代なんだろと考えてみても、 オリジナルの脚本家の思い入れなのかなとしか思い当たらないが、 それはそれで不思議な雰囲気。 ハリウッド版は無理に80年代を引っ張り出そうとしている気がしなくもないが、 まあ それでもいいか。 オリジナルがいいだけに、 どこか空しいリメイクではあるが、 それでも仕事が来たら頑張るしかないということで監督はよくやっているのではないか。

すべてはリミックスでありリメイクだ、 みたいなことをカルチャークラブのボーイ・ジョージ氏がかつて語っていたような記憶があるが それでも、 リメイクでもなく、 文芸作品やコミックが原作ではない、 オリジナル脚本の映画が見たいと思うのは贅沢だろうか。 。 ローバジェットであれば生まれやすいか、 フィルムメーカーの心意気ひとつか、 いずれにしても そうやって出てきた映画があっさりとハリウッドに乗っ取られると、 何がオスカーだと思ってしまうのはヒネクレすぎだろうか。 。

(追記) こういう邦題になって公開決定。 モールス信号のこと?



モールス Let Me In (2010) 日本公開2011.8/5 公式サイト 象のロケット 
監督 マット・リーヴス 
クロエ・モレッツ コディ・スミット=マクフィー 

1.30.2011

想像とは違う声 「キャットフィッシュ」



当事者が実名で登場するフェイクでないドキュメンタリーだが、 傾向の近い作品である 「タルホットブロンド」 などと比べると詩情があるし、 哲学的なメッセージもあって良作だ。

NY在住24才のカメラマン ヤニヴは、 ふとしたことから8才の絵の上手な女の子アビーと友だちになる。 彼女はミシガン州に住み、 彼の撮影したダンス写真をベースに絵を描いて送ってきたりする。 地元では有名な子供画家らしいが、 なにぶん まだ子供なので、 コンタクトを取るうちに彼女の母や姉と仲良くなる。 やりとりは主に facebookで行われる。

こうしたファミリーな付き合いは、 実名で登録する facebookでは意外によくあることのようで、 知り合いのフランス人も留学中の娘と facebookでコンタクトを取っている。 しかしここにはもう一つの現代的な病が潜み、 実名とプロフィール写真という前提が新たなファンタジーを生んでいるということを作品は明らかにする。

アビーの姉である19才のメーガンに恋したヤニヴは、 たくさんのテキストと携帯での少しの会話が物足りなくなり、 リアルの彼女に会いに行く。 しかしその前に不可解な事実が。 メーガンは作曲したり歌ったりするというので、 映画のテーマ曲を依頼する。 すると いい感じのものが送られてくる。 だが偶然、 ネット上で似た曲を発見してしまう。 どうも何かがおかしい。

わだかまりを解決するには会うしかないということで、 シカゴまで飛行機で、 そこからはレンタカーを借りてのロードムービーに。 夜の牧場へたどり着くあたりは、 なかなかサスペンスフルな展開となる。 さまざまな新事実が発覚し、 それはヤニヴにとって ともすれば不気味で、 また わびしいことだったが、 ここで彼の取った行動は寛容かつ誠実で、 自らの痛みに耐えて人を許すキリストがオーバーラップするかのよう。 それはいまアメリカが新たな時代の胎動の中で葛藤する姿のようでもあり 意外な感銘を受ける。

タイトルのキャットフィッシュとは 'なまず' のことだが、 そこにはこんな意味が込められている。 "なまずといっしょに搬送される魚は、 敵の存在を感じて俊敏さを失わず鮮度が保たれる。 同様に危機感を持つ人間は、 つねに考え、 鈍くならずに生きることができる"

エントリー題は、 初めてメーガンに電話したヤニヴが思わず発した言葉。 感のいい人はこのへんで先が読めるかもしれないが、 想像を超えた展開があり、 しかも事実なのだからサンダンス映画祭などで話題になるのもわかる。 日本公開があるのか ないのか、 こういう作品に触れる環境は日本には少なくて残念な限り。 いつかどこかで見かけても、 そのときはもう鮮度が失われているかもしれない。




キャットフィッシュ(原題) Catfish (2010) 日本公開未定 
監督 アリエル・シュルマン+ヘンリー・ジュースト 
ヤニヴ・シュルマン アンジェラ・ウェセルマン・ピアース メロディ・C・ロシャー

1.26.2011

バルーンになった少年・・ 「ブローン・アパート」



あさって公開の作品で、 主演は最近よく見るミシェル・ウィリアムズ。 本作では上半身ヌードもあり、 慣れないイギリス英語でがんばっている。 原作はサマセット・モーム賞受賞作品ということで予告もテンションが高かったが、 見終わってみると何となく "え?" な感じ。 。

「ブリジット・ジョーンズの日記」 で知られる女性監督の撮るウィリアムズは どこかジョーンズっぽくて可愛いが、 映画としては かなり '未完成度が高い'^ ^ 監督はアメリカ人をイギリス人化するのが好きなのか、 ウィリアムズは全編を通してブリティッシュ・アクセントで早口にしゃべる。 ときに憧れもするクイーンズ・イングリッシュだが、 やはりどこか東京人が話す大阪弁のごとく ぎこちなくもあり物語に入っていけない。 原題のごとく "扇情的" な音楽の使われ方は悲しみを煽るが、 よけいにチグハグさを強調しているとも言える。 男たちや母は、 いちおう置いているという程度。

テロで4才の息子を亡くした母親は 「息子を奪ったあなたへ」 という原作タイトルが意味するところの、 心に大きな傷を受けた者へのカウンセリングの一環としてビン・ラディンに宛てた手紙を書かされる。 そして最後に彼女が示した "爆弾よりもうるさいもの" とは果たして・・ 先日もロシアで惨事があり奇しくもシンクロしてしまう。 時代の陰はまだ継続中なのだとあらためて思うが、 原作の評判は映画化を担保するとは限らない好例になってしまったようだ。 世界的には3年前の作品で かなり遅い日本公開、 乞うご期待^ ^


ブローン・アパート Incendiary (2008イギリス) 日本公開2011.1/29
監督 シャロン・マグワイア  公式サイト・予告 象のロケット 
原作 クリス・クリーヴ 「息子を奪ったあなたへ」 
音楽 梅林茂+バーリントン・フェロング 
ミシェル・ウィリアムズ ユアン・マクレガー マシュー・マクファディン 

ブローン・アパート [DVD][DVD]

愛する人 [DVD] アウェイク Blu-ray & DVDセット (初回限定生産) 恋とニュースのつくり方 ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray] アンノウン ブルーレイ&DVDセット(2枚組)【初回限定生産】 [Blu-ray] 完全なる報復 DVD

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1.18.2011

半年後の・・ 「告白」



良くできてるし評判にもなったから、 現在の日本映画としては最高峰なんだろうな。 そのくせ、 こうして半年も経ってDVDで見たりするのが何となく恥ずかしい1本。 今さら話題にできない気になるのは、 なぜだろう。 理由は恐らく、 単に底が浅い? ハリウッドはアッパー系、 邦画はダウナー系なんて、 何となくわかる形容をどこかで見かけたが、 いずれにせよケミカルなことは確かだ。

松たか子は迫力あったな。 黒田育世なんてキャスティングも冴えてるとは思うが、 ここに来て中島監督は 広告表現的な浅さに回帰してしまった感があるのは気のせいだろうか。 高い精度で調合された効きのいい合成ドラッグ・・ しょせん その程度だと思えるのは、 原作ありきの映画製作にも起因しているだろう。 良くできた原作をベースに、 きちんとした演出プランを練ればアベレージは叩き出せる。 今度はオリジナル脚本で何か作ってほしいものだ。 "なあんてね" で終わるセンスがあれば面白いものができそうだが、 今さら そんなリスクは侵せないか ・・なあんて、 ね。

告白 (2010日本) 公式サイト 象のロケット 
監督 中島哲也 原作 湊かなえ 
松たか子 木村佳乃 岡田将生 西井幸人 藤原薫 橋本愛 黒田育世 

1.17.2011

歌舞伎町天国 「エンター・ザ・ボイド」



"2010年 SEXとマジックマッシュルームの旅"・・ そんなキャッチフレーズが付けられておりますが、 それはそれで言い得て妙。 まあキューブリックよりは遥かに楽観的で "死は最高のトリップさ" なんてセリフが似合うところはギャスパー・ノエか。 幽体離脱した魂からの視点という新たなノエのチャレンジは、 ある意味では 「オカルト」 あるいは丹波哲郎の 「大霊界 死んだらどうなる」 の続編とも言え、 小説では石田衣良の 「エンジェル」 の実写版と言えましょうか。 。  (え?言えない^ ^)

ともすればサイケ調の時代遅れの映像と評されがちながら、 このブラックライト的でジオラマ的なサイケはクラブシーンでのリバイバル・サイケとシンクロする。 日本の芸能人逮捕でも聞くMD*Aのようなドラッグの名称が飛び交うなか、 幼い頃に交通事故で両親を亡くした兄妹は東京で再会する。 しかしドラッグがらみのトラブルから "ずっと一緒だ" との約束に反して、 兄は死んでしまう。

バーの汚いトイレで倒れている自分自身の肉体を空中から眺める兄。 その後は あちこちを浮遊して生きている人々を空中から盗撮、 あるいは人生の走馬灯を見るような回想の連続で、 ディレクターズカットだと2時間40分。 休憩や睡眠を挟めるDVDでよかったなと^ ^ 結末もかなり早い段階で読めているので求心力は弱いながらも、 楽しめる映画体験ではあった。

浮遊感もVFXもあらためて感動は受けないが、 カルマの楽観的な解釈には苦笑いさせられた。 グロさは昔よりは薄くなったが、 カルト性やオリジナリティはあいかわらず高く、 資金繰りに苦労しながらの製作はリスペクトに値する。 自分的にもっとも衝撃を受けたシーンは、 事故に遭った幼いリンダがクルマの後部座席で、 血でウガイするようなブクブク音で絶叫するところ。 兄と引き裂かれて連れて行かれるエレベーターでの抵抗ぶりも凄かった。 この子役の娘エミリー・アリン・リンドに助演女優賞をあげたい^ ^ もちろんパス・デ・ラ・ウエルタもナイスキャスティング!



エンター・ザ・ボイド ENTER THE VOID (2009フランス) 日本公開2010 公式サイト 
脚本・監督 ギャスパー・ノエ 
ナサニエル・ブラウン パス・デ・ラ・ウエルタ シリル・ロイ 
丹野雅仁 エミリー・アリン・リンド 

1.16.2011

もうIEも恐くない^ ^


仕事であれ趣味であれ、 ウェブデザインをやる人を泣かせるのが、 ブラウザごとの表示の違い。 とくにIEはバグや独自の解釈によって、 いつも見事にズッコケてくれる^ ^ さまざな対処法を仕入れても、 どうしてもIEに合わせるために他の精度に妥協が入って悔しい思いをすることが多々あった。

ところが最近、 すごく便利なものを発見! これがすごく重宝している。 もし、 まだご存知でない方がいたらぜひ教えたくて、 番外編エントリー。 それが、 これ。

 »»» Browser Selector

このjavascriptをかませば、 簡単なcssの追加だけで そのブラウザだけのスタイル記述ができる。 たとえばIEだけマージンがおかしかったとすると、 スタイルシートにこう追加すればいい。

 .ie div.**** { margin:-30px 0 0 0; }

するとIEだけそうなって他には影響なし。 すごくカンタン!

Windows版のChromeだけに残る border-radius と box-shadowのinsetを同時に使ったとき四隅に黒地が出るバグも、 こう。

 .win.chrome div.**** { border:#****** solid 5px; }

背景と同じ色のボーダーで黒地を塗りつぶせばOK。 (ちょっと白い線が残るが、 これ以外に方法はない。 バグが取れるまでの対処ということで。 )

詳しくは上記サイトで。 とにかく、 これサイコー^ ^