12.19.2010

あれは誰だ?! 「デビル」



悪魔に回帰しつつあるホラー、 この作品はホラーというより宗教的なサスペンスかもしれないが、 シャマランが原案を出してハリウッド・リメイク版REC 「クアランティン」 の監督で送る話題作。

なかなか隅に置けない監督で、 タイトルバックからショックを与えてくれる。 フィラデルフィアの街並みを空撮しているだけなのだが、 逆さ映しになっている。 関係者の間でもウケたのか、 これはトレーラーにも使われている。 ただ逆さまになってるだけなのに異様な気分になってくる。 そのあとに高所恐怖症を誘発するような1ショットがあり、 本編はエレベーターに閉じ込められるという閉所恐怖症がらみのストーリーだ。

エレベーターに閉じ込められるというネタはたくさんあるが、 照明がチカチカする一瞬の間に密閉空間で次々と人が殺されてゆくという展開はなかったのではないかと思う。 当初は故障だろうということで警備やメンテナンス係が奔走するが、 やがて別件で近くにいた刑事が駆けつける。 刑事は5年前に妻子をひき逃げ事故で亡くしている。 偶然 居合わせたかのように見えて最後は不思議な結末へと導かれる。

密閉空間で進行する不可解な殺人と、 その外で行われる大げさな救助活動や見当違いの犯人究明がコントラストを成して カテゴリーに収まらない面白さを見せるが、 恐怖は安息へと収束し、 余韻を残して終わる。 神や悪魔はやはり存在するのだという宗教的な結論とともに・・




デビル DEVIL (2011) 日本公開7/16~ 公式サイト 象のロケット 
監督 ジョン・エリック・ドゥードル 原案 M・ナイト・シャマラン 
クリス・メッシーナ ローガン・マーシャル=グリーン ボヤナ・ノヴァコヴィッチ
ボキーム・ウッドバイン ジェフリー・エアンド ジェニー・オハラ 
デビル [DVD][DVD]

復讐捜査線 [DVD] デビルクエスト スペシャル・エディション [DVD] ドライブ・アングリー [DVD] ハンナ [DVD] ラスト・ターゲット [DVD]

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12.18.2010

本番後30年 「白日夢」



その昔、 ロマンポルノ界に '本番' 旋風?を巻き起こした1981年の伝説の作品を、 それ以降、 '本番' 女優と異名を取った愛染恭子 自らがメガホンを取ってリメイク。 30年前になるのか、 確かに いわく付きな雰囲気が記憶の片隅に残っている。 作品も見たはずだが、 そちらは かけらも残っていない^ ^こんな話だったんだな。 。

時代を設定し直した感じはせず昭和の香りがするが、 リメイクのポイントは曖昧。 歯科医の妻がいつも赤いドレスに毛皮のコートを着ているなんてのはNG。 警官、 銃、 整形、 幻覚・・ 今風に面白く撮れそうな題材という気もするが、 そうはならず関係者だけのノスタルジーに終わっている。 肝心のエロも??で、 主役がどのように選ばれたかはよく知らないが、 ペチャXXを使うのは伝統か。

白日夢 (2009日本) 公式サイト 
原作 谷崎潤一郎 
監督 愛染恭子+いまおかしんじ 
西条美咲 大坂俊介 小島可奈子 鳥肌実 
白日夢 [DVD][DVD]

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私 いくつに見える? 「結婚の条件」



アメリカにもチェックのスカートが制服の女子高なんてあるんだな・・ 感想はズバリ、 それだけ^ ^ そんな女子高で教鞭を取る男は間違いを起こさず、 間違いを起こすのは妻のほうだった。

アイスクリーム・パーラーでバイトする16歳男子に話しかける人妻。 "私 いくつに見える?"  "30"  "ブー 27よ  若い子にはオバサンは何歳でも同じだろうけど" みたいなセリフがあるが、 40くらいに見えた。

なぜこの映画を見たのか、 今となっては よくわからない。 たぶんサンダンス話題作!なんてコピーに釣られたのかもしれない。 つい最近DVDになったようだが2004年の作品だ。 ビデオ題には "サイモン・ベイカーの" みたいな肩書きがついているが、 それって誰? エントリーしようか どうしようか迷ったものの、 いちおう入れておくか。 今月は少なくなりそうだし。

音楽はオルタナ・カントリーの CLEM SNIDE などを使って、 そこそこ印象的。 Joan Jett of Arc という曲は ジョーン・ジェットさんとジャンヌ・ダルク (英語ではジョーン・オブ・アークと言うので) をひっかけたのだろうか。

この人妻、 昔はシンガーをめざしてたとかで、 劇中で歌われるのが The Book of Love なのだが、 ピーター・ゲイブリエルの作なんだね。 オコナーのシャツだけ姿、 ベイカーのブリーフ姿、 スミスの海パン姿など、 なぜかパンツものが見せ場だが、 IMDbでの評判は悪くないので、 じっくり見るといい作品なのかも^ ^


結婚の条件 BOOK OF LOVE (2004) 日本未公開 
監督 アラン・ブラウン 
フランシス・オコナー サイモン・ベイカー  グレゴリー・スミス 
[DVDはレンタルのみ?]

12.14.2010

賞を取ったら寝てあげる 「セレブ・ウォーズ」



日本未公開のDVDスルー作品のなかでは比較的 華やかな雰囲気。 ミーガン・フォックスのスケスケにつられて見た^ ^ ギトギトのハリウッド作品かと思いきや、 サイモン・ペッグのフーリガンづらでもわかる通り、 イギリス映画。 ロンドンで倒産寸前の雑誌社の記者だった男は、 ひょんなことからNYのメジャー誌に移ることとなる。 そこで見たアメリカのセレブ事情。 実話に基づく物語とのこと。

キルステン・ダンストやジェフ・ブリジッスまで出てくるメジャー級の作品ながら、 期待したようなディープなネタはなく、 いわゆる一つのラブコメだった。 ハチャメチャそうに見えても、 そこはイギリス映画。 どこか品良くまとまっている。 取り立てて書くこともないが、 観ていると頭の中で、 イギリスとアメリカの構図みたいなものが浮かび上がっては消えるので、 そのことを書いてみよう。

アメリカは、 ヨーロッパの旧世界やその他さまざな地域から人が集まってきて、 200数十年前に建国されたわけだが、 言語は英語だし、 イギリスとは切っても切れない関係。 つまりイギリスから独立を宣言したのが7月4日の独立記念日だ。 いまさら、 そんな歴史を紐解いても大して意味はないかもしれないが、 イギリス人から見たアメリカは、 他のヨーロッパの国から見た、 あるいは自分たちが感じるアメリカとは少し違うのではないか。 たまにそんな風に思うことがあったが、 そうした考察が再燃した。

まず、 イギリス人もアメリカに対する憧れみたいなものは、 やはりあるようだ。 NYにやって来たこの男シドニー・ヤングは、 ブロードウェイをタクシーで流しながら、 タイムズスクエアのビルボードやネオンに心奪われる。 ようするにただのお上りさんだ。 その心を映すかのように、 ジェフ・ブリッジス編集長から言われる。 "君をイギリス人だと思うのはやめて、 ニュージャージー出身の男だと思うことにするよ"^ ^

憧れの職場は意外にもお固い雰囲気で、 イギリス人であるヤングの方が自由奔放に見えるほど。 そんななかで出会った売り出し中の新人女優に熱を上げ、 カッコばっかりの自称 "奇才" の映画監督をこき下ろそうとするが、 やはりイギリスとは勝手が違う。 たいていは素敵と思ってもらえるクイーンズ・イングリッシュも、 女優からは "アクセントがキツすぎて何言ってるかわかんない~ キモい" と言われる。

一口で英語といっても、 イギリス英語とアメリカ英語、 あるいはオーストラリアでは発音も表記もボキャブラリーもかなり違っていたりする。 この狭い日本でもさまざまな方言があるのだから、 世界に広がっている言語となると、 逆に通じる範囲に収まっているのが不思議とも言える。 しかしやはり言葉の障壁は低く、 自分たちは中学生の頃からあくせく勉強したのに、 そういう努力とは無縁で行き来できるわけだ。

日本の場合、 地方出身者は方言を標準語に矯正しようとする傾向があるが、 そもそも東京弁が標準かどうかはわからない。 英語の場合、 イギリス人は明らかに自分たちが標準という意識はあるだろうし、 アメリカ的な発音に直そうという人は、 東京生まれの人が関西弁を話そうとするより少ないだろう。 だからアメリカに住むイギリス人というのは その昔スティングが歌っていたように、 ただヘンな発音のエイリアンなのだ。

あいかわらず どうでもいい邦題がついているが、 原題はオシャレだ。 "友だちをなくし人を遠ざける法"^ ^ ここに奇しくもエイリアンの派生語が含まれている。 そんなニュアンスのなかアメリカでセレブと戯れるヤングも実は、 早くに亡くした女優の母を思い、 父は著名な哲学者でサーの称号も持っていそう。息子もこう見えて古風なロマンチスト。 そんな展開になるところもまたイギリス製作ゆえのアイデンティティが表出する部分だろうし、 ギャグのテイストもやはりイギリス風と言える。 アインシュタインのこんな言葉も引用される。

 "Try not to become a man of success, but rather to become a man of value."
  成功する人より、 価値ある人になれ 

フーリガンづらのペッグは中盤の仮装パーティでベラ・ルゴシの吸血鬼をやるが、 これが最初 誰かわからないくらいの変貌ぶりで面白い。 キルステン・ダンストは小説家をめざす編集者というマッチしすぎる役ではあるが、 いい感じ。 アメリカで活躍するイギリス人を研究してみるのも面白いかもしれない。

セレブ・ウォーズ ~ニューヨークの恋に勝つルール~ (2008イギリス) 日本未公開
How to Lose Friends & Alienate People
監督 ロバート・B・ウィード 脚本 ピーター・ストローハン 
サイモン・ペッグ キルステン・ダンスト ミーガン・フォックス  ジェフ・ブリッジス
[DVDはレンタルのみ]

12.11.2010

ポーランドパンジー 「カティンの森」



とりあえず年末となり、 忘れ物はないかとチェックしてみたところ、 これを忘れていた。 「地下水道」 も 「灰とダイヤモンド」 もさすがに生まれる前の映画なので、 物心ついてスノッブして見たはずだが、 少し上の世代の安保などとリンクしたイメージになる。 それから何十年も経ったこの作品にも、 意外なことに闘うレジスタンスはしっかり息づいていた。

スターリン時代のソ連が行った大量虐殺。 捕虜となったポーランドの将校たちは頭を撃ち抜かれ、 カティンの森に埋められた。 しかしそれは長い間、 敗戦国ドイツ、 つまりナチスの行為とされていた。 使用された銃はワルサーP38やルガーP08。 それらがドイツの銃であったことはすわわち、 計画的 'なすり付け' だったのだ。

事実の告発として早いわけではないが、 そういうことがあったことも知らなかったので周知には役立ったわけだ。 死ぬまでに撮っておきたかった作品として、 告発と抵抗の他にワイダ監督は何を描きたかったのだろう。 ここで気になるのは女性像である。 どの男もあっさりと殺されてしまうわりに、 その妻や妹たちは、 男たちが帰ってくるという希望を捨てず、 希望がかなわないとわかってからも大きいものに巻かれようとせず、 髪の毛を売ってまで、 真実を刻んだ墓石を立てようとする。

"やまとなでしこ" という表現になぞらえれば、 それは "ポーランドパンジー" か。 彼女たちの凛々しい眼差し、 凛とした姿をポーランド魂の象徴としてフィルムに刻みたかったのかもしれない。 したたかでも強いでもなく、 見目麗しいでもエロかっこいいでも、 肝っ玉母さんでも守ってあげたいでもない女がそこにはいる。 フォトジェニックという言葉があるなら、 シネマトジェニックもあっていいいだろう。 ようするにシネマトジェニックな女たちが出てくる映画なのだ。 ワルシャワ万歳!

*パンジーはポーランドの国花 



カティンの森 KATYN (2007ポーランド) 日本公開2009 公式サイト
監督 アンジェイ・ワイダ 
マヤ・オスタシェフスカ ダヌタ・ステンカ マグダレナ・チェレツカ 
アグニェシュカ・カヴョルスカ アントニ・パヴリツキ アルトゥル・ジミイェフスキ
カティンの森 [DVD][DVD]

誰がため [DVD] バーダー・マインホフ 理想の果てに [DVD] メリル・ストリープ主演『ホロコースト -戦争と家族-』DVD-BOX カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺 カティンの森 (集英社文庫)

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12.10.2010

Awesome to be Me 「グレッグのダメ日記」



日本では さら~っとDVDスルーしておりますが、 全米ベストセラーの映画化で原作者自らが製作総指揮を取っている微妙な注目作品。 内容はアメリカ版中学生日記と言うか、 中学という特殊な環境を生き抜く少年少女たちの仁義なき戦いと言うか、 オジサンには大して関係のない話でありました。 関係ないと言いながらも、 もう100年ぐらい前になるが自分にも中学時代があったわけだし、 また今や息子が堂々の中二。 。

つまらないエピソードの連続ながら、 洋の東西を問わず中学というのは なぜこうなんだろうと思いながら見てしまう。 小学校まではそれなりにハッピーだったのが、 中学生になると何かが音もなく変わる。 まるでパラレルワールドに迷い込んだかのように。 そして高校生になるとそんな煉獄はさっと忘れ本物の地獄へ・・ ここにはシリアスなイジメも受験も登場しないが、 代わって "人気者になること" への飽くなき追求がある。 アメリカの中学では何かの分野に秀でて、 卒業アルバムの特別なページに載ることが勝ち組へ道の第一歩なのだ。

そんな道からは大きく外れたサエない新中学生二人。 中学に入ったらまず悪友とは縁を切れ。 イヤミな兄ちゃんからそう言い聞かされていたにもかかわらず、 二人は親友であり続ける。 ところがこともあろうに、 ふとしたきっかけからデブの方が人気が出てしまう。 遅れを取ったもう一人は焦ってさまざまな行動に出るが、 すべて裏目に。 二人は絶交し・・

キック・アス」 で注目度急上昇中のクロエ・モレッツも厭世的な学校新聞記者として登場。 取材と称して対象をバカにした記事を書くのが生き甲斐^ ^ It's Awesome To Be Me. (自分らしくあれ) というアメリカらしい標語が なかば茶化されて使用されるが、 このあたりにもアメリカは変わったんだなと感じる。 自分が中学生の頃なら、 こんな標語は大マジに響いたはず。 アーリー・ティーンの苦い思いを追体験したい人は、 もうすぐDVD店に並ぶはずなので ぜひ。

リアル中学生が見たらどう感じるのだろう、 今度見せてみようか。 何も感じないかもしれないという気がするのが、 ちょっと怖い^ ^


グレッグのダメ日記 DIARY OF A WIMPY KID (2010) 日本未公開 
監督 トール・フロイデンタール 原作・製作総指揮 ジェフ・キニー 
ザカリー・ゴードン ロバート・キャプロン クロエ・モレッツ グレイソン・ラッセル デヴォン・ボスティック レイチェル・ハリス 
グレッグのダメ日記 [DVD][DVD]

ローラーガールズ・ダイアリー [DVD] みんな元気 [DVD] Mr.ゴールデン・ボール/史上最低の盗作ウォーズ [DVD] アダルトボーイズ青春白書 [DVD] Diary of a Wimpy Kid #5: The Ugly Truth

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