6.15.2010

見た見た見た見た!!! 「ランナウェイズ」



ついに見た! 見た見た見た見た^ ^ だから今日はいつにも増して、 有頂天^ ^ ストーリーは既成事実なのでネタバレにはならないだろう。 節操なく書くことにしよう。 もちろん これほど騒ぐ映画でないこともわかっているが、 そこはもうロジックじゃないのだ。 伝説のガールズバンドと言ったって、 映画ができるまでは思い出しもしなかったのに、 こんな企画があることを知った去年から、 いても立ってもいられない何かがそこにはあった。

ランナウェイズ・・ (シャネルズじゃないよ^ ^) "家出娘" という名の、 当時 世界初という触れ込みの女だらけのポロリ・・ じゃない、 女だけのロックバンド。 スタイルはロックだがスピリットはパンクだな、 幼き日の私めはこれに反応してしまい、 映画にも登場する日本公演、 すなわちライブ・イン・ジャパンに行った。 何でそんなスケベなものを見に行くんだと回りには からかわれた。 それはヴォーカルのチェリー・カリー (映画ではシェリー・カリーと正しい発音で呼ばれているが 日本ではチェリーだった) がコルセット姿で歌うという大きな売りがあったからだ。 このコルセットは実際は "チェリー・ボム" の1曲でしか着用されないが、 エロい演出はシェリー本人の発案らしい。 てっきり まわりがやらせたと思ってたけど。



15才・・ シェリーは当時15才だったんだね。 今だと青少年保護条例とかで公演できないかもしれない。 当時、 それはそれはセクシーなお姉さん方だった。 でもバンドって、 それに夢中になってた頃は兄さん姉さんだが、 ある程度歳を取ってみれば少ししか変わらなかったりするんだよね。 当時はすごく大人に見えた彼女たちが、 実はまだまだ子供だったということに 映画でもフォーカスが当てられている。 何と映画のファーストシーンは、 シェリーの初潮から始まるのだ。

シェリーは、 過激なリードヴォーカルというキャラに祭り上げられ、 写真撮影ではいつもセンター、 雑誌の取材でもメイン・・ それが災いして、 バンドのメンバーからは "私らはお前のバックバンドか?" と なじられ居場所を失っていく。 本当はおとなしくて傷つきやすいシェリー、 家に帰りたい、 家族と過ごしたいと こぼしてしまう。 しかし家に帰っても両親は離婚して、 母親は再婚相手の住むインドネシアに行った。 そして父はアル中。 ギターのジョーン・ジェットからは、 今は私らが家族じゃないかと言われるが、 それでも家が恋しい。 シェリーには双子の妹マリーがいるが、 ずいぶんと違う生き方をしてしまったものだ。 マリー役のライリー・キーオはプレスリーの孫娘なんだそうだ。 双子を別人が演じながら、 似てるような似てないような感じが上手く出てる。

ダコタ・ファニングは、 最初にキャスティングを聞いたとき、 記憶の中のチェリー・カリーとは かけ離れていて、 というか幼なすぎて、 え? という感じだった。 だが映画を見たら監督の意図が徐々に理解できて、 彼女でよかったんだろうなと思う。 ライブ・イン・ジャパンでもおなじみの銀色のジャンプスーツ、 これが映画でも再現される。 ダコタは想像以上にカッコよくこれを着こなして、 うわあ、 細い〜、 足長〜いという当時の印象が甦る。 背も高そうに思ったけど、 ブーツで底上げしているだけで実際はそれほど長身でもなかったということが、 妹とのやりとりからも窺い知れる。 妹の方が背が高く、 初潮も早く迎えたということ。 映画はシェリーの自伝 "Neon Angel" をベースにしてるということなので、 このあたりはリアルだ。



そして赤のジャンプスーツはこの人、 ジョーン・ジェット。 演じるは 「トワイライト」 シリーズでもおなじみのクリステン・スチュワート。 これがもう、 かなり似てる! ダコタのシェリーも、 一瞬ドキッとするほど似てることがあるが、 クリステンはまさに '役者やのう' な人だ。 顔はもちろん、 立ち姿、 動き・・ ほんとにジョーンがそこにいる感じ。

取り上げられるジェットなエピソードもわかりやすくて面白い。 ギター教室へ入ったのはよかったが、 そこでのフォークソング "On Top of Old Smoky" に耐えられず、 どうせなら "スモーク・オン・ザ・ウォーター" は?と口走っては なだめられ、 あげくは勝手にアンプをつないで かき鳴らし、 さよなら^ ^ スージー・クアトロが彼女のアイドルだが、 貯金箱を割ってきたような小銭で男物の革ジャンを買い スージーを気取る。 レズシーンなどは噂ほどではなく ぜんぜんソフト^ ^ 映画のプロデュースにはジョーン・ジェット自身も参画している。

そんな彼女もランナウェイズが解散してからは、 今度は男を率いてのブラックハーツを結成するが、 メジャーレーベルからはまったく相手にされず、 最後には自分でレーベルを立ち上げて出したシングル "I Love Rock and Roll" がミリオンヒット。 ざまあみやがれだったろうな。 この曲は のちにブリトニー・スピアーズなどもカバーしてる。

ようやく本当のロックミュージシャンになれたジョーンは、 ラジオ出演の際にシェリーからの電話を受ける。 シェリーは雑貨屋に勤め、 雑貨屋の主人の '勤務中に電話するな' という叱咤の声のなか、 ファンとして電話している。 微妙にグッとくる、 これがラストシーンだ。



そしてステージには上がらないが、 もう一人の主人公がいる。 それは男。 こやつこそが The Runawaysの生みの親キム・フォーリーだが、 彼の毒々しさをマイケル・シャノンが好演。 ヒット曲 "チェリー・ボム" も彼の即席曲であったことがわかる。 その下品な歌詞をシェリーは最初 歌うことができない。 どこにでもいる、 ちょっと不幸な女の子を "家出娘" に仕立てる手腕がそこにはあった。 先日亡くなったマルコム・マクラーレンのセックス・ピストルズに対しての関係と同じ。 だがキムは健在。 今でも髪をグリーンに染めてサンセット・ストリップに出没するという^ ^

リード・ギターのリタ・フォード役のコもよく似ている。 映画ではシェリーを 'いびる' 役回りに終始しているが、 当時は一番エロいネエさんだった^ ^ ドラムのサンディ役のコはちょっと違う気もするが、 共演する男のバンドとのイザコザシーンではタンカを切ったり迫力満点。 サンディ本人はすでに他界しているが、 ガッシリした体格の彼女なら腕力でも男と渡り合ったことだろう^ ^ ベースはジャッキー・フォックスという最長身のメンバーだったが、 許諾が下りないということでロビンという架空の人物になっている。

シェリーがドラッグにハマっていった過程などは描き切れていない気もするが、 曖昧にボカされたのかもしれない。 多分に作られたアイドルグループであることは否めないが、 15才の少女が世界を相手に魂を燃やして戦ったことだけは事実で、 それを演じることになったスチュワートやファニングたちが、 ここまで役者魂を見せて挑んでいることも不思議と言えば不思議。 歌やステージアクト全部やってるわけだから、 なかなか力仕事。 うがった見方をすれば手記をベースにしただけのマイナーなセミドキュメンタリーとも言えるが、 リアルタイムで体験した自分が想像以上に楽しめたことも事実。 これ見たい~!! と思っている人は自分の他にも少なからずいるはず。 そしてたぶん、 ランナウェイズなんて聞いたこともない世代が見ても、 そこはかとなくわかる何かが今だ ここに息づいているのではないかと。

しかし例によって日本公開はいつになるかわからないので、 その気になったら夏に海外版DVDでも入手して、 聞き取れない英語と格闘しながら、 このケバさを楽しむのも悪くない。 昔、 レコードも輸入盤の方が安いといって、 そっちを買ったりしたものだ^ ^ 訳詞は付いてないので辞書を引いて歌詞を読む・・ そういうお勉強も懐かしいな。



シェリーが学校の文化祭で踊ってブーイングを浴びたデビッド・ボウイのパフォーマンス、 トレーラーでの練習、 日本での異常人気、 彼女たちが着ていた Sex Pistols や Cheap Trick のロゴTシャツ、 さくらんぼとジェット機のタトゥ・・ それらもすべて再現されている。 練習は演奏の他に 'ライブ対策' というのをやるが、 これがケッサク! 何かはマル秘にしておこう。

ジョーンが水鉄砲を持った写真なども覚えてる気がするが、 そこには酒が入っていたのだ^ ^ 酒とタバコとドラッグ・・ 定番のロックアイテムだが、 15才だからね^ ^ これらが青少年を むしばんだことは事実だが、 ただ むしばまれただけではない強さが彼女たちにはあった。

取り上げられている曲をざっと時系列で挙げると・・
Fujiyama Mama (by ワンダ・ジャクソン)
Wild One (by スージー・クアトロ)
Lady Grinning Soul (by デビッド・ボウイ)
This is a Man's World (by ジェームズ・ブラウン)
Fever (by ベギー・リー)
Cherry Bomb (練習)
Hollywood
California Paradise (パーティ・ギグ)
Drive Me Wild
Dead End Justice (初ライブ)
Starry Starry Night (by ドン・マクリーン)
I love Playing With Fire
I Wanna Be Your Dog (by ストゥージズ)
School Days
I Wanna Be Where The Boys Are
Pretty Vacant (by ピストルズ)
Don't Abuse Me (練習)
Cherry Bomb (live in Japan)
Love Is Pain (by ブラックハーツ)
I Love Rock 'n' Roll (by ブラックハーツ)
BGMとして流れる曲などもまだあるが、 めぼしいところではこんな感じ。

監督はイタリア生まれの女性で、 プロモーションビデオ等の制作で活躍する人らしい。 トレーラー等はこちらで見てね。

ああ、 見てしまったんだな。 感慨^ ^ 自分にとって今年のビッグイベントはサッカーのワールドカップではなく この映画だったので^ ^ 見終わった後は脱力感・・ ♪ 望みが美しいのは それが満たされぬうちだけなのよ と、 まったくこの映画には関係ないが 映画 「愛の嵐」 の挿入歌が加藤登紀子訳で頭の中に流れてしまった。 。

(追記) あ、 シェリーのママって、 テイタム・オニールだったんだ。 「ペーパー・ムーン」 (1973) で子役だったのが、 ママ..^ ^

(追記) 来年3月に公開決定! めでたしめでたし^ ^



ランナウェイズ The Runaways (2010) 日本公開2011.3/12 
監督 フローリア・シジスモンディ 
クリステン・スチュワート (as G. ジョーン・ジェット)
ダコタ・ファニング (as Vo. シェリー・カリー)
ステラ・メイヴ (as Ds. 故サンディ・ウェスト)
スカウト・テイラー=コンプトン (as Lg. リタ・フォード)
アリア・ショウカット (as 架空のB. ロビン)
ライリー・キーオ (as マリー・カリー) 
マイケル・シャノン (as キム・フォーリー)
テイタム・オニール (as ママ) 
ランナウェイズ [DVD][DVD]

カントリー・ストロング [DVD] 抱きたいカンケイ スペシャル・エディション [DVD] 愛する人 [DVD] キラー・インサイド・ミー [DVD] ブラック・スワン 3枚組ブルーレイ&DVD&デジタルコピー (ブルーレイケース) 〔初回生産限定〕 [Blu-ray]

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4 コメント:

umetraman さんのコメント...

こんばんは~♪ご無沙汰しております^^

「ランナウェイズ」、私にはまだ早かったのかなあ。うっすらと記憶にはあるんですが。。。曲聴けば思い出すかなあ。
記事からはkiona様の愛が十分伝わりましたですよ^^大ファンだったのですね。
私も今でも聴いてるような懐かしいミュージシャンの作品が出来たりすると燃えてしまいそうです。誰だろう・・・ボウイかな?クラフトワークかな?(笑)。「ベルベットゴールドマイン」ってのがありましたが、あれボウイ本人承諾してないんですよね? 

それにしてもダコタ・ファニングがミュージシャンの伝記映画に出てるってのが意外な感じです。個人的にはキーキー甲高い声出す幼女ってイメージなもので。それが歌手役として生かされてたり?(笑)。すっかり成長されたようですね!
彼女の母親役がテイタム・オニールってのも、今現在の彼女を見たことがないので大変気になってます^^

ガツンと応援いきますよ~♪凸

kiona さんのコメント...

>umetraman さん
ありがとうございます!!

The Runawaysと書いたTシャツも持ってましたし^ ^ また彼女ら自身が当時まだまだ、いちロック少女で、ロックショーやミュージックライフといった日本のミーハー雑誌に載るときも SexPistolsやCheapTrickのTシャツを着てましたね。 そのへんがよけいに親近感があったのかも。

シェリー・カリーのステージアクションはほとんどデビッド・ボウイの物まねのようでもあり、音楽的にも未成熟な楽曲がほとんどななか、Dead End Justiceという長い曲が1曲だけあったんですが、映画ではこの曲が早い段階で取り上げられます。 このへんも涙もの^ ^

ダコタ・ファニングが微妙に滑舌が悪いのか、イマイチ何言ってるかわかりにくく・・まさに渾身の視聴でした^ ^ これまでのダコタのイメージとはかなり違うので、そこはほんと気がかりでしたが、今となってはダコタ以外には考えられないとも言えます。 テイタム・オニールは言われてようやくわかったしだいですが。

ジョニー・デップが出てるドアーズの伝記物も控えているようですし http://www.imdb.com/title/tt1333667/
一種の伝記物バンドブームですね。 あ、「たま」 の伝記もできるそうです^ ^

応援THANX!!

Unknown さんのコメント...

なぜか最近、みょうに中学高校だった頃の曲を聴きたくなっておりまして、、、中学の頃部屋にデカデカとポスターを貼ってましたボーカルがガーター姿のバンド!どうして興味を持ったのかは忘れましたが、エロっぽさにやられたのでは無かったと思います。NHKで見てその格好良さ、気っ風の良さにやられたんだと思います。で、手に入れたライブ・イン・ジャパン!格好良かった~!デジタル・オーディオ・プレーヤーに入れて車の中でガンガン聞いてます。最高ですね。このライブにいらしたなんて羨ましい限りです。映画見たいです。もしかしたら泣いてしまうかも、、、、それくらいの思い入れがあります。だいたい現在でもランナウェイズを超えるガールズバンドってあるかなぁ?あのくらいのインパクトを持ったバンド、なかなか無いですよね。いや~、映画見たい!

kiona さんのコメント...

>jun さん
コメントありがとうございます!!

いや、当時ほんとにカッコよかったですよ。 でも、もう誰も知らない幻のバンドになってしまったと思っていたところ、このような作品が製作されていると知ったときはもう、一人ハシャイでしまいました。 。

ガーターベルトで歌うからと大人たちはエロ物扱いしてましたが、自分にはそういうものすべてが過激さの総体として、何か来るものがあったんですよね。

当時はおネエさまだと思っていたのが、映画を見るとジョーンもシュリーも15才だったんですね。 それくらいの歳が人間、いちばん過激になれるのかもしれません。

実は海外ではもうブルーレイになったりしてるんですが、とにかく一刻も早く日本公開してもらいたいものです。 なにせアメリカよりも先に日本でブレイクしたバンドですからね。 映画には日本公演の様子も出てきます~ 乞うご期待!