12.11.2010
ポーランドパンジー 「カティンの森」
とりあえず年末となり、 忘れ物はないかとチェックしてみたところ、 これを忘れていた。 「地下水道」 も 「灰とダイヤモンド」 もさすがに生まれる前の映画なので、 物心ついてスノッブして見たはずだが、 少し上の世代の安保などとリンクしたイメージになる。 それから何十年も経ったこの作品にも、 意外なことに闘うレジスタンスはしっかり息づいていた。
スターリン時代のソ連が行った大量虐殺。 捕虜となったポーランドの将校たちは頭を撃ち抜かれ、 カティンの森に埋められた。 しかしそれは長い間、 敗戦国ドイツ、 つまりナチスの行為とされていた。 使用された銃はワルサーP38やルガーP08。 それらがドイツの銃であったことはすわわち、 計画的 'なすり付け' だったのだ。
事実の告発として早いわけではないが、 そういうことがあったことも知らなかったので周知には役立ったわけだ。 死ぬまでに撮っておきたかった作品として、 告発と抵抗の他にワイダ監督は何を描きたかったのだろう。 ここで気になるのは女性像である。 どの男もあっさりと殺されてしまうわりに、 その妻や妹たちは、 男たちが帰ってくるという希望を捨てず、 希望がかなわないとわかってからも大きいものに巻かれようとせず、 髪の毛を売ってまで、 真実を刻んだ墓石を立てようとする。
"やまとなでしこ" という表現になぞらえれば、 それは "ポーランドパンジー" か。 彼女たちの凛々しい眼差し、 凛とした姿をポーランド魂の象徴としてフィルムに刻みたかったのかもしれない。 したたかでも強いでもなく、 見目麗しいでもエロかっこいいでも、 肝っ玉母さんでも守ってあげたいでもない女がそこにはいる。 フォトジェニックという言葉があるなら、 シネマトジェニックもあっていいいだろう。 ようするにシネマトジェニックな女たちが出てくる映画なのだ。 ワルシャワ万歳!
*パンジーはポーランドの国花
カティンの森 KATYN (2007ポーランド) 日本公開2009 公式サイト
監督 アンジェイ・ワイダ
マヤ・オスタシェフスカ ダヌタ・ステンカ マグダレナ・チェレツカ
アグニェシュカ・カヴョルスカ アントニ・パヴリツキ アルトゥル・ジミイェフスキ
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