12.03.2012

森の仕事は来ないか? HOLY MOTORS



カラックスの新作、 見た。 "知的な映画体験" "アートシアターの失敗作" "死と演技に関する論文" "シュールで不気味なパリジャン・トリップ" "カラックスは実存主義のメカニックか" "面白いアイディアだが達成されていない" "うぬぼれ屋のたわごと" などとIMDbでは評されているが、 まあ、 そんな感じだ^ ^

自分的には面白かったし、 いろいろ語りたいのはやまやまだが、 あんまり言うと面白さが半減するだろうから、 あくまでさわりだけ。

ヒントその1:特殊メイク ヒントその2:オスカー ヒントその3:来世 

ハリウッド映画だけではないが、 特殊メイクやCG、 モーションキャプチャーといった最先端ハリウッド的な要素が大きくフィーチャーされている。 またドニ・ラヴァンが演じる男はオスカーと呼ばれている。 これはカラックスの本名 (ミドルネーム?) でもあるらしいが、 あえてこの名前にしている以上、 他でもないアカデミー賞のオスカーと関連づけられてしかりだろう。 冒頭のシーンで、 人形のように、 あるいは死体のように映画を見ている観客が出てくる。 また中盤ではホリーモーターズのパトロンとおぼしき男のセリフとして、 観客の美をみつめる目が衰退していることが揶揄される。

ラスト間際にかかる叙情的な曲はこんな歌詞。 もし生まれ変われるとしても、 同じ人生を一からやり直すだけだとしたら? もう一度、 あの頃を過ごしたいか、 あの冷たい水を浴びたいか・・

朝、 子どもたちに見送られて豪邸を出るオスカー。 リムジンに迎えられ、 今日のスケジュールを確認。 車が着いた先でオスカーは乞食のばあさんになっている。 杖をついて橋の上で空き缶を差し出す。

リムジンの車内で念入りに変装し、 今度はなぜかマンホールの怪人に。 テニスルックのカメラマンを尻目に撮影中のファッションモデルを強奪、 そしてやはりお金を食べる。。 (曲はゴジラ、 弁当は幕の内^ ^) リムジンを降りてプジョーを自ら運転、 年頃の娘をパーティの帰りに拾い、 シリアスな説教をしたかと思えば、 次は殺し屋、 そして次は臨終間際の老紳士。 行かないでほしいとの想いを告げる相手の女も同業らしい。 その後、 かつての恋人に偶然出会うが こちらも同業で、 これから人生最後の日のスチュワーデスを演じるという。 どこまでがプライベートでどこまでが偶然かもわからない。 しかしどんな役柄であってもタバコは吸う^ ^

そうこうして真夜中、 ハードな一日は終わり、 わずかばかりのギャラを受け取り、 いよいよ最後のアポイントとして送り届けられた一軒の家は・・

カラックスはマイペースにいい場所へたどり着いたのかもしれない。 かつての疾走感はもうないかもしれないが、 それでも一部早回しにフォローさせながら、 賛否両論は言わずもがな、 ちょっと他では味わえない映画を送り出してくれた。 乞うご期待。 俳優の人が見ると一層面白いかもしれない。 エントリータイトルはオスカーが切望する仕事。 (ヒント4:森=ウッド?)





ホーリー・モーターズ (2012フランス・ドイツ) 日本公開2013.4/6 
HOLY MOTORS
脚本・監督 レオス・カラックス 
ドニ・ラヴァン エディット・スコブ エヴァ・メンデス ズラータ 
エリス・ロムー カイリー・ミノーグ ナスティア・ゴルベワ・カラックス 

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