7.26.2012

帰れない青年 「キナタイ」



突如として始まる (そして突如 終わるであろう) 夏のグロ映画特集。 本日、 その第一弾は "汚い" と読んでしまうコレ。 マニラ・アンダーグラウンドとのサブタイトルが漂わすヤバそうなニュアンスはほとんどなくテンポも悪いが、 ひょんなことからバラバラ殺人の片棒を担ぐこととなった ひとりの青年の普通の心情を淡々と追う^ ^

青年は警察学校に通う警察官のタマゴ。 娘が生まれ、 いわゆる "できちゃった婚" の結婚式を挙げたばかり。 フィリピンでは市役所で結婚式を挙げるのが一般的らしい。 ヘンなノリの式を、 へえと見ながら、 この辺りのシーンがけっこう長い。 まあ、 ひととなりをじっくりと描いているとも言えるが、 いろいろとお金がいるということで、 友達に仕事を紹介してもらう。 どんな仕事かと聞くが、 けっきょく現場に行ってみるまで詳細はわからない。

組織の使いっ走りの仕事のようだが、 まずは集金。 これならチョロいと思っていると、 女が車に連れ込まれる。 薬の代金が未払いらしい。 縛って口にテープを貼り、 延々と車は夜道を走る。 青年の顔は葛藤で歪むが、 いまさら引き返せず、 無言のまま車は走る。 この辺りもまた長い。 まあ、 じらすほどに、 これから起こることへの恐怖感は高まるとも言える。 そして人里離れた一軒家の地下室へ。

しかし事は進まず、 ビールやタバコの買い出しと使いっ走りをさせられ。 途中のバス停で、 このまま さよならしてしまおうかと考えるが ふんぎりが着かず。 とぼとぼ戻ると、 あれよあれよと言う間に女は刺されると同時に、 斧で解体される。 青年は吐き気を抑えながら、 麻袋を取って来させられ、 パーツをそこに詰めて、 帰り道に車から投げ捨てる。 痕跡がたどれないように、 あちこちにバラまくのに、 頭部だけはゴミ捨て場へポイ。

朝のニュースではそれが発見されたと報道されているが、 フィリピンでは珍しくないかのようだ。 一連の仕事の指揮を取ったボスに屋台でおごってもらうが喉を通らず。 これからもよろしくと、 ボスからプレゼントされた銃を鞄に忍ばせて帰路につく青年。 拾ったタクシーはなぜかパンクし立ち往生、 家では妻と娘が父の帰りを待ちわびている。 カンヌ監督賞、 日本未公開。




キナタイ マニラ・アンダーグラウンド (2009フランス・フィリピン) 日本未公開
KINATAY * 「三大映画祭週間2011」 でのみ上映 
監督 ブリランテ・メンドーサ 
ココ・マルティン

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