5.08.2012

Ganbare Nippon! 「ヒミズ」



DVDリリースまでまだ少しある中途半端なタイミングでのエントリーで失礼。 子温監督、 けっこう多作なので多少ありがたみには欠ける昨今、 しかし やはり見応えはあった。 キャスティングにしても、 いちいちリンクを張るのが面倒なくらい贅沢。

園監督は自分の中ではずっと評価の高いお方だし、 見応えも十分だったのに、 なぜか書くことがない。 かつての監督作品の感想として何を書いたのか振り返ってみたが、 自分でもイヤになるくらい まとまっていない。 。 が書くことがない理由もわかった気がする。 監督の日本での評価が上がったからだ。 好きだったバンドがメジャーになるような感覚・・

それでもやはり震災を撮影に行ったり (しかもドキュメンタリーではなく) あるいは原作を大きく改変しているところに支持の分かれ目を残し、 自分としては当然、 支持だが、 震災を映画のダシにするな、 原作への冒涜などの評を見かけると少し面白くなる。 もともと映画は身の回りのあらゆることをダシにするのだし、 そもそも小説やコミックなどの原作を勝手に取り上げて (金で買い上げて) 映画化なんてこと自体が傲慢きわまりないことなのだ。

宮台真司氏のコメントにからめてのシーンなどもヘンに効果的だったし (当初の役とは違ったらしいが) マルチェロ・マストロヤンニ賞の二人もよかったし、 存在感のある登場人物はみなよかったが、 それにも増して 「夢を持て」 との教師の言葉が空々しく響くがごとく、 瓦礫の山がセットに見えたり、 最後の 「がんばれ」 も一言ごとに意味が反転して、 励ましてるのか自虐的かけ声か、 ほとんどわからないくらいに、 映画を通して 「みんなを励ます」 ことの難しさが露呈している点がよかったように思う。

けっきょく映画は、 作り手の勝手なインスピレーションの集大成だし、 それをテキトーに楽しめる人が観ればいいのだし、 作り手がどれだけのリスクを取ってるのかが ときにはスパイスになるし、 それを楽しめる作り手だけが少しは観客を楽しませることができ、 けっきょくのところ評価は次への軍資金にすぎないのだ。

なんて、 多少は映画論ぽくなったかな。 。 とにかく、 これからも 'がんばって' ほしい。 自分は自分でがんばるから^ ^ 本作は海外ではまだこれから公開されるところなので、 もうひと波乱ありそうだ。


ヒミズ (2012日本) 公式サイト 象のロケット 
脚本・監督 園子温 原作 古谷実 アクション監督 坂口拓 
染谷将太 二階堂ふみ 渡辺哲 諏訪太朗 川屋せっちん 吹越満 神楽坂恵 
光石研 渡辺真起子 モト冬樹 黒沢あすか 吉高由里子 窪塚洋介 宮台真司 
村上淳 でんでん 

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