7.04.2014

それでも、きれいなお姉さんは好きです Under The Skin



スカヨハが意外にぽっちゃりした (ほどよく崩れたと言うべきか) ヌードで体当たりの話題作。 語弊を承知で言えばリンチ的な気もしたし、 トリアー的でもあった。 わけのわからなさ、 不気味さも ほどよい感じで、 スカヨハの無表情とともに楽しめる作品。

2000年の原作は知らなかったが、 それを下敷きにしていても恐らくは映像変調型の別のクリエーションになっていると思われる。 スカヨハだけでなく男の全裸シーンも多いが、 潔く?ボカシなしで公開してほしいものだ。 むしろ顔にボカシをかけないといけないくらいの出演者もいるのだから^ ^ (特殊メイクでなくスッピンとのこと) ジャミロクワイやレディオヘッドのPVで知られる監督だけに、 おせっかいな左脳の干渉を突き放して味わうべきだろう。

死体から剥ぎ取ったものを身にまとった 'そいつ' は男なら誰もがそそられる美人だった。 しかし誘惑されてタールの海に沈んでいく男たち。 何度か繰り返されるこのパターンはヘンな味わいがあって、 もっとリピートしてもらってもよかった。

霧に包まれるスコットランドの田舎町、 エジンバラの湿った雑踏。 見慣れない風景のなかドライブを続ける 'そいつ' は得体の知れない捕食者であるにもかかわらず、 どこででも歓待される。 きれいなお姉さんという理由だけで。 お姉さんはハングリーで獲物獲得に追われるが、 そんな日々も長くは続かず、 やがて亀裂が‥。 乞うご期待!

(追記 9/19) 10月に日本公開されるようす。 グレイザーはキューブリックの後継などと囃し立てられております^ ^




Under The Skin (2013イギリス・アメリカ・スイス)
アンダー・ザ・スキン 種の捕食 日本公開2014.10/4 公式サイト
監督 ジョナサン・グレイザー 
原作 ミッシェル・フェイバー 
スカーレット・ヨハンソン 

6.21.2014

世界の訛り “IN A WORLD...”



ゴツめの顔なのにキュートなレイク・ベルさんが脚本・監督・主演・プロデュースまでを務める力作。 こうした才女がアメリカでは増殖中な気がするが、 日本ではタナダユキさんと愛染恭子さんくらいだろうか。

内容は、 日常の一コマを切り取ってくるという自分も好きなスタイルで、 いちおうラブコメ。 ナレーターあるいは声優という、 ややマイナーめな業界モノであるところにも興味をそそられた。 日本もアニメは強いから声優は人気職だが、 仮にそのへんを取り上げたとしても、 こうした素敵な雰囲気になるかどうかは微妙なところだろう。

“In a world...” というのが有名なフレーズだったとはつゆ知らずだが、 なぜかアメリカのナレーター業界は男社会で女性が入り込みにくかったらしい。 憧れの仕事は映画予告編のナレーションということだが、 ベル演じるキャロルや女性プロデューサーの登場で a world が “brand new world” へと変わる。 邦題にそんな含みは微塵もないのに、 字幕は反対に意訳すぎて brand new world のところを “女が世界を変える” などとしていて、 そうすると今度は決めつけすぎなニュアンスとなる。 世界が新世界に変わる、 というくらいでいいように思うが、 難しい部分ではある・・

彼女は普段、 他の声優に方言指導をしていて、 ロシアなまりやジャパニーズ・イングリッシュのサンプリングにも熱心。 英語はグローバルだから、 ネイティブの人は世界中の第二・第三言語として英語を使う人のさまざまなアクセントに遭遇する。 中西部などのローカルな訛りは馬鹿にするのに、 非ネイティブには寛容であるばかりか、 むしろ面白がってくれている部分があるところを彼女は体現している。 シャイな日本人も恥ずかしがらずに、 下手な英語を自信を持って披露すべきなのだ^ ^

そんなキャロルを密かに想うディレクター、 大御所ナレーターの父の若い再婚相手、 父が目をかける売れっ子ナレーターとキャロルの一夜の過ち、 キャロルの姉夫婦のそれぞれの浮気心‥ そんなエピソードを交えながら話はテンポよく進む。 とくに波瀾万丈な展開はなく、 エンディングにはティアーズ・フォー・フィアーズなんかが流れるが、 地に足のついた作風はベルの監督としての次回作を期待させる。



IN A WORLD... 私にだってなれる! 夢のナレーター単願希望 (2013) 日本未公開
脚本・監督・主演 レイク・ベル 
ディミトリ・マーティン ケン・マリーノ ロブ・コードリー 
ミカエラ・ワトキンス フレッド・メラメッド 

6.18.2014

いいねえ、そのサングラス “Only Lovers Left Alive”



何だかんだと更新が滞り、 それでも夏はやってくる、 と感慨に浸る。 死ぬまでにあといくつの夏を迎えられるだろう。

なぜか今季はアニメをたくさん見てしまい、 「極黒のブリュンヒルデ」 の寧子や 「それでも世界は美しい」 のニケは可愛いなとかなり思う。 「シドニアの騎士」 も面白いし、 でも 「弱虫ペダル」 も・・ と、 けっきょくスポコンに立ち戻る^ ^ それらも大半がそろそろ最終話を迎えようとする夏。 (極黒・・ は何かに似ていると思ったら 「ダーク・エンジェル」 だ)

そうして映画に戻ってくると、 当然ながら日本アニメとは違うトーン&マナーで、 あらためて新鮮さを覚えはする。 ひさびさのエントリーはまたジャームッシュということで、 前回を振り返ってみると自分でも恥ずかしいくらいに褒めちぎっている。 でも今回は、 え? ジャームッシュまでがヴァンパイア? というのが第一印象で、 前回から間が空いてないせいか、 ありがたみも少ない^ ^

その昔、 ヴィム・ヴェンダース、 ジム・ジャームッシュ、 ハル・ハートリーなど、 インディーズの監督はダブルイニシャルでなきゃ、 みたいなノリの時代があった。 そんななかで脚光を浴びたジャームッシュはもともとキャラありきの発想をする人。 それはあいかわらずで、 今回もアンダーグラウンドの音楽シーンで知る人ぞ知るミュージシャンが吸血鬼だったら、 みたいな思いつきから始まったのだろう。 そんなシーンが今どきあるのかとも思うが、 それを言っちゃおしまい。古いコートに身を包んでiPhoneを持つヴァンパイア、 飛行機の乗り換え地が夜間であるように苦慮するエピソードまでが無意味になってしまう^ ^

彼アダムはデトロイトに住んで古いギターを集め (ダブルイニシャルで思い出したがアダム・アントっていたな)、 でもなぜか妻はタンジール在住‥ という設定はよくわからない。 が、 必然性よりその街が気に入ったというところなのだろう。 キャラクターという駒を動かした軌跡で話が展開するのもあいかわらず。 奇しくも俳優陣は英国勢で固められ、 クイーンズイングリッシュとスノッブな音楽、 文芸引用で武装した吸血鬼たちは牙をむいて人を襲うことをやめ、 輸血用のOネガティブの血を金で買って、 小さなワイングラスで乾杯する。 飲み干したときの恍惚の表情をなぜか強調するが、 そんな日々のなか新時代の庶民をゾンビと呼んで嫌悪する。

彼の住むこのロックシティで二人は再会するが、 妻の残念な妹までがゾンビのメッカLAから来てしまい、 軽はずみに人の生き血をすすってしまう。 “古いカーペットはある?” というセリフのあと、 死体をそれにくるんでクルマのトランクに積み込むあたりはペーソスが漂う。 死体はデトロイトの廃工場に捨てられるが、 それでもこの廃墟の街はいつか復活するだろうとの予言が告げられる。

姉をイヴ、 妹をエヴァと呼ぶギャグもよくわからないが、 兄弟・姉妹は韻を踏む名前ということのパロディなのか、 英語読みとオリジナル読みで教養を見せたいからか、 ようするに本田さんと半田さんをアメリカ人に発音分けさせようというような嫌がらせなのだろう。

やがてタンジールを訪れた二人だが、 汚染血液にあたって世話役の老吸血鬼が死ぬ。 永遠かに思えた日々もうたかたの夢だったと知り、 民族楽器を買って手持ちの金を使いはたし、 そして再び生き血を求めて牙をむく。

作品的には意外と軽めに思えたが、 大スクリーンに投影するとカッコいいだろうなというシーンもいくつかあった。 円熟してなお真骨頂を見せるジャームッシュの絵づくりのポイントは構図ではないし、 色彩でもない。 なのにひたすら映画的な絵で、 それは闇夜にサングラスをかけるというニュアンスに近いものかもしれない。 音楽はキャッチーな選曲などないが、 やはり特別な空気を届けてくれる。 夏本番前、 涼しい作品を冷房代わりにして節電にいそしもう。 ラスト間際、 タンジールの酒場で歌う女の立ち姿もカッコよかった。


Only Lovers Left Alive オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ
(2013 アメリカ・イギリス・ドイツ) 日本公開12/20 公式サイト
監督 ジム・ジャームッシュ 
ティルダ・スウィントン トム・ヒドルストン ミア・ワシコウスカ 
アントン・イェルチン ジョン・ハート 

5.01.2014

君は俺のスターリンか? The Trotsky



組合をつくろう、 などと今どき勇ましく演説をぶつ青年。 応援に駆けつけたのはなぜかチアガール。 しかしその会社は彼の父親が経営する会社・・ この微妙なノリに、 面白いのかコレ? ・・カナダ映画だし、 と思いつつ見た。

ユダヤの家系にも関わらず、 青年は父親をナチ、 ファシストと呼び、 自分はトロツキーの生まれ変わりだと考えている。 じゃあお前も秋からはトロツキーと同じように公立の高校へ通え、 ということでパブリックスクールへ。 高校3年にして初めて通う公立校。 カナダだから制服があるようで、 でも日本と違い、 私立よりも風紀にうるさかった。

ピアスや服装の乱れで居残りというような校風に革命家の血が騒ぐ。 ダンスパーティを主催するだけの生徒会に入るや、 挑戦的な行動を起こし、 声を上げる。 このあたりから予想外に面白くなる。 教師側が押さえつけとけばいいクズと規定した生徒たちも、 俺らは無関心じゃなく退屈なだけ、 ということで乗ってくる。 悪乗りしてマルコムXや中国共産党、 イスラムの革命の同志などにコスプレしてダンスパーティに集まるあたりはけっこうシビれる^ ^

一方で、 運命の年上の女アレクサンドラ (トロツキーの妻と同じ) を追いかけるというラブ方面もあり、 独特の 'ゆるアグレッシブ' なノリで攻めてくる。 ようするに青春ものではあるが珍しく硬派で、 最後はクーデターへともつれ込む。 現在は弁護士となっている かつての反戦の旗手までもを巻き込み、 プチいちご白書でも見ているような? スコット・ピルグリムのような (でもこちらのほうが先) 微妙なハズレ方が熱い映画だった^ ^5年近く前の作品ながらいまだDVDスルーすらされる気配はない。 いつかどこかで乞うご期待!




The Trotsky (2009カナダ) 日本公開未定 (東京国際映画祭でのみ上映・観客賞)
監督 ジェイコブ・ティアニー 
ジェイ・バルシェル エミリー・ハンプシャー リッキー・メイブ 
リアーヌ・バラバン ソウル・ルビネック 

4.22.2014

若いって素晴らしい The Spectacular Now



(500)日のサマー」 のライターが贈る、 ということでアメリカではかなりの注目作。 自分的には何となくデブデブっとした印象で、 リアリティというより、 たまたま ぷっくりキャスティングになってしまった感じで、 しかもティーンエイジものだし、 まあ いちおう見てみっかという程度だったが、 さすがに それなりにはいいかな。

ジェレミー」 (1973) という今となってはほとんど誰も知らない作品をふと思い出したが、 あれは中学生だったか・・ こちらは高校を卒業してゆく年代ではあるが、 ティーンというのはあらためて、 まだまだ親の影響下にある年頃なんだなと。 「ジェレミー」 では親の転勤一発で初恋は終わり、 ここでは親にガツンと言ってやれ、 ということで二人は接近する。 また進路の違いで、 あらかじめ離れ離れになる運命だ。 にもかかわらず純粋に相手を思いやり、 そのことで自分を発見するという王道の青春ものがアメリカでは当たっている。

ハリウッドが内向きになったと言われるが、 インディペンデントも例外ではなく、 しかしながら内側に問題を抱えたまま外を向くわけにもいかず、 必要な過程と言えるかもしれない。 アメリカ社会はどこかの高齢化社会とは違うということだろう。 そして演出の一環かBlu-rayの画質のせいか、 ティーンから年寄りまで、 みな肌が汚い。 サターの姉さんと、 ドレスアップしたプロムの夜の二人はキレイにメイクアップされているが、 ほとんどの出演者がほぼ全編すっぴん? まさかメイクさんのギャラを節約したためじゃないだろうな。 。 等身大は感じるものの、 酔えない部分もあることは確か。 それこそ青春か。

これを日本のティーンにぶつけても受けないように思うし、 ましてや年寄りが甘酸っぱく青春を振り返ることもできない。 そういう意味でもマーケットはアメリカ国内、 あるいは青春している国だけに限られる内向きな作品と言える。 プロムの夜にサターが口走る “若いって素晴らしい”、 そんなセリフは‥ そうだな70年代くらいまでの映画やテレビでは日本でもまだ聞かれたものだが、 若者が減っていく国というのはやはりどことなく寂しい気がする。 いい年こいたオッサンのほうがどこか青春してて、 若者は冷めまくっていると、 やりづらいじゃないか・・ ということを考えるにはいい作品か。 乞うご期待。



The Spectacular Now (2013) 日本公開未定
監督 ジェームズ・ポンソルト 
脚本 スコット・ノイスタッター+マイケル・H・ウェバー 
原作 ティム・シャープ 
マイルズ・テラー シェイリーン・ウッドリー ブリー・ラーソン 
メアリー・エリザベス・ウィンステッド ジェニファー・ジェイソン・リー 

4.21.2014

まさに電脳 “Banshee Chapter”



かつてCIAが行ったとされる薬物による洗脳実験。 被験者が見たものは幻覚ではなく、 薬物が触媒となって脳を受信機に変える。 そこへ異次元から何者かが転送されてくる・・ といったラヴクラフトライクなプロット。 一部では評判らしいが、 うーん、 まあまあといったところ。 全体的にはやや散漫なのに、 不気味なものが出てくるタイミングは、 裏の裏をかかれて少しビビる^ ^

ドキュメンタリー調が半分、 作家を訪ねて行くあたりからはラフなドラマ調となって、 あとの部分のほうが面白い気もするが演出力不足が露呈するとも言える。 作家のキャラはまあまあ、 ヒロインもまあまあ、 これ以上とくに書くポイントもみつからないが、 次回作に多少は期待を残してもいい監督ではあるかもしれないし、 入り込める人にはじゅうぶん楽しめる作品なのかもしれない。 乞うご期待。




パラノーマル・エクスペリメント Banshee Chapter (2013 ドイツ・アメリカ) 日本未公開
監督 ブレア・エリクソン 
カティア・ウィンター テッド・レヴィン マイケル・マクミリアン 

4.11.2014

ところで何歳? “generation Um...”



例によって見当違いの邦題を付けられ、 さらっとDVDスルー。 IMDbでもポイントは高くないが、 悪くない作品だ。 かつてジェネレーションXと呼ばれた世代があり、 その後ジェネレーションYときて、 Zになるかと思えば Um... アハン? どうでもいい世代ということか。

キアヌ・リーブスのキャラは、 公園のベンチに一人腰かけてボサっとパンをかじっている あの写真の味わいのままで、 いまだにジェネレーションものにハマれるとは凄いことかもれない。 今日もサエない一日が始まると、 折しもキアヌ演じるジョンの誕生日。 ルームメートから How old are you anyway?と聞かれるが、 自分の歳すら忘れているようす。 高校生の時にオールAを取っていた青年は、 母を失望させた以上に自分に失望していた。

実年齢は同じくらいだと思うが、 青年は夕方起きてパーティガールの送迎などという仕事をしている。 独身最後のバチュラーパーティなどに呼ばれるライト風俗嬢をステーションワゴンで送り迎えするのだ。 朝帰りの青年はNYの街角でフラッシュモブらしきパフォーマンスに遭遇するが、 何を思ったか彼らが持っていたビデオカメラをさらっと盗む。 それからというもの世界にカメラを向けることが面白くなり、 高じてパーティガールたちの胸の内をドキュメンタリーしてしまう、 というような一風変わった展開。 またしてもフェイクドキュメンタリーではある。

青年は突如インタビュアの才能を開花? 彼女たちは次々と自分のことを話し出す。 それは初体験とか男の数とか、 母との確執とか父への想いとか、 それほど大した話ではないが、 実際にドキュメンタリーを見ているような気分にもなってくる。 しかしこのことで状況が変わっていくわけでもなく、 まあ何とか楽しくやってます、 的な終わり方となる。 途中でちらっと登場するパーティガール派遣業の元締めのような若造が、 ジョンをからかいながら “妥協も悪くないよ、 人生なんてクソだと思った瞬間、 本当にクソになるんだから” みたいなことを口走るが、 そんなメッセージを込めてUm...世代を励ます映画と言えるだろう。

'ボサっとキアヌ' はもちろん、 どことなくミシェル・ウィリアムズ似のアデレイド・クレメンスも注目に値するだろうし、 ボヤナ・ノヴァコヴィッチの寝姿もカワイイ。



シークレット・パーティー generation Um... (2013) 日本未公開
監督 マーク・マン 
キアヌ・リーブス アデレイド・クレメンス ボヤナ・ノヴァコヴィッチ