6.21.2014

世界の訛り “IN A WORLD...”



ゴツめの顔なのにキュートなレイク・ベルさんが脚本・監督・主演・プロデュースまでを務める力作。 こうした才女がアメリカでは増殖中な気がするが、 日本ではタナダユキさんと愛染恭子さんくらいだろうか。

内容は、 日常の一コマを切り取ってくるという自分も好きなスタイルで、 いちおうラブコメ。 ナレーターあるいは声優という、 ややマイナーめな業界モノであるところにも興味をそそられた。 日本もアニメは強いから声優は人気職だが、 仮にそのへんを取り上げたとしても、 こうした素敵な雰囲気になるかどうかは微妙なところだろう。

“In a world...” というのが有名なフレーズだったとはつゆ知らずだが、 なぜかアメリカのナレーター業界は男社会で女性が入り込みにくかったらしい。 憧れの仕事は映画予告編のナレーションということだが、 ベル演じるキャロルや女性プロデューサーの登場で a world が “brand new world” へと変わる。 邦題にそんな含みは微塵もないのに、 字幕は反対に意訳すぎて brand new world のところを “女が世界を変える” などとしていて、 そうすると今度は決めつけすぎなニュアンスとなる。 世界が新世界に変わる、 というくらいでいいように思うが、 難しい部分ではある・・

彼女は普段、 他の声優に方言指導をしていて、 ロシアなまりやジャパニーズ・イングリッシュのサンプリングにも熱心。 英語はグローバルだから、 ネイティブの人は世界中の第二・第三言語として英語を使う人のさまざまなアクセントに遭遇する。 中西部などのローカルな訛りは馬鹿にするのに、 非ネイティブには寛容であるばかりか、 むしろ面白がってくれている部分があるところを彼女は体現している。 シャイな日本人も恥ずかしがらずに、 下手な英語を自信を持って披露すべきなのだ^ ^

そんなキャロルを密かに想うディレクター、 大御所ナレーターの父の若い再婚相手、 父が目をかける売れっ子ナレーターとキャロルの一夜の過ち、 キャロルの姉夫婦のそれぞれの浮気心‥ そんなエピソードを交えながら話はテンポよく進む。 とくに波瀾万丈な展開はなく、 エンディングにはティアーズ・フォー・フィアーズなんかが流れるが、 地に足のついた作風はベルの監督としての次回作を期待させる。



IN A WORLD... 私にだってなれる! 夢のナレーター単願希望 (2013) 日本未公開
脚本・監督・主演 レイク・ベル 
ディミトリ・マーティン ケン・マリーノ ロブ・コードリー 
ミカエラ・ワトキンス フレッド・メラメッド 

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