8.26.2013

濃いのに薄いボリウッド Barfi!



いかにもな“ボリウッド"映画を見てしまった^ ^ 主にアジア系の映画賞を多数取っているらしいが、 IMDbで評されている通りチャプリンとジャッキー・チェンのコピーという印象。 一般受けするはずのストーリーに吸引力が弱く、 2時間半は間延びする。

イリーナをはじめ女優陣にはハッとする美しさがある (プリヤンカーもモジャモジャ頭でなければキレイ) が、 主演の男バルフィ一のキャラがいまいちピンと来ず、 コメディの部分はそれほど炸裂しなかったように思う。 むしろチャプリン映画風のテーマ曲が全編をつらぬいて '泣ける' 方向へ舵をとっているが、 何に対して泣けばいいのかがはっきりしない。

チャプリン映画風のテーマ曲の合間にはインドポップスが流れ、 出演者は歌い出さないがボリウッド伝統のミュージカル志向を受け継ぐキャッチーな音楽の使い方。 それ自体は悪くないが、 濃い出演者たちの顔に反しての薄味な物語に、 中途半端に洗練されたボリウッドはつまらない、 という結論を見た。 洗練されていなければ面白い、 というわけでもないが^ ^ 乞うご期待。


バルフィ!(原題) Barfi! (2012インド) 日本公開未定
監督 アヌラーグ・バス 
ランビール・カプール プリヤンカー・チョープラ イリーナ 
Barfi! (Hindi Movie / Bollywood Film / Indian Cinema DVD) (2012)海外版DVD

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8.19.2013

crazy little thing called livin' Hell Baby



ダーコ・エンタテイメントから現れたホラー・コメディは、 ユルいギャグと細かいネタが散りばめられた、 かといって悪ノリしない程度にどこか落ち着いた作品だ。 悪魔憑きという究極の非日常をモチーフにしながら、 どこまでもカジュアルで日常的な気分に何らかの風刺性を感じなくなくもないが、 とりあえず過不足なく笑える映画ではある。

ストーリー的にはお腹の赤ちゃんに悪魔が取り憑いて、 いろんなことが起こるというだけだが、 ギャグにはオリジナリティを感じる。 例えば相手をなじるのに適当な名前で呼ぶ、 というのがあるが、 それのエスカレート型が自分的には受けた。 警官二人が尋問に来て、 モーツァルトから始まりレンゾ・ピアノ、 グレゴリー・ハインズまで、 本人もよく知らない名前を出して相手をからかう。 関連性の破綻した名前の上げ方が妙に良くて、 使ってみたいギャグだ^ ^

あとPo-Boyとかいうメキシカンフードの店が超美味いというだけのシーンもかなり破壊的だし、 ヘビースモーカーの牧師たちが部屋に踏み込むギリギリまで吸って、 あわただしく消すときのディテールとか、 他にもさまざまなパロディが楽しめる。 リキ・リンドホームのフルヌードもあり。

とくにドラマチックな展開、 あるいは人生の教訓などはないが、 コトが一段落してどうしよう、 というときに勝手に居候しているフレズネルが言う。 Now we go on about that crazy little thing called livin'. (とりあえず生活とやらを続けようや) ・・ある種の人生讃歌だろうか、 しかしまあ、 そうする以外にないとも言える。 日本公開はあるのか、 さらっとスルーか、 いつかどこかで乞うご期待。




ヘル・ベイビー(原題) Hell Baby (2013) 日本公開未定
脚本・監督・出演 (as 二人の牧師) ロバート・ベン・ガラント+トーマス・レノン 
ロブ・コードリー レスリー・ビブ キーガン・マイケル・キー リキ・リンドホーム 

8.18.2013

裸のマハ 以前 「トランス」



8月最初のエントリーがお盆過ぎとはかなり空いてしまった。 見てないこともないのだが、 これといったものに当たらず。 本作も、 乗ってるダニー・ボイルの新作として期待したものの、 記憶と妄想が交錯する どちらかというと原点回帰のストーリーで、 とくに新鮮味も意外性もなく、 世評に反してパッとしない印象だった。 ひとつ見所があるとしたらロザリオ・ドーソンのヌードだろうか。 しかもポイントはヘアで、 それが絵画の歴史になぞらえて謎を解くカギとなっている?あたりはユニークかもしれない。 もし公開時にボカシなどが入っていたら何のことだかわからなくなってしまうだろう^ ^

絵画のオークションを狙った強盗事件、 しかし肝心の絵は記憶喪失の彼方へと消える。 記憶を呼び戻すために催眠術のスペシャリストとしてドーソンが登場するが、 記憶は多重構造になっていた・・。 しかし催眠術でこんなに複雑な操作ができるものなのだろうか。 また盗んだ絵はどれほどの名画であれ、 十分な市場価値を保てるのか疑問に思う。 違う犯罪でもよかった気がするが、 上述のポイントがあるので絵に関するうんちくが必要だったのだろう。

あれこれ複雑にからむわりにスッキリとしているというか、 あっさりしているというか、 こちらの深読みしすぎか。 むしろラブ・ストーリーとして見るべきなのだろうか。 とりあえずボカシなしで無事公開されるかどうか、 乞うご期待。


トランス Trance (2013イギリス) 日本公開10/11 公式サイト・予告
監督 ダニー・ボイル 
ジェームズ・マカヴォイ ヴァンサン・カッセル ロザリオ・ドーソン 

7.27.2013

Sではなかったんだ^ ^ 「マン・オブ・スティール」



アメコミのヒーローが映画化されるなか、 正統派すぎてか、 ヘアスタイルがオッサンぽいからか、 敬遠されていた感のある大御所がリアルに、 そして大迫力に作り込まれて帰ってきた。 エピソードはスーパーマン誕生の物語で、 クリプトン星の崩壊と地球にやってきた経緯が描かれる前日譚となっているが、 そもそもそんなに深く考えてないだろうという原作を、 しっかりと 'つじつま合わせ' してくれる^ ^

例えば胸のSの文字はSupermanのイニシャルではなく、 クリプトン星の希望のマークであるとか、 すぐ破れそうなタイツスーツがしっかりとした素材感のものになっている。 スーパーマンと呼ばれるようになるのも後のことで、 最初はエイリアン。 さわやかでハンサムなエイリアンだ。 しかし機能性のよくわからないマント、 そしてあのヘアスタイルも健在だ^ ^

話はいい感じで進行、 ラスト間際で地球はテラフォーミングまでされそうになり、 これでもかというド迫力で、 夏休みの最後を飾るのに持ってこいかもしれない。 概ね人類に希望を持つさわやかな世界観と、 それにふさわしいさわやかなキャスティングがなされていて、 これはこれでいい出来だと思う。 ザック・スナイダーは楽しんで作っている感じがするし、 バットマンのクリストファー・ノーランなども製作に参画していて、 ようするにみんな好きなんだなあ。 乞うご期待。


マン・オブ・スティール MAN OF STEEL (2013) 日本公開8/30 公式サイト・予告
監督 ザック・スナイダー  象のロケット 
ヘンリー・カヴィル エイミー・アダムス マイケル・シャノン 
ケビン・コスナー ダイアン・レイン ラッセル・クロウ 

7.24.2013

ビッグダディどころじゃない “STARBUCK”



見る前から結論づけるな、 っていう邦題だが、 原題はSTARBUCK、 カフェではなく、 男が精子提供の際に使った偽名。 提供されたものは実際に使用され、 男は初めて誕生を見届けようとする子が恋人のお腹にいるが、 実はすでに533人の息子・娘がいたという話。 最近、 試験管ベビー的な話は聞かないせいか一昔前の映画を見ている気にもなるが、 この分野の現状はどうなのだろう。

男が小銭欲しさに輸血感覚で病院に通ったのは80年代で、 今ならDNAの解明が進んで却下されそうな素性の男ではあるが、 映画のポイントは医学的な問題でも法律的な問題でもなく、 この男の人柄の描き方にある。 男は家族経営の精肉店に勤め、 借金をかかえるサエない男ではあるが、 情に厚く、 憎めない奴。 子どもたちから集団訴訟で匿名権の放棄を要求されるが、 原告団のファイルから一人一人を訪ねて歩き、 こんな親父ですまないと感じながら密かに見守ってしまう。

子どもたちはすでにそれぞれに成長していて、 ある者はプロサッカー選手だったり、 ある者は薬物依存だったり、 またある者はゲイだったり、 ある者は障害を抱えていたりする。 しかし自分の血を引いているという愛おしさからか、 放っておけない。 あるいはこの男の場合、 たとえ血のつながりがなくても出会った者に対してはそうしたかもしれない。 そして最後は人類みな兄弟、 ブラボー!

物語的な破綻はいくつも見つけられることだろう。 しかしまあ、 それにも増してブラボー!な気分になれる作品ではある。 人には、 思いもよらない可能性がある。 確かにそうだろう。 これから子どもを持とうとする人に見てもらえばいいのか、 やめといたほうがいいのかは微妙なところだが。 。


人生、 ブラボー! STARBUCK (2011カナダ) 日本公開2013年1月 公式サイト
監督 ケン・スコット 
パトリック・ユアール アントワーヌ・ベルトラン ジュリー・ルブレトン 
サラ=ジャンヌ・ラブロッセ 

帝王窃盗 Absence



アメリカでもDVDあるいはBlu-rayスルーされているようすで、 評判もぱっとしないが、 この手のが見たくなったのでつい。。 予想通り地味でつまらなかった^ ^

例によってわざとらしい、 あるいは少しオーソドックスすぎる手持ちドキュメンタリー調だが、 鏡などに映るシーンを見るとデジタル一眼レフを使っての動画撮影らしい。 スチールとムービーの機材スタイルが曖昧になる昨今ではあるが、 それはさておき、 ネタはゴーストでも悪魔でもなく、 エイリアン・アブダクションだった。

撮影者の妹に不思議なことが起きた。 お腹にいた赤ちゃんがこつ然と消えたのだ。 彼女とその夫は悲しみと怒りのなか警察に事情聴取されるが、 みな何が何だかわからない。 それでも癒しの旅行に出ようということで、 古い日本車に荷物を積んで三人はレッツゴー。 しかし行き先でも不可解な出来事は続き、 やがて・・

不要なシーンが多く見せ場が少ない。 心理的なアプローチもいまひとつ到達せず。 最後に一瞬、 上空からのショットが入るが、 多少なりとも感心したのはそれくらいか。 宇宙人に人体実験されるというネタは掘り下げるといろいろありそうなのに、 薄すぎる内容だった。 こうした事件は Caesarean theft と言うらしいのだが、訳すなら “帝王窃盗” か。 いつかどこかで乞うご期待。



Absence (2013) 日本公開未定
監督 ジミー・ロウェリー 
エリン・ウェイ エリック・マセニー ステファニー・ショルツ 
ライアン・スメイル 

7.20.2013

お嬢さん方、目をつぶって何も見なかったことに
ONLY GOD FORGIVES



非常にざっくり言えばだが、 リンチ+タランティーノな感じ。 北野武的でもあるだろうか。 シンプルで集約されていて、 バイオレンス1本勝負。

舞台はタイ。 ドラッグ・ディーリングでのさばるアメリカ人兄弟とその母。 しかしこの映画でゴズリングよりスコット・トーマスより存在感を放つのが、 タイ警察のチャンことヴィタヤ・パンスリンガム。 日本刀の先を折って、 少し中国刀のシェイプに近づけたようなタイ刀を背中に挿し、 ムエタイも達人の域に達している眼光鋭いオッサンだ。 オッサンは警察官のようではあるが、 裁きを法に委ねない。 その場で私刑が行われ、 私刑執行の後はキャバレーでタイ歌謡を熱唱する。

ゴズリング演じるジュリアンは、 母の愛をめぐる兄との確執を心に抱え、 キレるとコワいが、 冷徹になりきれない優しさも持ちあわせている。 兄が私刑され、 そのことで母が乗り込んできてもふっ切れない何かがある。 ジュリアンはチャンと対峙するときに言う。 Wanna fight? (やるか?)

母は彼がお腹にいるとき中絶を勧められたが、 生む意思は固かったと語る。 が彼は結局、 この世に生まれてきたことを嘆いているのかもしれない。 この世に生を受けるということが最も残酷な行為であると言わんばかりに。 バイオレンスシーンはスローモーション多用でワンパターンな気もするが、 独特の世界観が楽しめる作品。 日本公開は半年先だが乞うご期待。 エントリータイトルはキャバレーでの拷問シーンより。




オンリー・ゴッド ONLY GOD FORGIVES (2013 フランス・タイ・アメリカ・スウェーデン)
日本公開2014年1/25
監督 ニコラス・ウィンディング・レフン 
ライアン・ゴズリング クリスティン・スコット・トーマス ヴィタヤ・パンスリンガム

幸せは心の持ちよう 「スモール・アパートメント」



サブ邦題 「ワケアリ物件・・」 は不要かつホラー映画かとの誤解を招く。 中途半端な思いつきのタイトリングはやめてくれ。 確かにマット・ルーカスの眉毛なしハゲはホラーっぽいし、 登場人物はこのバッジの似合う奴ばかりだが、 北欧的ペーソスあふれる 'ヘンテ' コメディだ。

監督のジョナス (ヨナス) ・アカーランドは黒髪のお化けのような風貌でスウェーデン人ぽくないがスウェーデン出身。 ぼろアパートの住人=loser という発想は日本では理解しやすいが、 アメリカではloserでも一軒家に住んでいるし、 NYの高級アパートメントは富裕層狙いだから、 多少ギャップを含み込んでいる気がする。 むしろ画一的な作りのアパートばかりの日本なら、 アールの階段がある青いドアのオシャレな物件になるだろう。

物語は突如、 このアパートの大家の死とスイスに憧れるフランクリン・フランクリン (姓と名が同じ) が部屋でアルペンホルンを吹くところから始まる。 スイスとスウェーデンを大半のアメリカ人が混同するというギャグを織り交ぜながら、 アパートの隣人や向かいのギャル、 そして精神病院にいる兄や、 妻に浮気された犬好きの心優しい刑事を交えて展開する。

ヘンテコなノリが出だしから自分的にはすべったので、 10分くらいで見るのやめようかなと思った。 が忍耐強く見てよかった^ ^ 一見ヘンテコな人らは、 精神病院の兄を含めて意外にマトモ、 状況から抜け出そうと試みるもそれは思いのほか簡単なことではなく、 そこにおかしみと悲しみを見出し、 一片のメッセージを残すといった正統派の映画でもあった。

最近よく見かけるジュノー・テンプルだが、 ここではそれほど出番は多くなく、 ブリーフ姿で郵便物を取りにいくフランクリンことルーカスはもちろん、 目標設定と達成を毎日実践する革ジャンのコンビニ店員トミー・ボールズ役のジョニー・ノックスヴィルが印象的。 一昔前ならセゾン系が持ち上げそうな "イビツなカウリスマキ" といった作風だが、 こういうタッチは今、 意外に少ないのかもしれない。 最初の10分を乗り切れればOKなので、 ぜひ。



スモール・アパートメント ワケアリ物件の隣人たち (2012) 日本未公開
Small Apartments
監督 ジョナス・アカーランド 
マット・ルーカス ジュノー・テンプル ビリー・クリスタル ジェームズ・マースデン ジョニー・ノックスヴィル ドルフ・ラングレン ジェームズ・カーン