7.20.2013
お嬢さん方、目をつぶって何も見なかったことに
ONLY GOD FORGIVES
非常にざっくり言えばだが、 リンチ+タランティーノな感じ。 北野武的でもあるだろうか。 シンプルで集約されていて、 バイオレンス1本勝負。
舞台はタイ。 ドラッグ・ディーリングでのさばるアメリカ人兄弟とその母。 しかしこの映画でゴズリングよりスコット・トーマスより存在感を放つのが、 タイ警察のチャンことヴィタヤ・パンスリンガム。 日本刀の先を折って、 少し中国刀のシェイプに近づけたようなタイ刀を背中に挿し、 ムエタイも達人の域に達している眼光鋭いオッサンだ。 オッサンは警察官のようではあるが、 裁きを法に委ねない。 その場で私刑が行われ、 私刑執行の後はキャバレーでタイ歌謡を熱唱する。
ゴズリング演じるジュリアンは、 母の愛をめぐる兄との確執を心に抱え、 キレるとコワいが、 冷徹になりきれない優しさも持ちあわせている。 兄が私刑され、 そのことで母が乗り込んできてもふっ切れない何かがある。 ジュリアンはチャンと対峙するときに言う。 Wanna fight? (やるか?)
母は彼がお腹にいるとき中絶を勧められたが、 生む意思は固かったと語る。 が彼は結局、 この世に生まれてきたことを嘆いているのかもしれない。 この世に生を受けるということが最も残酷な行為であると言わんばかりに。 バイオレンスシーンはスローモーション多用でワンパターンな気もするが、 独特の世界観が楽しめる作品。 日本公開は半年先だが乞うご期待。 エントリータイトルはキャバレーでの拷問シーンより。
オンリー・ゴッド ONLY GOD FORGIVES (2013 フランス・タイ・アメリカ・スウェーデン)
日本公開2014年1/25
監督 ニコラス・ウィンディング・レフン
ライアン・ゴズリング クリスティン・スコット・トーマス ヴィタヤ・パンスリンガム
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