7.20.2013
幸せは心の持ちよう 「スモール・アパートメント」
サブ邦題 「ワケアリ物件・・」 は不要かつホラー映画かとの誤解を招く。 中途半端な思いつきのタイトリングはやめてくれ。 確かにマット・ルーカスの眉毛なしハゲはホラーっぽいし、 登場人物はこのバッジの似合う奴ばかりだが、 北欧的ペーソスあふれる 'ヘンテ' コメディだ。
監督のジョナス (ヨナス) ・アカーランドは黒髪のお化けのような風貌でスウェーデン人ぽくないがスウェーデン出身。 ぼろアパートの住人=loser という発想は日本では理解しやすいが、 アメリカではloserでも一軒家に住んでいるし、 NYの高級アパートメントは富裕層狙いだから、 多少ギャップを含み込んでいる気がする。 むしろ画一的な作りのアパートばかりの日本なら、 アールの階段がある青いドアのオシャレな物件になるだろう。
物語は突如、 このアパートの大家の死とスイスに憧れるフランクリン・フランクリン (姓と名が同じ) が部屋でアルペンホルンを吹くところから始まる。 スイスとスウェーデンを大半のアメリカ人が混同するというギャグを織り交ぜながら、 アパートの隣人や向かいのギャル、 そして精神病院にいる兄や、 妻に浮気された犬好きの心優しい刑事を交えて展開する。
ヘンテコなノリが出だしから自分的にはすべったので、 10分くらいで見るのやめようかなと思った。 が忍耐強く見てよかった^ ^ 一見ヘンテコな人らは、 精神病院の兄を含めて意外にマトモ、 状況から抜け出そうと試みるもそれは思いのほか簡単なことではなく、 そこにおかしみと悲しみを見出し、 一片のメッセージを残すといった正統派の映画でもあった。
最近よく見かけるジュノー・テンプルだが、 ここではそれほど出番は多くなく、 ブリーフ姿で郵便物を取りにいくフランクリンことルーカスはもちろん、 目標設定と達成を毎日実践する革ジャンのコンビニ店員トミー・ボールズ役のジョニー・ノックスヴィルが印象的。 一昔前ならセゾン系が持ち上げそうな "イビツなカウリスマキ" といった作風だが、 こういうタッチは今、 意外に少ないのかもしれない。 最初の10分を乗り切れればOKなので、 ぜひ。
スモール・アパートメント ワケアリ物件の隣人たち (2012) 日本未公開
Small Apartments
監督 ジョナス・アカーランド
マット・ルーカス ジュノー・テンプル ビリー・クリスタル ジェームズ・マースデン ジョニー・ノックスヴィル ドルフ・ラングレン ジェームズ・カーン
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