5.01.2014

君は俺のスターリンか? The Trotsky



組合をつくろう、 などと今どき勇ましく演説をぶつ青年。 応援に駆けつけたのはなぜかチアガール。 しかしその会社は彼の父親が経営する会社・・ この微妙なノリに、 面白いのかコレ? ・・カナダ映画だし、 と思いつつ見た。

ユダヤの家系にも関わらず、 青年は父親をナチ、 ファシストと呼び、 自分はトロツキーの生まれ変わりだと考えている。 じゃあお前も秋からはトロツキーと同じように公立の高校へ通え、 ということでパブリックスクールへ。 高校3年にして初めて通う公立校。 カナダだから制服があるようで、 でも日本と違い、 私立よりも風紀にうるさかった。

ピアスや服装の乱れで居残りというような校風に革命家の血が騒ぐ。 ダンスパーティを主催するだけの生徒会に入るや、 挑戦的な行動を起こし、 声を上げる。 このあたりから予想外に面白くなる。 教師側が押さえつけとけばいいクズと規定した生徒たちも、 俺らは無関心じゃなく退屈なだけ、 ということで乗ってくる。 悪乗りしてマルコムXや中国共産党、 イスラムの革命の同志などにコスプレしてダンスパーティに集まるあたりはけっこうシビれる^ ^

一方で、 運命の年上の女アレクサンドラ (トロツキーの妻と同じ) を追いかけるというラブ方面もあり、 独特の 'ゆるアグレッシブ' なノリで攻めてくる。 ようするに青春ものではあるが珍しく硬派で、 最後はクーデターへともつれ込む。 現在は弁護士となっている かつての反戦の旗手までもを巻き込み、 プチいちご白書でも見ているような? スコット・ピルグリムのような (でもこちらのほうが先) 微妙なハズレ方が熱い映画だった^ ^5年近く前の作品ながらいまだDVDスルーすらされる気配はない。 いつかどこかで乞うご期待!




The Trotsky (2009カナダ) 日本公開未定 (東京国際映画祭でのみ上映・観客賞)
監督 ジェイコブ・ティアニー 
ジェイ・バルシェル エミリー・ハンプシャー リッキー・メイブ 
リアーヌ・バラバン ソウル・ルビネック 

4.22.2014

若いって素晴らしい The Spectacular Now



「(500)日のサマー」 のライターが贈る、 ということでアメリカではかなりの注目作。 自分的には何となくデブデブっとした印象で、 リアリティというより、 たまたま ぷっくりキャスティングになってしまった感じで、 しかもティーンエイジものだし、 まあ いちおう見てみっかという程度だったが、 さすがに それなりにはいいかな。

「ジェレミー」 (1973) という今となってはほとんど誰も知らない作品をふと思い出したが、 あれは中学生だったか・・ こちらは高校を卒業してゆく年代ではあるが、 ティーンというのはあらためて、 まだまだ親の影響下にある年頃なんだなと。 「ジェレミー」 では親の転勤一発で初恋は終わり、 ここでは親にガツンと言ってやれ、 ということで二人は接近する。 また進路の違いで、 あらかじめ離れ離れになる運命だ。 にもかかわらず純粋に相手を思いやり、 そのことで自分を発見するという王道の青春ものがアメリカでは当たっている。

ハリウッドが内向きになったと言われるが、 インディペンデントも例外ではなく、 しかしながら内側に問題を抱えたまま外を向くわけにもいかず、 必要な過程と言えるかもしれない。 アメリカ社会はどこかの高齢化社会とは違うということだろう。 そして演出の一環かBlu-rayの画質のせいか、 ティーンから年寄りまで、 みな肌が汚い。 サターの姉さんと、 ドレスアップしたプロムの夜の二人はキレイにメイクアップされているが、 ほとんどの出演者がほぼ全編すっぴん? まさかメイクさんのギャラを節約したためじゃないだろうな。 。 等身大は感じるものの、 酔えない部分もあることは確か。 それこそ青春か。

これを日本のティーンにぶつけても受けないように思うし、 ましてや年寄りが甘酸っぱく青春を振り返ることもできない。 そういう意味でもマーケットはアメリカ国内、 あるいは青春している国だけに限られる内向きな作品と言える。 プロムの夜にサターが口走る “若いって素晴らしい”、 そんなセリフは‥ そうだな70年代くらいまでの映画やテレビでは日本でもまだ聞かれたものだが、 若者が減っていく国というのはやはりどことなく寂しい気がする。 いい年こいたオッサンのほうがどこか青春してて、 若者は冷めまくっていると、 やりづらいじゃないか・・ ということを考えるにはいい作品か。 乞うご期待。



The Spectacular Now (2013) 日本公開未定
監督 ジェームズ・ポンソルト 
脚本 スコット・ノイスタッター+マイケル・H・ウェバー 
原作 ティム・シャープ 
マイルズ・テラー シェイリーン・ウッドリー ブリー・ラーソン 
メアリー・エリザベス・ウィンステッド ジェニファー・ジェイソン・リー 

4.21.2014

まさに電脳 “Banshee Chapter”



かつてCIAが行ったとされる薬物による洗脳実験。 被験者が見たものは幻覚ではなく、 薬物が触媒となって脳を受信機に変える。 そこへ異次元から何者かが転送されてくる・・ といったラヴクラフトライクなプロット。 一部では評判らしいが、 うーん、 まあまあといったところ。 全体的にはやや散漫なのに、 不気味なものが出てくるタイミングは、 裏の裏をかかれて少しビビる^ ^

ドキュメンタリー調が半分、 作家を訪ねて行くあたりからはラフなドラマ調となって、 あとの部分のほうが面白い気もするが演出力不足が露呈するとも言える。 作家のキャラはまあまあ、 ヒロインもまあまあ、 これ以上とくに書くポイントもみつからないが、 次回作に多少は期待を残してもいい監督ではあるかもしれないし、 入り込める人にはじゅうぶん楽しめる作品なのかもしれない。 乞うご期待。




パラノーマル・エクスペリメント Banshee Chapter (2013 ドイツ・アメリカ) 日本未公開
監督 ブレア・エリクソン 
カティア・ウィンター テッド・レヴィン マイケル・マクミリアン 

4.11.2014

ところで何歳? “generation Um...”



例によって見当違いの邦題を付けられ、 さらっとDVDスルー。 IMDbでもポイントは高くないが、 悪くない作品だ。 かつてジェネレーションXと呼ばれた世代があり、 その後ジェネレーションYときて、 Zになるかと思えば Um... アハン? どうでもいい世代ということか。

キアヌ・リーブスのキャラは、 公園のベンチに一人腰かけてボサっとパンをかじっている あの写真の味わいのままで、 いまだにジェネレーションものにハマれるとは凄いことかもれない。 今日もサエない一日が始まると、 折しもキアヌ演じるジョンの誕生日。 ルームメートから How old are you anyway?と聞かれるが、 自分の歳すら忘れているようす。 高校生の時にオールAを取っていた青年は、 母を失望させた以上に自分に失望していた。

実年齢は同じくらいだと思うが、 青年は夕方起きてパーティガールの送迎などという仕事をしている。 独身最後のバチュラーパーティなどに呼ばれるライト風俗嬢をステーションワゴンで送り迎えするのだ。 朝帰りの青年はNYの街角でフラッシュモブらしきパフォーマンスに遭遇するが、 何を思ったか彼らが持っていたビデオカメラをさらっと盗む。 それからというもの世界にカメラを向けることが面白くなり、 高じてパーティガールたちの胸の内をドキュメンタリーしてしまう、 というような一風変わった展開。 またしてもフェイクドキュメンタリーではある。

青年は突如インタビュアの才能を開花? 彼女たちは次々と自分のことを話し出す。 それは初体験とか男の数とか、 母との確執とか父への想いとか、 それほど大した話ではないが、 実際にドキュメンタリーを見ているような気分にもなってくる。 しかしこのことで状況が変わっていくわけでもなく、 まあ何とか楽しくやってます、 的な終わり方となる。 途中でちらっと登場するパーティガール派遣業の元締めのような若造が、 ジョンをからかいながら “妥協も悪くないよ、 人生なんてクソだと思った瞬間、 本当にクソになるんだから” みたいなことを口走るが、 そんなメッセージを込めてUm...世代を励ます映画と言えるだろう。

'ボサっとキアヌ' はもちろん、 どことなくミシェル・ウィリアムズ似のアデレイド・クレメンスも注目に値するだろうし、 ボヤナ・ノヴァコヴィッチの寝姿もカワイイ。



シークレット・パーティー generation Um... (2013) 日本未公開
監督 マーク・マン 
キアヌ・リーブス アデレイド・クレメンス ボヤナ・ノヴァコヴィッチ 

3.30.2014

18歳は6+6+6 「パラノーマル・アクティビティ/呪いの印」



「パラノーマル・アクティビティ」 の5作目かと思ったらスピンオフらしい。 やたらスペイン語が飛び出すので言語選択を間違ったかと思ったが、 なぜかラティーナ狙いとのこと。 この手のものも意外にひさしぶりだったので、 飽きもせずに見たが想像以上に相変わらずだった^ ^ いちおう注目株ということで日本公開の早いこと。 他もこの調子で公開すりゃいいのに。

怖がらせかたは普通、 怖いものは数えるほどしか出ないが、 シリーズに一貫したユルさのなかで、 中庭を囲んで数世帯が暮らすアパートなど、 ラティーナ的日常がそれなりに描けている気もした。 友達が誘拐されたことを告げると、 近所のタトゥいっぱいのアンちゃんがショットガン持って繰り出してくれるところとか。 。

まあ春先から劇場で見る映画ではない気もするが、 作品中には卒業のシーンもあるし、 ユルこわさを楽しみながらそれぞれの新生活を迎えるのも悪くない。 エントリータイトルは、 なぜ18歳が悪魔の年齢かという説明より。 乞うご期待。

» パラノーマル・アクティビティ シリーズ 


パラノーマル・アクティビティ 呪いの印 (2014) 日本公開4/11 公式サイト・予告
Paranormal Activity: The Marked Ones  象のロケット 
監督 クリストファー・ランドン 

3.26.2014

美しい手書きの手紙ドットコム “her”



離婚手続きを催促されながらも男は未練がましく、 元妻になろうとする妻との出会い、 輝いた日々を思い出している。 そんなある日、 男は新型のOSを手にする。 そう、 OS‥ iOSやMacやWindowsと同じオペレーティング・システム。 こう見えて、 この映画はSFなので (非常に近い未来ではあるが) 最新型のこのOS1は、 ベタな名前ながらSIRIを進化させたような、 音声でやりとりができるエージェント型のシステムだった。

テキトーなインストールのプロセスのわりに、 立ち上がってきたシステムは優秀で、 彼女は自らをサマンサと名乗り、 有能な秘書としてメールをさばき、 今日の会議の予定を男に伝える。 彼女の受け答えは品があり、 かつ面白く、 ときには自作の曲などもプレゼントするサマンサ。 彼女の尽力で男は本を出版し、 ついに離婚続きを済ませるに至る。

眠れない夜などは肉体を持たないにもかかわらず親密な交渉があり、 しかも彼女は自分の存在について悩み、 さまざまな試みや自らの手によるシステムのアップグレードまで行う。 その先にははたして何があるだろう。 男は有限の肉体と生命を持つ存在としてここに居続け、 彼女は無限のビットの隙間を飛翔する存在へと向かう。

脚本賞でオスカーを取ったとのことで、 とりあえずはオメデトー。 ポイントはオリジナル脚本ということだろう。 ともすればあっちこっちから原作を持ってきただけの映画、 リメイク流行りのなかで、 映画のためだけに書き起こされた物語の必要性と可能性を示したことは、 スパイク・ジョーンズ監督の存在意義としても前々から認めるところ。 さらにサマンサの声はスカヨハとのことで、 確かにSIRIの声よりは色っぽい^ ^

スパイク・ジョーンズの他の作品と同様に、 湧き上がるような、 漂うだけのような不思議なエモーションに彩られ、 自分的には今回は、 ま、 面白いんじゃないの程度ではあるが、 オスカーも取ったことだし名作と絶賛する人が現れても不思議ではない。 願わくばヘンに持ち上げずに、 酸いも甘いもそのまま味わって欲しいところではあるが、 何はともあれ乞うご期待! エントリータイトルは男が勤める代筆名文サービスを提供する会社 beautifulhandwritingletters.com より^ ^ 



her/世界でひとつの彼女 (2013) 日本公開2014.6 公式サイト
脚本・監督 スパイク・ジョーンズ 
ホアキン・フェニックス エイミー・アダムス ルーニー・マーラ 
オリヴィア・ワイルド 

3.09.2014

ナイスパーソン 「ファーナス/訣別の朝」



暗くて地味な作品ではあるが、 巧みな演技、 あるいは演出によってグイグイ見せられる1本。 furnace というのはカマドのことらしいが、 閉鎖が予定されている製鉄所のある町。 兄はそこで働き、 彼女と暮らし、 病床の父の見舞いを欠かさず、 フラフラしている弟の面倒もきっちり見るという、 兄の鏡のような男。

しかし断りきれなかった酒、 帰りの運転での事故で実刑を食らう。 刑期を終えて出所しても いい兄貴っぷりは変わらなかったが、 状況は一変していた。 父は他界、 彼女は別の男と、 そして兵役から帰った弟は荒れていた・・ と、 これ以上書くとネタバレになりそうで止めておくが、 兄は、 いい兄のまま一線を越えてしまう。 いかに良い人でも、 閉塞した世界では清々しくいられない悲劇とでも言えばいいのだろうか。

IMDbのレビューによると、 これは現在のアメリカの多くの町の、 正確なポートレートということだ。 テンポはいいがストーリーに意外性はなく、 教訓などをとくに ほのめかすこともないまま淡々と終わるが、 正確に描写したのはいいとして、 果たしてどうすればこうならなかったのだろう。

兄はまだ幸せだった頃、 ベッドで彼女と戯れながら言う。 “二人でどこかへ逃げよう・・ でも、 この街から出たことがない” 一度、 故郷を捨ててみたら、 もしかしたら打開策が見出だせたかもしれない。 しかし故郷を捨てた時点で、 もういい人ではいられなくなっているのかもしれない。 いい人はどうすればいいのだろう^ ^




ファーナス/訣別の朝 (2013アメリカ・イギリス) 日本公開2014.9
OUT OF THE FURNACE
監督 スコット・クーパー 
クリスチャン・ベイル ウディ・ハレルソン ケイシー・アフレック 
ゾーイ・サルダナ ウィレム・デフォー フォレスト・ウィテカー 
サム・シェパード