12.07.2009

結局2012かい 「アルマズ・プロジェクト」



アメリカでもDVDスルーとなった作品だが、 なぜか日本でだけ劇場公開されている。 配給サイドも宇宙版の 「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」 という認識があったようで、 原題のBLACK BOXが "プロジェクト" に差し替わった邦題となっている。

ロシアの宇宙ステーションで事故があった。 ステーション内を出来事を記録したブラックボックスはロシア政府より早く、 ウクライナの反体制グループが回収したために秘密が明るみに出た。 未知の生命体から送られたとおぼしき信号、 刻まれた2012年12月12日は何かを予告するのか・・ みたいなノリで それなりに面白そうだったが、 いざ始まってみると睡魔に襲われる^ ^

例の予言って12月12日だっけ? 21日じゃなかった? 諸説あるにせよ、 とにかくこれだけフェイクドキュメンタリーが出回った今となっては、 出来の悪い部類でしかない。 受信した映像のサブリミナルでごまかしてるのがほとんどで、 低予算なりに骨太な部分が足りないと言える。

最後に blackboxtruth.com への案内が出て終わるが、 もうそのサイトは存在しない。 このへんの方式もブレア・ウィッチを踏襲してるが、 サイトを維持することもできないほど失敗に終わっているということだろう。

恐怖の方向性も分散されすぎで、 未知の生命体は黒い影のようなものがちらっと出たか出ないか、 映像の中で女性の幽霊のようなものがぼやけて紛れていたりするが・・ 人類の滅亡を救おうと警告してるのだったら、 エイリアン自体は恐怖の対象ではなくなる。 ドッキングしたソユーズがすーっと離れていくところは微妙にゾッとするが、 特別 新しい表現でもなく、 二度と地球の家族に会えないという悲しみもおざなり。

ようするにゴチャゴチャと低予算でミックスしてしまっただけで、 新しい恐怖の輪郭すら描き出せていないのが失敗の理由だろう。 宇宙ステーション アルマズの中はすごく狭くて、 コタツのようなミーティングテーブルが笑えるが、 SF映画に出てくるような豪華なステーションと違って実際はこんなもんなんだろうな。 そこだけはリアルかもしれない^ ^ あるいは指揮官不在で乗組員はああだこうだと言い争うばかり、 その間にもステーションは墜ちてゆく・・ そんな日本の現状として見れば十分に恐いかも。


アルマズ・プロジェクト ALMAZ BLACK BOX (2007) 日本公開2009 
監督 クリス・ジョンソン  公式サイト 
イワン・シュヴェドフ イナ・ゴメス ギデオン・エメリー 
アルマズ・プロジェクト [DVD][DVD]

 G.I.ジョー [DVD] 3時10分、決断のとき [DVD] ブラック・ウォーター [DVD] ノウイング プレミアム・エディション [DVD] 消されたヘッドライン [DVD]

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12.06.2009

赤ずきんちゃんご用心♪ 「ニュームーン/トワイライト・サーガ」



シリーズ化が決まった続編としては こんなもんかなと。 前作にも増して'厭世する'べラは、 今度は狼男と付き合う。 怪物ランドの王女だぞ、 と言わんばかりだが、 ヴァンパイアやウェアウルフよりも自分自身の存在に苦悩するのは人間であるベラ。 このあたりが微妙に捨て難くはある。 また種族のしがらみを越えて関係する個体という部分もいいと思うが、 今後シリーズ化のしがらみで、 現在の含みが はぐらかされずに描き切られることを祈る。

それにしても女性客へのサービスか、 男の上半身裸が多い気がする。 ヴァンパイアがブームなんて、 何も新しいものがない証拠との意見もあるが、 それは今に始まったことではないし、 どことなく少女マンガような話がアメリカで受けていること自体、 何か根本的な変化が起きているのではないかという期待を持って見守りたい映画。 今のところ、 そのことに変わりはない。

前作の公開が遅かった割りに、 ようやく噂を聞きつけたと見えて、 今回はあまり遅れずに日本公開されたもよう。 だから変にスパンが短い。

ダコタ・ファニングまで出てきたら、 "早くThe Runaways見たい病" が復活してしまうが、 エクリプスとどちらが先に見れるだろう。 昔、 エヴァの劇場版を見るまでは死ねない〜と言ってた友人がいたが、 微妙にそんな気分を覚える。 もちろんThe Runawaysのことだが。 シリーズはどうも苦手だな。 やはり映画は一作完全燃焼してほしいものだ。

(追記) The Runaways 先に見れました^ ^


ニュームーン/トワイライト・サーガ (2009) 11/28〜
The Twilight Saga: New Moon  公式サイト 
監督 クリス・ワイツ 原作 ステファニー・メイヤー 
クリステン・スチュワート ロバート・パティンソン テイラー・ロートナー 
ダコタ・ファニング アシュリー・グリーン ニッキー・リード 

12.04.2009

退学か失職か 
「チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室」



密かにマークしていた作品だったが、 いざ見てみると 思ったほどではなかったかな。 "チャーリー・バートレット" という人名のみの原題で、 このキャラの造形がポイントのはずだが 'ひょうひょうとした' 奴という以上には描けてない気がした。 しかしながらアメリカ映画 数あれど、 微妙なニュアンスを描こうとしている微妙なポジションの映画であることに変わりはないだろう。

「天才マックスの世界」(1998) や 「ハロルドとモード」(1971) が引き合いに出されるようだが、 前者は忘れたし後者は見てないと思うので細かい考察は抜きにするが、 作品の出来不出来にかかわらず、 もし十代で見たなら何らかのものが心の一角に残る映画なのではないだろうか。

チャーリー・バートレットは成績優秀、 運転手付きのリムジンで送り迎えされる坊ちゃんだが、 父親は不在。 問題を起こしては私立高校をことごとく退学となり、 最後に めでたく公立高校に転入することとなる。 人気者であること、 あるいは人に必要とされることに注力するあまり、 精神科からもらう薬の横流し、 パーティの企画、 邦題にあるとおりの男子トイレでの人生相談など、 いわゆる '高校生らしく' ないことのオンパレードをやらかす。 が '高校生らしく' という規範を外しさえすれば、 ニーズにかなった優秀なビジネスマンあるいは起業家であるだけなのだ。

'らしさ' は劇中で一旦 取り外され、 そしてまた大人のプライドと 'ただの子供' という精神衛生上の年功序列に組み入れ直されるあたりが、 とりあえず収まりをつけてるんだなという気はするが、 同時に 'ただの大人' と子供のプライドに何%かは変換出力されているのは取り柄とも言えるだろう。

公立校の荒廃が取りざたされ、 映画でも学校じゅうに監視カメラが取り付けられる。 抗議する学生たちは "学校は刑務所ではない" と書いたプラカードを掲げる。 自分が十代の頃は、 校則にうるさく軍隊のような日本の学校を嫌い、 アメリカの自由な校風に憧れたりしたものだが、 軍隊どころか刑務所になってしまったのかと一抹の感慨。

ホープ・デイビス演じるチャーリーの母は、 口うるさい母親像と正反対の造形がなされていて印象的だが、 チャーリー役のロシア系 イェルチンより、 モヒカン野郎タイラー・ヒルトンや自殺未遂の劇作家マーク・レンドールのほうが印象深いのが玉にキズか。 デニングスは可もなく不可もなく。

"人気者であることより その人気をどう使うか" ダウニー・Jr校長はそう言う。 中学生くらいの頃、 親からは "友達は選びなさい" と言われ、 教師からは "誰に対しても いい友達でありなさい" と言われたことなどを思い出したりしたが、 最後に劇中歌より詞を抜粋。
 If you wanna be free, be free. 自由になりたいなら なりなさい




チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室 Charlie Bartlett (2008)
監督 ジョン・ポール  日本公開2009 公式サイトは終了 
アントン・イェルチン カット・デニングス タイラー・ヒルトン マーク・レンドール
ミーガン・パーク ホープ・デイビス ロバート・ダウニー・Jr 
チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室 [DVD][DVD]

 路上のソリスト [DVD] 私がクマにキレた理由 (特別編)〔初回生産限定〕 [DVD] 3時10分、決断のとき [DVD] ミルク [DVD] それでも恋するバルセロナ [DVD]

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12.03.2009

夢の残骸を洗う 「サンシャイン・クリーニング」



夏に見逃して悔やんでいたが今 見ることができた。 タイトルに反して冬のほうが似合う映画という気がする。 DVDリリースにはまだ早かったようだがエントリーしておく。

「リトル・ミス・サンシャイン」 のスタッフが贈る、 と宣伝されていたのは覚えているが、 よく見てみると製作者の数人が同じだけで監督も脚本 その他も、 ぜんぜん違うではないか。 サンシャインという言葉とサンダンス系というだけで引っかけてるのか。 。

内容もかなり違って 「リトル・ミス・・」 のような弾けた部分はないが、 後になって思い出すことの多いシーンのある映画だと言える。 しょっぱなから、 弾丸だけを持参して銃刀店を訪れる男。 手に取った銃に弾を込めて自らの顎に当て・・ というショッキングなシーンで始まる。 けっして太陽サンサンではなく、 それはあくまでタイトルの綾、 社名の下に Since 19xx などと書いて信頼感を補強する 'ビジネス上のレトリック' と同じニュアンスで捉えればいい。

しかし何をやっても上手く行かない人というのはいるのだ。 と人ごとのように言ってるが。 。 アメリカで本作が公開されたのは2008年の初頭であり、 その頃の気分を思い出して見ないと変に暗さだけが印象に残るかもしれない。 姉妹、 あるいは家族の物語であり、 姉妹の母は、 二人が幼少の頃に自殺している。 姉ローズとともにバイオハザード・クリーニングをモグリ起業して、 クライアント宅を清掃中にふとその記憶をフラッシュバックさせてしまう妹ノラ。 母は映画に出てたの、 と自慢げに語るノラ。 だが母のセリフは "お薦めはペカン・パイです" の一言だった。

母の役柄と同じウェートレスの仕事をクビになったノラは、 姉の仕事を手伝いながらも、 その部屋で亡くなったのが誰かの母だと知って、 部屋に残された子供の頃の写真、 そこに写っている娘に "あなたの母さんが死んだのよ" と伝えたくなる。 それは規則違反の行為だったし、 結果として "飲んだくれの母のことなんて どうでもいい" との返事が返ってくるだけのことだったが、 死者はいつも母にリンクしていた。

最近 殺人や自殺が多くて、 この手の清掃業者は流行るよ、 とローズに教えた男は、 ハイスクール時代からのボーイフレンド。 ローズはチアリーダーで高校時代は輝かしい日々を送ったが、 男は別の人と結婚、 にもかかわらず関係は続いている。 そう言えば、 死体洗いのバイト、 なるものが一時期 流行った。 あれは都市伝説とのことだが、 これは現実にニーズがあるものと思われる。

姉妹の父は、 小学生の孫にはビジネスの心得を説くくせに、 自分は失敗ばかりを重ねてきたような男で、 いまは海鮮品の横流し的なことをしているが、 今回もバスタブで大量のエビを腐らせた。 この男の孫であり姉の息子は学校で問題ばかりを起こし、 薬物治療を勧められたので学校には行かせないことにする。

こうして、 ざっと書き出すだけでも太陽サンサンとは裏腹な内容が見え隠れすることだろう。 あげくの果てには、 そうして起こしたビジネスも大きな負債を抱えてしまうこととなる。 この先、 彼らに行く道はあるのか。 最後は、 ほんの一抹の希望の光が差し込まれたところで終わる。 「リトル・ミス・・」 を期待して見に行った人は概ね期待外れな感想を持ったようだが、 それは宣伝が間違っているのだ。

世の中には一生かけても見切れない数の映画が存在し、 かつ毎月毎年 追い切れないほど作られるわけで、 そんな多くの映画の中から、 わざわざこの二つの映画を関連させる必要はまったくないと言える。 彼女たちが始めた素人ビジネス以下のことを平気でやる配給系のノイズは 一旦シャットアウトした映画とのつきあい方を試みたいものだが、 そう心がける自分もノイズに毒されてるわけだから なかなか難しい。

ノラが鉄橋を駆け上がり、 走る列車のレールの下で叫ぶシーン、 ラスト近く、 テレビで放送される母の映画・・ このあたりはグッと来る。 スクリーン上の母役はallcinemaのクレジットには出て来ないがマリア・ボーヴェという人。 見直すと他にも味わい深いニュアンスが何通りも再発見できそうな作品なので、 今年を何とか生き延びた人は来年早々にでも、 それを祝う意味で見てほしい^ ^



サンシャイン・クリーニング SUNSHINE CLEANING (2008) 日本公開2009 
監督 クリスティン・ジェフズ  公式サイト 
エイミー・アダムス エミリー・ブラント アラン・アーキン 
ジェイソン・スペヴァック クリフトン・コリンズ・Jr マリア・ボーヴェ 
サンシャイン・クリーニング [DVD][DVD]


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12.02.2009

傷口に塩 Invitation Only



一部で話題になっている台湾製ホラー、 当用漢字にすると '絶命派対' か、 招待客オンリーの命を落とすパーティなる意味のよう。 「ホステル」 のような硬派な?スラッシャーあるいはスプラッターが弱冠25才の監督によって生み出された。 日系セクシータレントも出演するなど、 公開されてもいいような、 密かにDVDスルーされればいいような。

刃物の登場が多いが、 鋭角的な鋭さより中国刀あるいはナタのようなゴツッとした痛みが得意か。 拷問系はそれほど恐くもなく、 傷口に塩を刷り込むなどは中国的センスという気がする^ ^ むしろサスペンス感覚が上手いと言える。

上流階級や金持ちが集まるパーティに招待された5人、 だが自分たちが出し物の犠牲だと気づいても時すでに遅し。 舞台の上では惨殺ショーがくり広げられる。 主催者は語る。 裕福な家庭に生まれた彼は子供の頃、 身代金目的で誘拐され妹は殺されたと。 奪うことしか知らない庶民には、 こちらから夢を与えてやろうじゃないか。

しかし、 しぶとい庶民もいたもので、 パーティ会場からフェラーリで脱出。 客がジレてきたから早くしてとの声の中、 逃走車を追撃する主催者。 逃走は失敗に終わり連れ戻されるが・・




Invitation Only 絕命派對 (2009台湾) 日本公開未定 
監督 コー・モンロン 
ブライアン・チャン ヴィヴィ・ホー ジェリー・ファン 
クリスチャン・ブロディ 小澤マリア 

12.01.2009

会社そのものがブラック^ ^ 「ショーツ」



先週末から娘が新型インフルにかかり、 こちらも熱が出てきたので検査してもらったら普通の風邪だった^ ^ そんななかでロバート・ロドリゲスの新作ファミリー映画を見た。 「デスペラード」 や 「プラネット・テラー」 のようなエグイ作品だけでなく 「スパイ・キッズ」 のようなファミリー感覚も持ち合わせているところがロドリゲスおじさんの強みだ。

"ショーツ" というからには何かしらエッチなファクターが絡んでいるのかと思いきや、 立派ではない 'ちっぽけな' 話を集めたものということだった。 しかし時間をバラバラにしているだけで、 元々は一つの物語なのだ。 少し苦しいけどキャッチーなタイトルではあるだろう。

どこにでもあるような企業城下町、 ブラックフォールズと呼ばれるその町はブラックという会社で成り立っている。 父も母もブラックに勤め、 学校ではブラック家の息子や娘が威張る。 ブラックが販売するブラックボックスは何にでも変形する進化型iPhoneのようなもので、 ライバルの追従をはね除けようとバージョンアッププロジェクトが進行中だった。

「ブラック会社・・」 という邦画も見たいと思いつつ行けてないが、 こちらはトップ企業すなわちブラックという割り切った捉え方で笑える。 社内に二つのチームを設けて競わせ、 ダメだったチームはクビになるというが、 Aチームのリーダーは父、 Bチームのリーダーは母。 企業に翻弄される家族像も今っぽい。

そんなとき、 願い事が叶う虹色の石が現れる。 これは地球外から来たようで、 願い事は三つまでとかではなく、 いくつでも聞いてくれる。 石を拾った者が次々に思いつきの願い事をしてゆくなか、 ブラックの社長はこれに気づき、 これこそ究極のバージョンアップだと・・

しかし虹色の石にもマニュアルはあったようで、 おかしな使い方がやがて限界に来る。 このままでは世界が崩壊する。 そこでみんなは、 これまでの行いを反省し一致団結して・・ みたいなパターンの展開。 まあ可もなく不可もなくだが来年のゴールデンウィークあたりに公開されるのかな。 。

ブラックの娘はヘルベチカというフォントみたいな名前だが 「アダムス・ファミリー」 の頃のクリスティーナ・リッチによく似ている。 カット・デニングスといい、 どこかヴァンパイアっぽいキャスティングはロドリゲスおじさんの好みを反映しているのか。 ラグというカーリーヘアの男の子は監督の息子さんとのこと。

(追記) スルー決定^ ^




ショーツ 魔法の石大作戦 Shorts (2009) 日本未公開 
監督 ロバート・ロドリゲス 
ジミー・ベネット ジェイク・ショート ジョリー・ヴァニア カット・デニングス 
レベル・ロドリゲス ジェームズ・スペイダー 

ショーツ 魔法の石大作戦 特別版 [DVD]特別版 [DVD]
ロバート・ロドリゲス

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