9.06.2008

地球から来た男 The Man From Earth



デビッド・ボウイ主演の 「地球に落ちてきた男」 という映画があったが、 これは '地球から来た' 男。 映画は全編、 引っ越しの片付けをする男の部屋で進行し、 ある種 演劇的で映像のダイナミズムには乏しいが、 その代わり話はすごく面白い。 脚本は 「スター・トレック」 や 「トワイライトゾーン」 の脚本で知る人ぞ知るジェローム・ビクスビー。

ある男が10年間住んだ街を離れる。 友人たちが別れを言いに集まってくる。 男は大学で教鞭を取っているし、 街を離れなければならない理由が友人にはさっぱりわからない。 引っ越しの荷物の中には、 模写ではなさそうなゴッホの絵、 珍しい古代の石などが紛れていて、 同じ大学教授の友人や教え子たちはこの男の素性にさらに関心がわく。

" なぜ住み慣れた街を離れるのか?" ”指名手配でもされているのか?”

みんなは冗談交じりに尋ねるが、 男は ”ひと所にはいられないタチなんだ" などとかわす。 友人たちはこの男が好きだ。 だから何とか行かせまいとして働きかけるうちに、 男は本当のことを話し始める。

男は歳を取らないのだと言う。 古代から生きているクロマニヨン人で、 35歳程度の外見だが実年齢は1万4千数歳だと。 世界中を旅しブッダの弟子となり、 やがてヨーロッパに戻ってその教えを広めようとしたこともある・・ そう、 男は XXXX 本人なのだ。 同じ所にいると歳を取らないことが周りに知れてしまうので10年ごとに移動を繰り返してきたのだと。

SF小説でも書いているのか? ドラッグでもやっているのか? 話が意外すぎたので、 みんなの反応は当然ながらこういう具合になる。 しかし男が語る地球と人類の壮大な歴史には整合性があり、 学者でも知り得ないリアリティに満ちていて聞く者を魅了する。 一人の敬虔なキリスト教徒は反発しながらも引きつけられる。 ある者は精神科医に電話をするが・・

変わった映画だ。 映像は地味だが、 でもすごく不思議な気分になる。 残念ながら日本公開は未定で、 気づいたらDVDスルーになっているかもしれないが、 もし思い出したら、 いつかどこかで見てほしい。



The Man From Earth (2007) 日本公開未定 
脚本 ジェローム・ビクスビー 
監督 リチャード・シェンクマン 
デビッド・リー・スミス 
Jerome Bixby's The Man from EarthJerome Bixby's The Man from Earth
Average Review star
starThought provoking....
starSomething out of the ordinary
starGreat Content, Poor Quality Video
star65 out 0f 80 reviewers give it 4 or 5 stars. That should tell you something
starObscurity is often well-deserved
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9.05.2008

時には母のない子のように 「女子高生サバイバル・ドライブ」


女子高生サバイバル・ドライブ FIVE ACROSS THE EYES (2006) 日本未公開
監督 グレッグ・スウィンソン+ライアン・ティーセン 

アルバトロスだから期待はしてなかった。 IMDbでも 'サイテー' みたいなこと言われてるし、 たぶんエロめの安いホラーだろうなくらいに思って見た。 (でも見るのかよ^ ^)

ところがどっこい、 グイグイ見てしまうではないか。 それほどカワイイ娘が出てるわけでもない。 手持ちカメラで、 あーまたこの手のか、 という気はしたが、 それほどドキュメンタリー 'もどき' を気取っているわけでもない。 特殊メイクもないしグロさが売りでもなさそう。 なのに見てしまうのはどういうわけか。

免許取り立てのギャルとその友だち5人がドライブ中、 道に迷ったようす。 責任のなすり合いなんかしている。 この会話もリアルなんだか 'いかにも' なんだかわからないまま、 暗い夜道をクルマは進んでいく。 それなりにダラダラとこのシーンは続くがコレとは違って求心力は維持。 そうこうしているうち、 片方のヘッドライトが壊れたクルマに追い上げられ・・ そして唐突に出来事の渦中に投げ込まれる。

グダグダ言って逃げ回るだけだったギャルたちも、 いつしか根性が座り・・ タランティーノの 「デス・プルーフ」 にも似た設定ではあるが、 とくにタフギャルはいないし、 あれを小振りにした感じと言えばいいか。 。



当初の予想に反して、 エロはなし、 グロも控えめ。 ある意味 "チラリズム" がこの映画の求心力だったのかもしれない。 音楽も、 一部の扇情的なヘビメタを除けば品のいい使われ方。

劇中、 遺灰を車内にまいてしまうシーンがあるが、 アメリカ映画だよな・・とスペックを見直してしまった。 調べてみると最近は火葬が増えているらしい。

参照→変貌するアメリカの葬儀

遺灰はギャルの一人の父親のもので、 詳しく書くとネタバレになるので控えるが、 口うるさい母親と年頃の娘の微妙な関係みたいなものが、 このフィルムメーカーの関心事だったのだろうか。 おバカな邦題のわりには手に汗握れる低予算作品だ。



9.04.2008

894体のゾンビ?! 「エスケイプ・フロム・リビングデッド」


エスケイプ・フロム・リビングデッド THE ZOMBIE DIARIES (2006イギリス)
監督 マイケル・バートレット+ケビン・ゲイツ 日本未公開 

いい映画が続いたので、 このへんでホラーいっときます^ ^

894体のゾンビが集結し新記録達成!! これは公開時のイベントの話だそうで、 ロンドンの街をエキストラが埋め尽くす、 写真のような雰囲気を想像していたが、 実際の映画はブレア・ウィッチ的な低予算なノリ。 そして、 とにかくバンバン撃ちまくる。



このゲーム世代によるゾンビ、 原題は奇しくもロメロさんの新作と似ていて、 さらに意外なことに 「人間に救う価値はあるか」 といったテーマまで同じ。 もちろんそれはゾンビ映画永遠のテーマであるかもしれないが、 製作年はこちらのほうが早いという点に注目したい。

最近は素早く凶暴なゾンビが多いなか、 このゾンビはあくまでもオーセンティックにノソノソと、 しかしながら執拗に迫ってくる。 蝿の飛ぶ音とともに死臭たっぷりのゾンビがホームビデオに乱雑に記録されるというノリで、 前半はRECなどよりサスペンスフルかもしれない。

だが後半、 ゾンビに追いつめられた人々は息苦しさを増し、 物語は意外な方向へ。

まだ息のある子供、 鎖につながれたまま '人間に' 何かをされた後ゾンビになった者・・ ドラマチックな盛り上がりには欠けるしエンディングも突然やってくるが、 総じて予想外に正統派のゾンビ映画だった。

フェイクドキュメンタリーの場合、 いちおうは理由をつけて撮影の必然性があることを観客に納得させているが、 本作はTVクルーということになっているのは最初だけで、 どんどんと撮影の根拠が曖昧になって誰がカメラを持っているかもわからなくなる。 まあ、 そんなことどうでもいいじゃないか、 という割り切りか。 しかしリアル感は徹底しているし '演出しない演出' はバランスも悪くない。 カメラ酔いも軽かった^ ^




しかし見る映画が何本かあるとき、 とりあえずはホラーをかけてしまうのも悪いクセだなあ。 。

9.02.2008

悲劇を止めるのは誰か 「落下の王国」


落下の王国 The Fall (2008インド・イギリス・アメリカ)
9/6 公開 オフィシャルサイト&トレーラー 
監督 ターセム *ベルリン・クリスタルベア受賞 
衣装 石岡瑛子 デビッド・フィンチャー&スパイク・ジョーンズ presents 
リー・ペイス カティンカ・ウンタルー 

「ザ・セル」 のターセム (aka ターセム・シン) 監督が、 構想26年、 撮影4年をかけて送り出してきた作品というのだから凄い。 世界24ヶ国以上、 13ヶ所の世界遺産で撮影が行われたというのも圧巻。 今回も衣装は、 コッポラの 「ドラキュラ」 や北京オリンピック開会式のコスチュームでも有名な石岡瑛子が担当、 独自の映像美の一翼を担っている。



時は1915年、 所はハリウッド、 男は萌芽期のアクション映画でスタントの仕事を始めるが事故で半身不随になり、 恋人の心変わりもあって自殺を考えるように。 男は病院で、 腕を骨折した少女に出会う。 少女は故郷を追われ、 父を亡くしていた。 片言の英語で話しかける少女に、 男は何気なく物語を話す。 それは暴君にすべてを奪われた者たちの、 復讐の物語であった。

復讐者は元奴隷の黒人、 疎まれたインド人、 爆弾男、 ダーウィン? そしてレゲエっぽい魔術師。 よくわからない取り合わせではあるがキャラ優先で物語を引っぱってゆく。 しかし語り手の心を反映して悲劇へ落ちてゆく物語のなかに、 いつしか少女自身が語り手の娘として現れ、 物語をハッピーエンディングへ引き戻そうと悪戦苦闘する。




正直、 この女の子、 かわいくない^ ^ しかし時間が経つにつれ愛おしい娘のように思えてくるから不思議。 音楽はベートーヴェンの "交響曲第7番" なんかが使われて壮大さを演出しているが、 もしかしたら別の音楽でもよかったかなと思える以外は、 投入された時間とエネルギーに見合うだけの力作となっているのではないだろうか。

物語中の恋人たちが会話するシーンで、 唐突に遠方から二人を見たショットがカットインする・・ 何かに夢中になりながらも、 一方では醒めた視線が自分を見ていると感じたことはないだろうか。 それを表現するとこんな風なのかなと以前に知り合いと話していて、 偶然にも似たようなカットを発見したのでビックリ。 繰り返し見れば他にも面白い要素がみつかりそうだ。 何せ構想26年だからね。 。

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ジェニファー・ロペス, ヴィンス・ヴォーン,
監督 ターセム・シン, 衣装 石岡瑛子

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9.01.2008

終電をなくそう^ ^ 「彼が二度愛したS」



9月の1本目は秋らしく、 ロマンチックサスペンスでも。 007風な邦題は決定したようだが、 公開日は未定。 そんなの知るかと、 ひと足お先にチェック!

原題は '欺瞞'。 なんとなく地味な気配だがミシェル・ウィリアムズの清楚な雰囲気がよさげだったので見てみた。 サスペンスとしてはシンプルすぎて深読みのあげく何だ?となるが、 断片的なロマンチックさはまあまあかな。 。

NYのような刺激的な街に暮らしていても、 会計士の毎日は退屈で孤独。 監査先に出向いて仕事が終わればまた別の会社へ。 上司と顔を合わせない代わりに、 自分のデスクもなく、 友だちはおろか社内恋愛もない。

そんなある日、 仕事先の会社で男が話しかけてきた。 残業と称して二人でイケナイ煙を吹かしたり、 休日のテニスに誘われたり。 友だちができたのだ。 そして終電間際の地下鉄で出会った女性に特別なものを感じ、 孤独な会計士の日々は変わり始めた。 だが、 それはデンジャラスな変化だった。 男の手引きでセフレサークルを使うようになり・・

終電と書いたが実際にはNYに終電はない。 本数は少なくなるが深夜も運行している。 日本の終電はほんとにネックだ。 アレがなくなったら経済効果高いと思うんだけど。 。 終電に乗り遅れまいと必死になるのって、 やっぱりロマンチックじゃないし・・

マンハッタン・ミッドナイト」 のマギー・Qやシャーロット・ランプリングが意外なところで登場するのも一興か。


彼が二度愛したS (2008) 11/8 公開予定 公式サイト&トレーラー  
Deception 監督 マーセル・ランジェネッガー 
ヒュー・ジャックマン ユアン・マグレガー ミシェル・ウィリアムズ 
マギー・Q シャーロット・ランプリング 
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