6.29.2013

退職金代わりに 「サイド・エフェクト」



ソダーバーグはこの作品を最後に監督業を引退するらしい。 他のアートを追求したいそうだ。 そして、 もしお金に困ったら監督業に戻って 「オーシャンズ」 シリーズを再開したいとのこと^ ^ » 参照 そんな野望に満ちた? 最後の作品は思いの他あっさりしていた。 もうちょっと何かあるのかとの深読みもあっさり裏切られる感じの、 いわゆるフツーのサスペンス。 しかし製薬会社や証券会社といった危ない匂いのする分野をかけ算して、 一方でレズビアンソースをからめるなど、 サスペンスとしてのツボは適切に押さえられている。

製薬会社から営業をかけられ、 5万ドルの報酬で新薬の優先使用を承諾する英国なまりの精神科医。 美人の奥さんや息子のために何かと入り用らしい。 片やインサイダー取引で収監されていた夫が戻って来たばかりの女。 これから人生をやり直そうと意気揚々のはずの彼女が、 発作的な自殺未遂。 精神科医は彼女を診ることとなり、 例の新薬を処方するが、 そこには巧妙な罠が仕組まれていた。

精神科医はどん底に落とされるが、 はたしてこの罠を破ることができるのだろうか。 途中で力関係が替わるのだが、 そのポイントがイマイチはっきりしないように感じたのは惜しいところか。 はたしてソダーバーグはこの作品で、 早期退職に見合う退職金が得られるだろうか。 乞うご期待。



サイド・エフェクト Side Effects (2013) 日本公開9/6 公式サイト・予告
監督 スティーブン・ソダーバーグ 
脚本 スコット・Z・バーンズ 
ジュード・ロウ ルーニー・マーラ キャサリン・ゼタ=ジョーンズ 
チャニング・テイタム ヴィネッサ・ショウ ポリー・ドレイパー アン・ダウド 

6.24.2013

花は自分の色を選べない 「イノセント・ガーデン」



パク・チャヌクのハリウッドデビュー作品、 リドリー&トニー・スコット製作ということで少なからず期待したものの、 昨日と同じ調子で書くなら IMDbに the ultimate "so-what" experience とある^ ^ 究極の "だからどうした" 体験・・ まさに。

パク・チャヌクの演出は想像以上に堂に入って、 同じくIMDbでは "アジア人監督の初英語作品としては上出来" とコメントされている。 しかしながら、 スタイリッシュなスリラー? ようするにそれだけだ。 何のことはない。 イノセントがどうのこうのという含みがあろうとなかろうと、 ただの “ストーカーさん”。 (人を付け回すストーカーではなくて、 その一家の名字。 殺人者の血を引いている? )

企画のポイントもわからず、 1.5流の娯楽作品と言ったところ。 スコットさんらはもともと企画力で勝負するタイプではないのか。 。 じゃあ何で勝負する・・ 韓国のパク・チャヌクを引っ張ってきます? ミア・ワシコウスカという娘がいいんです? キッドマンも押さえました? 製作者には向かない枝葉の人ということか。 映像的には悪くないものの、 え? それだけデスか、 みたいな。 。

劇中でナンシー・シナトラとリー・ヘイゼルウッドのデュエット曲 “Summer Wine" が使われている。 一部でこの曲は 「夢は夜ひらく」 の原曲ではないかと言われていて、 盗作かどうかはどうでもいいが、 この選曲だけは印象的。 ラナ・デル・レイ盤で貼っておこう。 エントリータイトルは冒頭のナレーションより。


イノセント・ガーデン STOKER (2013イギリス・アメリカ) 日本公開5/31~
監督 パク・チャヌク  公式サイト・予告 象のロケット 
製作 リドリートニー・スコット 
ミア・ワシコウスカ ニコール・キッドマン マシュー・グード 


6.22.2013

たこメタル The Catechism Cataclysm



IMDbのコメントに wtf? と書いてあったが、 実際、 何だろうねコレ。 古めかしいホラー映画のようなレタリングでタイトルを出してきて、 中盤にもホラーな展開になるが、 それ以外はユルーい、 そしてスラッシュメタルばりにうるさくてダルい会話ばかり。 ジャンルはコメディとなっているが当然笑えず。

概略をたどると、 下ぶくれで童顔の神父が、 数少ない信者につまらないストーリーを聞かせている。 聖書にも関係なく、 教訓もない。 そんな漫談は他でやってくれと年配の神父に言われ、 休暇を取って川下り。 誘われたのは下ぶくれ神父の姉が高校のときにつきあっていた男で、 神父は彼に憧れている。 ストーリーも概ね、 その姉の元カレが書いたらしく、 元カレはそんな作家であり、 ロックミュージシャンを目指していたらしいが今はバンドのクルーをやっている。

ビールを飲みながらカヌーを漕いで川下り。 川の流れもユルいのでとくに緊張感はなく、 昔話、 バカ話が延々続く。 しかしゴールはみつからず仲違いしていると、 ヘンな日本人の女二人がやってきて、 いっしょにキャンプをしようと言う。 そこでタコの足が乗ったご飯を食べさせられたり、 日本酒を飲まされたり、 ヘッドホンで不思議な音楽を聴かされる。 ここでヘンなことが起き、 しかしながら、 そのわけのわからない休暇を経て神父の話には深みが出るようになりました、 めでたしめでたし。

は? what the f●ck? まあ狙ってるんだろうから堂々のNG指定にしてやるけど、 NGももったいないようなつまらなさ^ ^ これがツボにはまる人はいるのだろうか。 DVDスルーされるかどうかも危ういが、 いつかどこかで乞うご期待。 。



カテキズム・カクタリズム(原題) The Catechism Cataclysm (2011) 日本公開未定
監督 トッド・ローハル 
スティーブ・リトル ロバート・ロングストリート 
アン・マドックス ココ・ランハム リコ・A・コミック 

ジュマペーラ・オバマ 「インベーダー」



下のトレーラーがインパクトあったので見てみた。 トレーラーはそのまま本編の冒頭部分なのだが、 タイトルやスチールからも低予算のSFかと勘違いしつつ見た^ ^ しかしインベーダーとは宇宙からの侵略者ではなく、 違法入国者を指していた。 アフリカから貨物船か何かに潜んで、 ヌーディストビーチにたどり着いたということらしかった。

ベルギーのヘント国際映画祭ではグランプリを獲得しているらしいが、 その割に情報量が少なく、 ある種の不遇な作品と言える。 必死に探し当てて見るほどの作品とも言えないが、 体一つで異国へ渡り、 何らかの空自信はあった男に、 何も持たないただの異邦人にすぎないという事実が、 じわじわとその体に浸透していくかのような寒々とした視線は悪くはなかったように思う。 やがて男は真のインベーダーになるかのようなところで映画は終わる。

その男アマドゥは悪徳な斡旋業者の元を抜け出し、 一人の裕福そうな女の後をつける。 夜の街を徘徊して戦略を練る。 しかし戦略などあるはずもなく、 裸一貫の挑戦はあえなく破れる。 行き場を失った野心と希望は男を殺人者へ、 そしてインベーダーへと変えていく。

男はその女アニエスに名前を聞かれ、 オバマと答える。 このアホくささをどう捉えていいものかわからないが、 もう一歩踏み込めば、 もしかしたら21世紀の 「タクシードライバー」 になれたかもしれない。 褒めすぎかな。 。 まだ若い監督のようなので、 ま、 めげずにガンバってほしい^ ^ 邦題はせめて " ジ "・インベーダーにして。 それと、 今どきボカシはやめて^ ^



ザ・インベーダー L'envahisseur / The Invader (2011ベルギー) 日本未公開
監督 ニコラス・プロヴォスト 
イサカ・サワドゴ ステファニア・ロッカ 
[DVDはレンタルのみ?]

6.21.2013

性と詩 The Sessions



"セッション" というのが何を意味するかと言えば、 セラピーのこと。 しかし普通のセラピーではなく、 身体障害者の性の悩みを解決するセラピーだ。 幼少の頃にポリオにかかり、 目や口以外を動かすことができなくなったマーク・オブライエンという詩人の手記が原作とのこと。

時代は80年代半ば。 マークは全身麻痺により "鉄の箱" と呼ばれる人工呼吸器なしには生きられない体で、 カリフォルニア大学バークレー校を卒業。 その後、 雑誌に記事を書いたり、 詩を書く日々。 鉄の箱を出るときは携帯用の呼吸器を使うが、 それも3~4時間が限界。 いつもストレッチャーに寝かされ、 30代後半となっても当然のごとく童貞だった。

しかし、 経験したいという欲求、 あるいは想いはつのり、 相談したところ、 そういう問題の専門家がいるという。 派遣されてきた女性はティーンエージャーの子どもがいる人妻だったが、 手ほどきはプロだった。 しかし売春婦と違うのは、 特定の顧客を持たず、 セッションは6回までに限られる点であると、 その女性シェリルは言う。 やがてマークはセッションを卒業して一人前の男となるが、 それは機械的なカリキュラムで終わらず、 重要な意味と一編の詩を残す。

マークはクリスチャンだったので、 その顛末を神父に懺悔するというかたちで語り、 神父はときにビール肩手にマークの一人前を祝う。 ある種のタブーを取り上げながらも、 ユーモアあふれるマークの人柄やシェリルをはじめとする女性たちのあり方を通してバランスのいい作品となっている。

監督のリューインもポリオとたたかってきた経緯があるらしく、 そんななかから生まれた希少な企画と言えるだろう。 しかし特殊な事例に終わらず、 マークの苦しみは別の苦しみをそれぞれに持った多くの人に共感できるよう構成されているように思える。 キャスト陣の微妙な表情を的確に引き出して切り取った演出にも引き込まれる。 PRの方法がむずかしいタイプの作品に違いないが、 日本公開は未定。 できることならこのバランスを壊さないアピールを心がけてほしいものだ。 サンダンス観客賞・特別審査員賞他受賞、 ノミネート多数。 乞うご期待。




セッションズ The Sessions (2012) 日本公開2003.12/6
監督 ベン・リューイン 
ジョン・ホークス ヘレン・ハント ウィリアム・H・メイシー 
ムーン・ブラッドグッド アニカ・マークス ロビン・ワイガート アダム・アーキン 

6.15.2013

Never been to me. “The Guilt Trip”



好き放題な邦題をつけてくれているが、 原題は“罪な旅"とでも訳せばいいか、 ようするに結局のところオカンとのロードムービーなのだが^ ^ バーバラ・ストライサンドが70才を超えてると思えない若さとキュートさをあふれさせてくれる。 微妙な作品が邦題のせいでさらに微妙な雰囲気になっているが、 人それぞれの人生の片鱗を見るような悪くない作品。

ニュージャージーで生まれ、 8才で父親をなくしてからは母と二人暮らしのアンディ。 大学は西海岸の学校を選び、 離れて暮らすのは私を嫌っているからだと考えている母ジョイス。 化学を専攻した息子は卒業後、 5年の歳月をかけて安全な洗剤を開発、 売り込みにアメリカ中をかけ回っている。 しかし宣伝のセンスがないせいか、 まだ1件の契約も取れていない。

セールスのルートが故郷に近づいたとき、 久しぶりに母に会う。 あなた彼女は? などという話から、 そういう母さんこそ・・ となり、 ふと結婚以前のエピソードを聞かされる息子。 思うところあって、 母を同乗させて旅を続けることとなる。 母としては思いがけない息子とのドライブ旅行。 物語はいっきに観光気分になって、 グランドキャニオン、 ラスベガス・・ テキサスでは2kgのステーキを1時間以内で食べたら、 というサービスに挑戦して母も心なしか、 ほぐれてきた様子。

息子のプレゼンはあいかわらずコケているが、 最初は余計なおせっかいにしか思えなかった母の意見、 ネーミングが悪い、 説明がまどろっこしい、 そんなに安全なら飲んじゃえばいい・・ などをヤケクソでやってしまうとコレが大受け。 すったもんだあって最終地のサンフランシスコへたどり着く。 そこには母の、 結婚前に好きだった人が住んでいた。

こうしてストーリーだけを追ってみても気分は伝わらないかもしれないが、 泣ける、 というのでもないし、 しみじみするというのでもないが、 妙に爽やかな、 母を訪ねて3千里、 じゃなかった、 母を乗せての3000マイルだった。 派手なアクションやグロいホラーの合間にでも、 ぜひ。




人生はノー・リターン 僕とオカン、 涙の3000マイル The Guilt Trip (2012) 日本未公開 
監督 アン・フレッチャー 
バーバラ・ストライサンド セス・ローゲン ブレット・カレン アダム・スコット 

6.14.2013

目カメラ、犬カメラ、ゾンビカメラ V/H/S/2



前作を勝手に絶賛していたら、 その甲斐あってか関係なしか、 めでたく公開となるようだ。 しかし世界的なペースでは2がすでに登場。 コンセプトは同じく複数監督によるPOVアンソロジー。 カメラの位置でざっと紹介すると“目カメラ” “ゾンビカメラ” “取材カメラ” “犬カメラ” “盗撮カメラ” といった感じ。 テイスト的には全般に前回よりゴツっとしたテイストながら、 さらにアグレッシブ^ ^

展開の見えなさも前回同等かそれ以上。 ビバリーヒルズのプール付きの家に住むと意外にこんなにも寂しいものかなという一抹の感慨が残る “Clinical Trials”. 健康的なサイクリングコースに突如ゾンビが現れる “A Ride in the Park”. 新興宗教に潜入取材 “Safe Haven”. よくわからない “Slumber Party Alien Abduction”... などなど、 ゾンビからエイリアン、 そして よくわからないものと何でもありのサービスパックだ。

エグさもアップグレードしたが、 ミステリアスさは後退、全体的にショック療法にシフトしたかな・・ しかしまあ楽しめる第2弾だった。
(追記2014.12/12) 第3弾登場!




V/H/Sネクストレベル V/H/S/2 (2013) 日本公開2014.1月 公式サイト
監督・脚本 サイモン・バレット ジェイソン・アイズナー 
ティモ・ジャイアント グレッグ・ヘイル エドゥアルド・サンチェス 
アダム・ウィンガード 他