12.25.2008

血しぶきジェット噴射! 「東京残酷警察」



東京ショック第二弾! キーパーソンである西村喜廣が自らメガホンを握った本作は 「片腕マシンガール」 より高い物語性、 負けず劣らずのスプラッター度、 さらには西村的 'サイバー見せ物小屋' へと見事に発展を遂げている。 。 日本人による日本の風俗の自虐的リミックスは、 これまでありそうでなかった新感覚。 しかしながらこれを実現しているのはアメリカ資本であって、 日本映画界が見出したのではないところがポイントでもある。

東京タワーとフジヤマが並ぶ街で、 民営化された警察 対 'エンジニア' と呼ばれる自己改造殺人者たち。 チェーンソー、 日本刀、 カッターナイフ・・ 銃よりも '切り裂き' が得意。 サウンドトラックも怪しいアングラ歌謡。 エンジニアたちが出演するストリップ小屋は 「スター・ウォーズ」 のエイリアン・バー "カンティーナ" のようでもあり、 すると警察署長は さしずめ帝都版ダースベイダーか。 そこへエンジニアハンターなるルカがレザーのホットパンツにキモノを着流す和風美人と来た日にゃ、 、 アメリカのオタクのハートをグッとつかむだろうね。 日本でも一部の人はすでにつかまれてるかも。

ワニ女、 囚人犬など出てくるクリーチャーは不気味でオリジナリティが高い。 概ねボンデージではあるが西村ワールド炸裂。 目玉飛び出しは定番か?! 「ホステル2」 的 XXX切りまで登場、 清水崇、 園子温などの監督もゲスト出演してのカルト指数の高さだが、 板尾と山本彩乃を引っぱる感じで終わる続編にも期待したい。




東京残酷警察 TOKYO GORE POLICE (2008アメリカ・日本)
監督 西村喜廣  オフィシャルサイト&トレーラー 
しいなえいひ 板尾創路 長澤つぐみ 山本彩乃 澤田育子 
坂口拓 紅井ユキヒデ 菅田俊 清水崇 園子温 

ピクニックではない人生 「ランブリング・ローズ」



ローラ・ダーンというとデビッド・リンチ作品という印象になるが、 ベクトルの違うこんな作品にも出ている。

30年代の南部、 貧しい農家の娘ローズは娼婦として売られるのを免れ、 ホテルを経営する一家のメイドになる。 彼女の若さとしなやかな肢体、 あふれる愛は、 13才の息子を筆頭に周りの者たちに様々な影響を及ぼす。 幼くして両親を亡くした奥様に、 同じ境遇の者同士の親しみを感じ、 また北部の大学で学んだ教養にも敬意を抱く。 と同時に旦那様に好意を抱く。 やがて部屋に男を引っ張り込むようになったローズをある種の病気であるとする医者は、 彼女に理不尽な手術を施すよう旦那に薦める。 だがこのときにローズを守ったのは、 彼女の第二の母である奥様だった・・。

モラルとエロス、 あるいは社会と生命の対峙を微妙なニュアンスで描く佳作と言えるだろう。 特別にタイムリーなテーマはなかったが、 自分で作ったセクシーな服を着て、 出会う人みんなを振り返らせながら街を闊歩するローズがなんとも愛おしい。 奥様役のダイアン・ラッドはローラ・ダーンの実の母親。 そのことが作品に貢献しているかどうかの判断は難しいが、 プロデューサーのレニー・ハーリンもローラの当時の恋人ということで、 意外に世間の狭いハリウッドを再確認。 監督のマーサ・クーリッジも女性でありフェミニズムの流れにある映画と言えるが、 フェミニストの自分としてはここに掲げられる母性を賞賛するまでには至らずとも、 南部の男たちの偏狭なモラルあるいは支配意識には大いに違和感を覚えた。

映画は13才の少年の視点で描かれ、 ローラというひとりの女が歩んだ "ピクニックではない人生" をあくまでも美しい思い出として振り返るあたりが独特のニュアンスを生んでいるのだろう。



ランブリング・ローズ Rambling Rose (1991) 日本公開1992
監督 マーサ・クーリッジ 製作 レニー・ハーリン 
ローラ・ダーン ロバート・デュバル ダイアン・ラッド 

12.23.2008

ねこサッカー 「エージェント・ゾーハン」



再会の街で」 ではシリアスな役者っぷりを見せたアダム・サンドラーが 「ボラット」 張りのおバカコメディ投入! 残念ながらDVDスルーになってしまったが、 日本でブレイクしないサンドラーが雪辱をはらすかもと思われる勢いの隠れオモロー!

イスラエルの対テロ兵士?だったゾーハンの夢は、 アメリカで美容師?になること。 。 しかし手にしたスタイルブックは80年代のもの・・ ズレたオシャレさと特殊技能の数々で人々の心を解放し、 本当の敵が誰であるかを暴いていく。 暴走気味のギャグのわりに丁寧なフォローで、 置いて行かれることなく確実に笑いを取ってくるところはさすが。

下ネタもかなり炸裂するので、 日本では稀少なサンドラーファンの方にも新たな覚悟が必要になるかもしれない^ ^ しかし下品になりきれないところがサンドラーの人柄か。 サンドラーなんてどうでもいいやと言う方にも、 スラムで美容室を営むエマニュエル・シュリーキーのキュートな微笑み&ナイスバディが過不足ないリフレッシュ効果と心の和平協定を約束してくれる。 マライア・キャリーの特別出演も豪華だ!

サンドラーが駆使する中東なまりの英語は、 "わたし ちゅ・こく・ちん あるよ" 的なノリか。 見出しの 'ねこサッカー' どは何か・・ それは見てのお楽しみ。 。



エージェント・ゾーハン YOU DON'T MESS WITH THE ZOHAN (2008)
アダム・サンドラー ジョン・タートゥーロ エマニュエル・シュリーキー 
マライア・キャリー 監督 デニス・デューガン したまちコメディ映画祭in台東でのみ公開
エージェント・ゾーハン [DVD][DVD]

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12.22.2008

明朝体の '完' 「市川崑物語」



映画好きを自称しながら、 市川崑を知らなかったのはモグリかな。 黒澤明だって知っているとは言えないが。 。 縁遠かった理由も、 そして意外な岩井俊二監督との接点もわかった。 「犬神家の一族」 だ。 当時の角川映画の勢いは知っているが、 その柱でもあるあのシリーズは敬遠しちゃったんだよな。 それが市川監督の集大成のような映画であり、 また岩井監督を魅了してやまない作品であることはよくわかった。 それ以前の市川監督と言えば東宝だが、 それも自分にはいちばん縁遠い映画会社である気がする。 今も昔も、 あの 'ど・メジャー' な香りが煙たいんだろう。

そんなことはさておき、 このドキュメンタリーは岩井監督がパーソナルな視点とサイレントな手法で綴った、 まさに市川崑監督へのラブレター。 作品群についてはあっさりしている気がしなくもないが、 市川崑という人については迫っていて、 女ばかりに囲まれた家系や徴兵の話、 ミッキー・マウスの話、 そして憧れの人と語り合えた時間など、 楽しく拝見できた。 字幕での見せ方もリズミカルで笑いのツボもあって、 好きなんだなというのがわかると同時に、 客観的にもわかりやすい市川崑論になっている。 エヴァンゲリオン風のタイトルも明朝体の '完' もオリジナルはここにあったんだ。

古い写真が立体的に見える不思議な凝りようも楽しい。

市川崑物語 (2006日本) ドキュメンタリー
監督 岩井俊二 
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