ローラ・ダーンというとデビッド・リンチ作品という印象になるが、 ベクトルの違うこんな作品にも出ている。
30年代の南部、 貧しい農家の娘ローズは娼婦として売られるのを免れ、 ホテルを経営する一家のメイドになる。 彼女の若さとしなやかな肢体、 あふれる愛は、 13才の息子を筆頭に周りの者たちに様々な影響を及ぼす。 幼くして両親を亡くした奥様に、 同じ境遇の者同士の親しみを感じ、 また北部の大学で学んだ教養にも敬意を抱く。 と同時に旦那様に好意を抱く。 やがて部屋に男を引っ張り込むようになったローズをある種の病気であるとする医者は、 彼女に理不尽な手術を施すよう旦那に薦める。 だがこのときにローズを守ったのは、 彼女の第二の母である奥様だった・・。
モラルとエロス、 あるいは社会と生命の対峙を微妙なニュアンスで描く佳作と言えるだろう。 特別にタイムリーなテーマはなかったが、 自分で作ったセクシーな服を着て、 出会う人みんなを振り返らせながら街を闊歩するローズがなんとも愛おしい。 奥様役のダイアン・ラッドはローラ・ダーンの実の母親。 そのことが作品に貢献しているかどうかの判断は難しいが、 プロデューサーのレニー・ハーリンもローラの当時の恋人ということで、 意外に世間の狭いハリウッドを再確認。 監督のマーサ・クーリッジも女性でありフェミニズムの流れにある映画と言えるが、 フェミニストの自分としてはここに掲げられる母性を賞賛するまでには至らずとも、 南部の男たちの偏狭なモラルあるいは支配意識には大いに違和感を覚えた。
映画は13才の少年の視点で描かれ、 ローラというひとりの女が歩んだ "ピクニックではない人生" をあくまでも美しい思い出として振り返るあたりが独特のニュアンスを生んでいるのだろう。
ランブリング・ローズ Rambling Rose (1991) 日本公開1992
監督 マーサ・クーリッジ 製作 レニー・ハーリン
ローラ・ダーン ロバート・デュバル ダイアン・ラッド
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