3.14.2013

CTに写る悪霊 「ポゼッション」



1981年にイザベル・アジャーニ主演の同名の作品があって、 かなり不気味な作品だったように記憶している。 本作はGWに日本公開されるサム・ライミ製作のホラー作品で、 実話ベースの悪魔憑きもの。 そこそこ期待したものの、 大して恐くはない。

通りかかったヤードセールで、 彫刻の施された古い木箱に魅せられる娘。 それを開けることで、 中に封印されていた悪霊を呼び覚ましてしまう。 他のエクソシズムものと少し違うのは、 それがユダヤの悪霊ということか。 娘虐待の疑いをかけられる父だが、 そんな誤解を尻目に独自の調査でいち早く真相にたどり着く。 しかし訪ねたユダヤのオーソリティにも "これは手に負えない" とサジを投げられる。

数ヶ月前に離婚した妻は、 娘を病院に連れて行きCTを撮るのだが、 胸元に黒い影ならぬ不気味な顔が浮かび上がる。 このあたり恐いのかアホらしいのか意見が分かれるところだが^ ^ 概ねツッコミどころも多く、 ラストにいたっては往年の 「エイリアン」 と同じ演出。 「エクソシスト」 に遠く及ばないのは言うまでもないが、 目新しい感覚もとくになく、 サム・ライミの名前がなければスルーしていたかもしれない。 GWには盛り上がるのだろうか。 ポスターでは娘の口から手が出ているように見えるが、 実際にはダディの・・ あ、 ネタバレ?



ポゼッション THE POSSESSION (2012) 日本公開2013.5/25 公式サイト・予告
製作 サム・ライミ 監督 オーレ・ボールネダル 
ジェフリー・ディーン・モーガン キーラ・セジウィック ナターシャ・カリス 

3.12.2013

すっぴんピエロ 「気狂いピエロの決闘」



ベネチアで銀獅子 (脚本賞) を取っているらしいのだが、 行き当たりばったりの、 ハリウッドではNGとなりそうな脚本。 手に汗は握るが、 作者が神となって作り出す勝手な成り行きに翻弄されるだけで、 見終わっても何らかのテーマが浮かび上がることはない。 原題は“悲しきトランペットのバラード"と訳せるのにインターナショナルタイトルでは珍しく変更され“最後のサーカス"。 トランペットは '要所' で出てくるが、 取って付けたようにも感じ、 インターナショナルの方が誤解がないように思える。 邦題は・・ やはりア邦題。 別に気は狂っていない。

フランスも資本参加しているわりにはスペインでのローカルヒット、 みたいな内容で、 第二次大戦~70年代が舞台となっている。 サーカスの花形ピエロだった父を失い、 やがて自分もピエロになる。 ピエロにも '笑いのピエロ' と '悲しみのピエロ' があるそうで、 悲しみを背負った息子は後者となる。 ペアを組む前者のピエロは、 舞台では子どもにも人気絶大だが、 酒が入るとファシストのようになり、 ジョークに笑わない恋人を殴る。 この恋人を巡って二人のピエロは争い、 互いの素顔をピエロの化粧のようにしてまでの血まみれの戦いを繰り広げるが、 恋人の心ははっきりせず、 サーカスの時代の終焉とともに "終わっているのはこの国さ" と叫んで終わる。

そんな内向きなメッセージだったのかと思いつつ、 それより何より、 ホラーだと勝手に思い込んでいて^ ^ 途中からアレっみたいな感じになって、 面白いのかつまらないのかイマイチよくわからないまま、 二人を手玉に取る恋人役はキレイだし、 三大映画祭週間のコピーにあるように 「むずかしく考えずに」 見ることにした。 よくわからないスパイスをパエリアにかけ、 さらにごちゃまぜにしたのような大河ドラマか。


気狂いピエロの決闘 (2010スペイン・フランス) 日本公開2012 三大映画祭週間にて
Balada triste de trompeta / The Last Circus
脚本・監督 アレックス・デ・ラ・イグレシア 
カルロス・アレセス アントニオ・デ・ラ・トレ カロリーナ・バング 

3.11.2013

異界の花 「コワすぎ!」



いわゆるオリジナルビデオと呼ばれる、 劇場公開用でない作品。 そのようなものも人知れず見ている^ ^ 主に心霊物のビデオで、 たいていは投稿と称する安っぽいヤラセ作品。 (Not Foundシリーズはその中ではマシ) だが、 このシリーズだけは違う。 突き抜けている。

FILE-01 口裂け女捕獲作戦、 FILE-03 人喰い河童伝説と切り口も新鮮? で今回はトイレの花子さんで来たかと思いきや、 別世界に飛ばされる異様さ、 手に汗握るあわただしさ^ ^ ツボを押さえた展開と意外性。 そして最後はなぜか異界から花びらが届く。 これが意味深なんだな。 シリーズの最後には謎を解き明かしてくれるのだろうか。

最近のホラー映画では、 低予算のPOVをたくさん見かけるが、 けっこう好きで^ ^ 飽きずに見てしまう。 この作品はさらに低予算だろうが、 日本でいち早くそっち系をやっていた白石監督ならではの迫力がある。 とくに今回は完成度も高い? いやあ、 なんかヘンに感慨深かったな。 。

戦慄怪奇ファイル コワすぎ!
FILE-04 真相!トイレの花子さん (2013) オリジナルビデオ
監督 白石晃士 
大迫茂生 

3.09.2013

どしゃぶりのオフィス WRONG



IMDbでは誰かが "モンティ・パイソン x ミシェル・ゴンドリー" と上手いこと言っていた。 別の誰かは "死ぬほど退屈" とも。 自分的には、 まあオモロー。 ヘンテコなストーリーやディテールはまあ好きだが、 意外に演技に比重を置いていて、 どのキャラも印象に残る。 役者にはやりがいのある仕事だったのではないか。

ストーリーとしては、 犬がいなくなって探す。 それだけなのだが、 その間にあるヘンテコなシーンの数々を挙げてみると、 外は晴れているのにオフィスの中はどしゃぶり。 しかも自分は3ヶ月前に解雇されている。 庭のヤシの木が、 ある日モミの木に変わっている。 失われてはじめて愛を取り戻すと説き、 犬や猫を誘拐して回るマスター・チャンという名の動物愛好家。 まったく違う二人が 'うり二つ' とされている設定。 犬の糞が見た無意識記憶を映像化する探偵。 毎朝ジョギングする隣人が、 ジョギングなんかしていない、 走るのは嫌いなんだ、 信じてくれとの言葉を残して世界の果てへ旅立つ。 ピザ屋の受付嬢?が押し掛け女房になる・・ などなど。

ある種の不条理日記ではあるが、 監督がまさか吾妻ひでおを読んでいたとも思えず。 。 ツッコミどころ満載のようでいて、 笑いかけて顔がこわばる感じの独特のテイストがクセになるとも言える。 次回作があれば見てしまうだろうし、 前作 「ラバー」 というのも未見だったようで、 近々ぜひ見たいと思う^ ^




“え?”または“ちげえよ”(仮題) WRONG (2012) 日本公開未定
脚本・監督 カンタン・デュピュー 
ジャック・プロトニック エリック・ジュドール アレクシス・ジーナ 
スティーブ・リトル アーデン・マーリン ウィリアム・フィクトナー 

3.05.2013

バカ息子の遺書 “WORLD'S GREATEST DAD”



日本未公開で原題もかなりベタだし、 邦題にいたっては (レンタルのみ?の) DVDとWOWOWで放送されたときのタイトルが違うらしい。 不遇な映画なのだが、 その (おいおいという感じながら) オリジナリティあふれるストーリーといい、 一転してのシリアスな展開といい、 なかなか示唆に富んでいて悪くなかった。 このオリジナル脚本を書いた監督の写真を見たら、 ああ出てたよ、 このオッサン、 という感じでヒッチコックな趣味もあるらしい。

作家志望だがこの歳になっても一編の出版も叶わず、 それでも原稿を送り続ける父。 文才がないのではなく、 受けが悪いのだろう。 いちおう高校教師に落ち着いていて、 同じ学校に生徒として通う息子がいる。 母は死んだんだったかな、 昨日見たとこなのに忘れちゃったが^ ^ ようするに二人暮らし。 サエない父ではあるが、 同じ学校の一回り年下の美人教師が恋人ではある。

息子は息子で、 私立なのかエンジ色のダサい制服で通学するも成績は最低、 ゲームかエロにしか興味がなく、 そのくせストレートな発言、 小生意気な態度は他ならぬ父からも疎まれていた。 類は類を呼ぶ友だちが一人いるが、 あとは学校でも概ね阻害された存在だった。

そんなバカ息子が新しいPCを買ってもらった矢先、 危険な自慰行為の果てにあっさり死んでしまう。 首にネクタイを巻いた窒息オナニーのまっ最中のことだった。 息子のバカな死にざまを目の当たりにする父。 こんな死に方では冗談にもならないと考えた父は、 自慢の文才でしたためた遺書を息子のシャツのポケットにしのばせ、 息子の息子をズボンにしまい、 死体をクローゼットに吊り直して自殺を偽装する。

事件はすぐに学校に知れ渡り、 さらには遺書が新聞に掲載されるや否や、 これが父の初めての自作発表の場であるのだが、 その文章は人々の心をとらえ、 バカ息子の死が美化されてゆく。 バカ息子とは言え、 いなくなってみれば寂しい。 それを紛らすように生前の日記をねつ造。 これがまた評判を呼んで、 父はテレビ出演を果たし、 さらには自身の作品出版の話まで舞い込む。 おかしいと感じたのは、 例のバカ友一人だけ。

そんなつもりはなかったに違いないが、 父は息子の死を利用している。 誰もが子どもに夢を託すものであるとしても、 死んで親孝行する息子はあまりに痛ましい。 父の中で何かが壊れる。 退学寸前であった息子の名前を冠した図書館までができ、 その祝典のスピーチの壇上、 父は真実を暴露する。

続きはレンタル屋でぜひ。 ところで本人として登場する歌手ブルース・ホーンズビーって誰?




WORLD'S GREATEST DAD (2009) 日本未公開
ディア・ダディ 嘘つき父さんの秘密 (WOWOW) /ビッグショットダディ (DVD)
脚本・監督 ボブキャット・ゴールドスウェイト 
ロビン・ウィリアムズ アレクシー・ギルモア ダリル・サバラ 
エヴァン・マーティン ブルース・ホーンズビー 

3.04.2013

くさい歌 「マーサ、あるいはマーシー・メイ」



身を置いていたカルト集団から逃げたマーサ、 あるいはマーシー・メイ、 あるいはマレーネは2年間 音信不通であった姉に電話する・・。

たくさんの賞も取っている話題作だが、 鑑賞後はなぜかピーター・フォンダ主演の大昔のコレを思い出した。 大した映画でもなかった気がするのに、 そうした集団の不気味さということで連想されたのだろう。 もちろん本作では黒ミサは出てこないし、 どちらかというと仏教系の思想のようではあったが。

では何が不気味なのだろう。 上手いこと言いくるめるようなところか、 共有の名のもとの夜這いか、 殺人か、 妙に気に入られて期待をかけられるところか。

姉はマーサを迎え入れる。 夫と二人きりで夏を過ごすはずだった別荘に同居させてくれる。 しかしマーサは集団でのクセが抜けずに裸で泳いだり、 眠れないからと夫婦の寝室を開けたりしてしまう。 ダンナは夜這いには来なかったが、 マーサは彼に無意識の思想的侮蔑を投げかけてしまい、 また姉のおせっかいには集団と同じものを感じ、 けっきょくは上手いこと言いくるめられて、 どこかへ移されようとするその朝、 追っ手の姿を目にする。

というところで終わりなのだが、 集団での生活と別荘での日々が交互に編集され、 どちらにも居場所がないまま進むのか、 どちらかを選択するのか、 あるいはどちらからも抹消されてしまうのか。 悪くはないものの、 新たな認識に至るほどの深みもなく、 もし仮にマーサがどこか外国で長く暮らしていたのならカルチャーギャップで済むところが、 そうならないのは違う常識を持つ者への偏見とも言える。

すごくニュートラルな心になって、 好意的に集団を見てみる。 それでもギターを抱えて "きのう書いた曲だ" と教祖が歌いだす歌に白々しさを覚えるのだけは避けがたく、 この感覚がある限り自分はさまざまなマインドコントロールから逃れ続けるだろう。 そうしたアイデンティティのリトマス試験紙として見てみるのもいいのではないだろうか。



マーサ、 あるいはマーシー・メイ (2011) 日本公開2/23~ 公式サイト・予告
Marth Marcy May Marlene  象のロケット
脚本・監督 ショーン・ダーキン 
エリザベス・オルセン サラ・ポールソン ジョン・ホークス