3.05.2013

バカ息子の遺書 “WORLD'S GREATEST DAD”



日本未公開で原題もかなりベタだし、 邦題にいたっては (レンタルのみ?の) DVDとWOWOWで放送されたときのタイトルが違うらしい。 不遇な映画なのだが、 その (おいおいという感じながら) オリジナリティあふれるストーリーといい、 一転してのシリアスな展開といい、 なかなか示唆に富んでいて悪くなかった。 このオリジナル脚本を書いた監督の写真を見たら、 ああ出てたよ、 このオッサン、 という感じでヒッチコックな趣味もあるらしい。

作家志望だがこの歳になっても一編の出版も叶わず、 それでも原稿を送り続ける父。 文才がないのではなく、 受けが悪いのだろう。 いちおう高校教師に落ち着いていて、 同じ学校に生徒として通う息子がいる。 母は死んだんだったかな、 昨日見たとこなのに忘れちゃったが^ ^ ようするに二人暮らし。 サエない父ではあるが、 同じ学校の一回り年下の美人教師が恋人ではある。

息子は息子で、 私立なのかエンジ色のダサい制服で通学するも成績は最低、 ゲームかエロにしか興味がなく、 そのくせストレートな発言、 小生意気な態度は他ならぬ父からも疎まれていた。 類は類を呼ぶ友だちが一人いるが、 あとは学校でも概ね阻害された存在だった。

そんなバカ息子が新しいPCを買ってもらった矢先、 危険な自慰行為の果てにあっさり死んでしまう。 首にネクタイを巻いた窒息オナニーのまっ最中のことだった。 息子のバカな死にざまを目の当たりにする父。 こんな死に方では冗談にもならないと考えた父は、 自慢の文才でしたためた遺書を息子のシャツのポケットにしのばせ、 息子の息子をズボンにしまい、 死体をクローゼットに吊り直して自殺を偽装する。

事件はすぐに学校に知れ渡り、 さらには遺書が新聞に掲載されるや否や、 これが父の初めての自作発表の場であるのだが、 その文章は人々の心をとらえ、 バカ息子の死が美化されてゆく。 バカ息子とは言え、 いなくなってみれば寂しい。 それを紛らすように生前の日記をねつ造。 これがまた評判を呼んで、 父はテレビ出演を果たし、 さらには自身の作品出版の話まで舞い込む。 おかしいと感じたのは、 例のバカ友一人だけ。

そんなつもりはなかったに違いないが、 父は息子の死を利用している。 誰もが子どもに夢を託すものであるとしても、 死んで親孝行する息子はあまりに痛ましい。 父の中で何かが壊れる。 退学寸前であった息子の名前を冠した図書館までができ、 その祝典のスピーチの壇上、 父は真実を暴露する。

続きはレンタル屋でぜひ。 ところで本人として登場する歌手ブルース・ホーンズビーって誰?




WORLD'S GREATEST DAD (2009) 日本未公開
ディア・ダディ 嘘つき父さんの秘密 (WOWOW) /ビッグショットダディ (DVD)
脚本・監督 ボブキャット・ゴールドスウェイト 
ロビン・ウィリアムズ アレクシー・ギルモア ダリル・サバラ 
エヴァン・マーティン ブルース・ホーンズビー 

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