10.04.2012

最後に望むのは天国か 「チャーリー・バレンタイン」



チャーリー・バレンタインで検索するとスヌーピーが出てくる。 チャーリー・ブラウン? ・・とにかく、 この赤い薔薇が似合いそうな名前の男はギャングで、 高齢にもかかわらずダンディズムを漂わせる風貌。 高望みをしないせいか、 この歳でも女にモテる。 チャーリーの経歴は裏稼業にも関わらずキレイで、 ヤバくなったら逃げろ、 が信条。 ボスタイプではなく、 ナンバー2のほうがラクでいいや的な男。 レッドやブロンディと女を髪の色で呼ぶのもダンディズムか。

のっけから日本語の曲が流れる。 調べると Pink Martini feat. Saori Yuki の "Taya Tan" とかいう曲だそうで、 ラテン風味のノスタルジー。 チャーリーは最後の仕事に、 ボスへの裏切りを画策する。 だがクールなのか間抜けなのか、 よくわからないノリで仕事は失敗に終わり、 追われる立場となる。 ダンディなのかバカなのか、 ボスのガレージからビンテージ・カー コブラを盗んで、 すたこら逃げる。

組織は地の果てまで追ってくるが、 チャーリーが身を隠したのは息子の所。 ダンディな独身貴族のはずが、 一人息子がいた。 しかしこれまで、 子育てどころかあまり交流がなかったらしく、 息子は父の突然の来訪に舞い上がってしまう。 "恨んでなんかない、 俺に父さんの技を教えてくれ" そう言う息子に、 父チャーリーはスーツの着こなしやら立ち振る舞い、 すなわちダンディ指導を施す。 そして結局はヤバい仕事に巻き込んだあげく、 始末されかかった息子を置き去りに すたこら・・

これで終わったら、 さすがに どうしようもないズッコケ映画だが、 チャーリーは自分でも理由がわからないまま引き返す。 そしてダンディズム漂う銃さばきを披露して息子を救おうとする。 このあたりはちょっとシビれる。 どうしようもない父に、 どうしようもない息子、 二人は最後に血だらけで笑う。

まあ大した映画じゃないが、 こういう映画ほどずっと覚えてたりする。 よかったら見てやってくれ^ ^ ・・という感じで本日はダンディに終わろう。



THE HITMAN チャーリー・バレンタイン CHARLIE VALENTINE (2009) 日本未公開
監督 ジェシー・V・ジョンソン 
レイモンド・J・バリー マイケル・ウェザリー トム・ベレンジャー 

10.02.2012

健在すぎる^ ^ 「KOTOKO」



塚本監督、 健在なり。 のびのびとやってるし、 強烈だし、 ベネチアでは喝采だし、 エピソードもいいし、 こんな話なのに透明感まであったりして凄いなと思う。 でも・・ 何だろう、 何か物足りない。 。

そんな監督、 そんな作品として、 きれいにパッケージングされて飾られてる、 祭られてる。 そんな感じ。 どう考えても悪くないし、 いいんだけど、 またしても気になっていた かけ出しのバンドが、 メジャーになるにつれ覚える疎外感みたいなものがつきまとう。

完成度も高い。 自分の世界をよくここまで切り拓いてきたなと感慨深いのに、 素直に喜べない自分が、 まあバカなんだろうけど、 いる。 しいて言えば、 意外性がなかったと言うのか。 どんなパンチも目の前で寸止めされていると言うか。 でもCoccoの顔は、 そのへんのホラーより恐い^ ^


KOTOKO (2012日本) 公式サイト
製作・脚本・監督・出演 塚本晋也 
Cocco 

傷口から吹き出すもの 「マシンガン・プリーチャー」



ワルだったオヤジが、 ある日 心を入れ替えて教会へ通うようになる。 真面目に働くようになっただけでなく、 突如アフリカの子供たちを救いたいと願い、 自分の子もそっちのけで内戦に乱入してゆくマシンガン宣教師と呼ばれた男の話で、 実話。

話自体は凄いと思うし、 マーク・フォースター監督というポジショニングもよくわかるが、 このサム・チルダーズという男の過剰なメンタリティはわからずじまい。 しいて言えば、 これまで虐げられてきた自分の可能性がいっきに吹き出したという感じで、 わからなくもないが作品からは伝わらない。

猪突猛進型で不器用な男なのだろう、 しかし突っ走りすぎて誰もついていけなくなる一歩手前で、 平静を取り戻す。 このあたりの、 弟を探し続ける少年とのやり取りや、 エンドロールで本人が発するメッセージがいい。 "子供や妻や兄弟が誘拐され拷問されているのを救い出そうとするとき、 誰が手段を問う?"

マーク・フォースター監督でさえも料理しきれなかった題材と言えるだろう。


マシンガン・プリーチャー Machine Gun Preacher (2011) 日本公開2012.2
監督 マーク・フォースター  公式サイト 象のロケット 
ジェラルド・バトラー ミシェル・モナハン マイケル・シャノン 
マデリン・キャロル 

予算を絶やさず想像を絶してほしい 「スペースシャトル2025」



先月はエントリー作品2本と過去最低になってしまった。 偏りはあるものの見てなくもないのだが、 嬉しがって何か書くまでのテンションに満たないと言うか、 消化試合が続いている。 ようやく時間ができたので まとめて3本エントリーしておくが、 どれも実は力作揃いで、 消化試合などの表現は不適切、 勝手にこちらのテンションが下がっているだけと考えるのが妥当だろう。

本作は低予算ながら面白いと聞いたので見た。 本格的なSFが見たいところだったので期待したが、 宇宙ステーション内での雰囲気が楽しめるのは最初の数分、 フラッシュかパルサーのような光を浴びてからは地上でのシーンとなる。

そこは地球のような、 他の星のような、 とにかく殺風景な場所で、 そこへ転送された者は自らの幻影の中で次々と死んでいく。 過去の心の傷が現実に作用するらしい。 しかし そうこうするうちに、 この飛行の本来の目的や経緯がしだいに明らかになり、 博士はどうやらロボットらしく、 しかも感情をプログラムされたロボットのようで・・ さらに博士だけでなく・・ と 「惑星ソラリス」 や 「エイリアン」 を混ぜたところはあるものの、 面白くなくはない。 なのに、 はあ、 そうですかーという感想で終わってしまう^ ^

何が足りないのだろう。 ようするに驚きがないのだ。 やはりSFは、 もっともっと想像を絶してほしいということか。



スペースシャトル2025 Atlantis Down (2010) 日本未公開
監督 マックス・バルトーリ 
マイケル・ルーカー グレッグ・トラヴィス 

9.24.2012

ファッション・サイファイ LOVE



ANGELS AND AIRWAVES というバンドがプロデュースする作品とのこと。 壮大な叙事詩、 みたいなのを期待したが、 低予算のスタイリッシュな 'scifiもどき' と言ったところ。 当然ながら音楽は効いている。

唐突にアメリカ独立戦争で始まるので、 あれ、 間違ったかなと思うが、 しばらくして宇宙ステーションの場面に変わり、 あとで無理矢理につなげてくる^ ^

宇宙ステーションで孤独な任務についているリー・ミラー、 突如の無線の不調により、 音信が絶たれる。 たとえ無線であっても、 関係性を断たれた人間は現実感を失うとの指摘ののち、 ミラーは自らが生み出す幻影の中に墜ちていく。 そして いつしか歳月は流れ・・

監督は撮影監督が本職らしく、 各カットは絵的だが、 全体の印象はやはり拡大版のプロモーションビデオから抜け出せず、 最後も無理矢理 LOVEに落としてくる^ ^ 見終わると、 もっと本格的なSFが見たくなる。




地球、最後の男 LOVE: ANGELS AND AIRWAVES (2011) 日本公開2013.1月 
脚本・監督 ウィリアム・ユーバンク 
ガナー・ライト 

9.18.2012

中洲なら まかせて 「僕達急行 A列車で行こう」



今月半ばが過ぎてからの初エントリーは、 森田監督の遺作。 遺作なのに、 さらっとDVDで見たりして、 遺作にもかかわらず、 大して面白くないじゃないか、 監督^ ^

そんな予感はしてたが、 鉄道オタクの話がひさびさのオリジナル脚本で、 しかも遺作だなんて、 監督らしいと言えば監督らしい。 しかし、 もっともっとと期待する客が期待はずれを生んでいるのも確かだろう。 詳しく知らず、 ふと どこかで出逢ったなら意外に印象的な作品なのかもしれない。

オタク、 中小企業、 地方と今風の切り口を取り入れ、 掃除ロボット ルンバも出てくるが、 キャバレーやバブル風の社員像も色濃く残っている。 また かつては "粘着力のない人間関係" を描いたとして時代の寵児となった監督が、 本作では '縁' を大切にしなくちゃ、 というメッセージを発している。 誰しも いろんな縁があって今の自分があるのだし、 監督が最後に残したメッセージとして やはり尊重すべき部分とも言えるだろう。

列車にちなんだ人物名など 楽しんで作ったフシはあるが、 友情とか親子関係、 その他の人間関係の描き方が微妙に気持ち悪い^ ^ ベタベタしすぎ。 そのくせ、 どこか うら寂しく、 面白くなくはないのに、 それほど書くことがないというのも感慨深い。 遺作に批評もないだろうが、 こんな風に書いちゃって、 化けて出ないでね、 監督^ ^

エントリータイトルは接待に際しての社員のセリフより。


僕達急行 A列車で行こう (2012日本) 公式サイト 象のロケット
監督 森田芳光 
松山ケンイチ 瑛太 貫地谷しほり 村川絵梨 松平千里 
ピエール瀧 笹野高史 伊藤克信 伊武雅刀 松坂慶子 伊東ゆかり