4.06.2009

ギターの響く街で 「それでも恋するバルセロナ」



公開が遅すぎるんじゃないかな。 これを見てバルセロナへ行きたくなったとしても、 6月の終わりからじゃ、 慌ただしい夏の計画になってしまう。 まあ俺が心配することじゃないが。

それにしてもウディさん、 70才を越えても精力的に新作を送り出してくる。 まさかスペインで、 美女に囲まれて楽しい時間を過ごしたかったからというだけで書いた脚本じゃないだろうな^ ^ アカデミー助演女優賞の冠どおり、ペネロペ・クルスの存在感は素晴らしい。 それまでいい感じで進行していたヴィッキーとクリスティーナの描写だが、 クルスが登場した瞬間に二人はかすんでしまう。 女性、 あるいは人間の中に潜むアンビバレンツと上手く付き合うことが人生を楽しむこと・・ それはアレンの人生の、 ほぼ結論なのかもしれない。

NYにフィアンセのいるヴィッキーは堅実派、 何かを探し求めるクリスティーナは奔放なタイプ、 二人はバカンスをバルセロナで過ごす。 画家との出会い、 その元妻も芸術家であり、 彼らの関係は物質文明に犯されたアメリカ人には理解しがたいものがあったが、 彼らとの時間の中で何かが変わったのか、 それとも変わらないままなのか。 。

一見、 堅物なヴィッキーがスパニッシュギターに魅了され、 聴き惚れるシーンに、 この映画の核のようなものを感じるが、 見終わった後の気分は意外にあっさりしている。 時間も1時間36分と短めで、 夏を迎える季節の胸騒ぎを抑えるにはいいかもしれない。


それでも恋するバルセロナ VICKY CRISTINA BARCELONA (2008スペイン・アメリカ)
6/27 公開予定 公式サイト&トレーラー 
脚本・監督 ウディ・アレン 
レベッカ・ホール ペネロペ・クルス *アカデミー助演女優賞 
スカーレット・ヨハンソン ハビエル・バルデム 
それでも恋するバルセロナ [DVD][DVD]

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戦友 「ローリング・サンダー」



こんどのカンヌでは、 タランティーノの戦争物がお披露目になるそうだが、 その予習の意味でも、 彼が版権を持っているとまで噂され、 それゆえに いまだDVD化されないこの作品を、 VHSの寂れた映像で今一度見てみた。

70年代・・ 切ない時代だ。 ヌーベルバーグもニューシネマも終わり、 すべてが後の祭りであるかのような。 ベトナムから帰った二人の兵士を故郷の街は名誉で迎えるが、 二人は浮かない顔。 それもそのはず、 彼らはずっと敵の捕虜となっていたのだ。 チャールズの妻は、 夫は死んだものと思って別の男と結婚直前。 小学生になる息子は、 1歳半のとき以来なので父の記憶はなく、 キャッチボールの相手をするのはもっぱら母の恋人。 それでも息子を思う父であったが、 ある日、 恩給目当ての強盗が愛する二人をいとも簡単に奪ってしまう。 敵の拷問にも無傷だった男は、 自国の人間によって右手をディスポーザーで砕かれてしまう。

「タクシードライバー」 は大好きな作品だが、 同じシュレイダー脚本でありながら、 こちらは地味な演出。 フック船長のような手になった男が無気力に過ごす日々が虚しく長く描かれ、 復讐劇はラスト30分に集約される。 チャールズは戦友ジョニーを訪ねる。 奴らは売春宿に、 その一言で友は銃を手に同行する。

二人は軍服を着て、 帰還祝いにもらった赤いキャデラックのコンバーチブルで乗りつける。 奇しくも日本車がアメリカで売れ出した時代、 それは最後のアメリカ車と言われた。 二人は電気を帯びた雲のごとく雷鳴を轟かせ、 自分たちだけの戦争をやり直すかのように稲光を放つ。


ローリング・サンダー ROLLING THUNDER (1977) 日本公開1978 
監督 ジョン・フリン 脚本 ポール・シュレイダー 
ウィリアム・ディヴェイン トミー・リー・ジョーンズ 

4.04.2009

守れるか・・ 「宮廷画家ゴヤは見た」



重苦しそうな映画を想像していたが、 全く違って面白かった。 18世紀末のスペイン、 カトリック教会による異端審問、 隣国フランスでの革命・・ 激動の時代に翻弄される人々の機微。 画家ゴヤの役割は傍観者なのだが、 まさに、 家政婦は見た、 ならぬ、 ゴヤは見た、 なのだ^ ^

天使の絵のモデルとなりながらも、 豚肉が嫌いというだけの理由で異端審問にかけられるイネス。 権力志向の神父ロレンゾの浮き沈み、 民衆解放の大義の下に侵攻するナポレオン、 最後にやってくる英国軍。 歴史とは力の歴史であることをまざまざと見せつけられ、 過ぎ去った時代と笑うもよし、 この延長線上に現代があると嘆くもよし。

時代の渦の中で、 力の論理の中で、 自分は何かを守れるのだろうか、 あるいは為す術もないのだろうか。  ゴヤの絵と解説


宮廷画家ゴヤは見た GOYA'S GHOSTS (2006アメリカ・スペイン) 日本公開2008 
監督 ミロス・フォアマン  公式サイト&トレーラー 
ステラン・スカルスガルド ナタリー・ポートマン ハビエル・バルデム 
宮廷画家ゴヤは見た[DVD]

 ブーリン家の姉妹 コレクターズ・エディション [DVD] ワールド・オブ・ライズ 特別版 [DVD] マンデラの名もなき看守 [DVD] ブラインドネス スペシャル・エディション(初回限定生産2枚組) [DVD] かけひきは、恋のはじまり [DVD]

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4.03.2009

散弾銃 首チョンパ 「ホテルゾンビ」



カントリー歌手がギター片手に物語を案内、 場面転換にはイラストを使うなど、 一味違ったものを狙っては いる。 ドタバタから細かいギャグまであれこれ取り入れて、 ユルい展開ながらも頑張っては いる。 スプラッター度も高く、 散弾銃による顔面ドーナツ状態や首チョンパのオンパレード。 アメリカのホラー雑誌が年間ベストに選んだりもしているようだが ・・何かが足りない。

ゾンビのダンスとか思いっきり古くさいものを出してきても、 おまえはマイケル・ジャクソンか、 とツッコむ気にもなれず、 散弾銃の弾丸だけがあるところに鉄パイプを使って即席ライフルを仕立てたりもするが、 意気込みだけで的外れ、 そんな感じ。 "キル・ビル" のデビッド・キャラダインがちらっと出演するが、 すぐに死んでしまう。 「ショーン・オブ・ザ・デッド」 をめざしたが力量が足りなかった、 というところか。


ホテルゾンビ Dead & Breakfast (2004) 日本未公開 
監督 マシュー・ルートワイラー 
エヴァー・キャラダイン ブレント・デビッド・フレイザー デビッド・キャラダイン
ホテルゾンビ [DVD][DVD]

ダイアリー・オブ・ザ・デッド プレミアム・エディション [DVD] ゾンビ・ストリッパーズ -コレクターズ・エディション- 無修正版 片腕マシンガール [DVD] 東京残酷警察 初回限定“GORE EDITION” [DVD] ハロウィン アンレイテッド・コレクターズ・エディション [DVD]

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4.02.2009

壊れた蒲田行進曲 「平凡ポンチ」



これこそ映画だ! 素晴らしすぎて何も書けない^ ^

って書くと冗談だと思われてしまうだろう。 タイトルからして誤解されやすいし、 エッチものだと大半の人が思うはず。 確かに巨乳、 制服、 ブルマ、 メイド、 ナースは出てくるが一般公開作品だし、 誤解の向こう側に理解があるとしても、 いまの映画の客層には正直むずかしいかもね。 文芸作品でもないし、 大上段から 'わかんねえだろうな' という映画でもないのだが、 誤解を承知で言うなら、 壊れた 「蒲田行進曲」。 自分がアカデミー審査員ならアレより、 こっちを推したいくらい最先端な邦画だ^ ^

名前で誤解されてるかもしれないので書いておくと、 原作者のジョージ朝倉氏は女性なのだ。 「恋文日和」 も映画化されていて、 これもよかった。 原作がいいと超越してしまうのか、 忠実に描くだなんだは、 どうでもよくなってしまう。 気に入ったら勝手に映画化でも何でもすれば・・ そんな感じがする。

「東京ゾンビ」 が記憶に新しい佐藤佐吉監督は、 昔 賞は取ったが商業映画では売れず、 行き場のない自主映画監督という役を自ら演じている。 対する秋山莉奈は、 女優になるという夢を叶えるためには巨乳にならなければならないと妄執する、 ヘンカワガール。 いい役が来たね^ ^ 「仮面ライダーアギト」 の頃から応援してたよ。

ATGの話がちらっと出てくるあたりは往年の映画人には涙ものだが、 この映画の感想は検索してもあまり出て来ない。 誰も見てないんだろうか。 間違ってでもいいから見てほしいと思うのだが、 ラスト間際のセリフを引用して終わることにする。

 逃避行ものって 最後は普通どうなるんですか カントク 
  国境をめざすだろうね アメリカならメキシコとか 
 日本の国境って どこなんですか・・


平凡ポンチ (2008日本) 公式サイト&予告編 
監督・出演 佐藤佐吉 原作 ジョージ朝倉 
秋山莉奈 森下悠里 小西遼生 柄本佑 哀川翔 

4.01.2009

生きる道・・ 「ヘンリー・プールはここにいる」



イギリス王室御用達のヘンリー・プール、 背広の代名詞のようなこのテイラーと同姓同名の主人公は、 一証券マンだったが余命を宣告され、 この地に流れてくる。 カリフォルニアの平凡な街、 そこで家を買うシーンから始まるが、 値段は32万5千ドル。 広い庭付き一戸建てが3千万円くらいだろうか。 建物自体は平屋の寂れた木造で "壁は傷んでいるし もっと値切れるわよ" と不動産屋の女は言うが、 言い値でいいよ、 そのほうが君も仲介料が取れるだろ。 プールは投げやりにそう答える。

サンダンス出品作らしいが、 なかなかいい雰囲気の始まり方。 音楽の使い方なんかも独断に満ちていていい。 プールはスーパーで酒を大量に買い込んでは飲んだくれる毎日。 ある日、 隣人が裏庭に忍び込んで何かをしている。 家の壁にキリストの絵が浮かび上がっていると言うのだが、 プールにはシミにしか見えない。 またもう一方の隣の6才の少女は口がきけないのだが、 この壁に触ると口から 'ママ' という言葉が・・ そのことで少女の母親とプールの間に交流が生まれる。 娘は父親が出て行ってから口をきかなくなったと言う。

この地に流れ着いたかのよう雰囲気に反して、 実はプールはこの街出身であった。 昔住んでた家を訪ねるシーンがある。 家は空き家のままで、 自分が子供だった頃の写真を発見する。 彼はそれを持ち帰り、 壁に貼って ヘンリー・プールはここに 'いた' と書く。

いつも酒を買うスーパーのレジの女の子は目が悪かったが、 壁に触るとビン底の眼鏡が不要になる。 この奇跡騒動でプールの裏庭には行列ができる。 "あなたは壁に触ったの?" そう聞かれてプールは憤りを覚えるが、 やがて・・



ヘンリー・プールを演じるのは 'おとぼけ版トム・クルーズ' ことルーク・ウィルソンだが、 なぜかけっこう好きなんだよな。 二人が微妙に似ていると感じる人が他にもいないか検索してみたが、 英語圏で1件だけ。 "ルーク・ウィルソンとトム・クルーズは親戚関係?" "いやルークは人間だから それはあり得ないね" ・・

ジャンルは 'コメディ' ということになっているが、 あまり笑えず、 キリスト像から血や涙が流れた的ネタは懐かしいが、 思いつきの域を出ていない部分も多々。 にもかかわらず、 応援したくなる。 このへんのジャンルの映画にはもっと観客がいてもいいと思うのだが、 残念ながら未公開。 映画を志す人は、 アクション映画じゃなきゃ食っていけないんだよ、 と嘆く前に、 こういった作品にあと何が足りないのかを、 あるいは逆に何を持ち続けなければいけないのかを考えれば、 アカデミーやカンヌ、 あるいはアクションだけではない映画の楽しみ方を知る人が増えてくるのではないか。

少年サンデー、 マガジンが50周年ということだが、 マンガはそういう視点を持ち続けてきたように思う。 この映画はどこかマンガのようで、 しかもまだサブカルチャーだった頃のマンガのような、 微妙な味わい方のできる作品ではないかと。 「サイドウェイ」 が日本でリメイクされるらしいが、 見たくないな。 それより微妙な味わいのオリジナル、 レベルの高いインディペンデントの生きる道が開けてほしいものだ。


ヘンリー・プールはここにいる 〜壁の神様〜 (2008) 日本未公開 
Henry Poole is Here 監督 マーク・ペリントン 
ルーク・ウィルソン ラダ・ミッチェル レイチェル・シーファース 
ヘンリー・プールはここにいる 〜壁の神様〜[DVD]

ゴッド・アーミー/悪の天使 日本公開版&全米公開版 P.S.アイラヴユー プレミアム・エディション [DVD] 幸せの1ページ [DVD] イントゥ・ザ・ワイルド スモーキング・ハイ

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