1.16.2010

誰かになるんだ 「ハゲタカ」



NHKの '劇場版ビジネス' ではあるが、 原作も2年前のテレビシリーズも知らないので手短かに見てみた。 これが、 けっこう面白い。 ITバブルやヘッジファンド、 TOB、 中国資本、 サブプライムローンからリーマンショック、 日本の基幹産業の低迷から派遣問題まで、 きれいに現実をトレースしながらエンタテイメントへ昇華していると言える。 映画化されDVDになった現時点から見れば少し後追いな気がするが、 2年前にテレビを観ていた人には さぞ面白かったことだろう。

大森南朋も自分的に大した理由なく気に入る人の一人なのだが、 これは出世作になるんだろうな。 できれば似たような役ばかりにならないでほしいが。

彼に限らずキャストはみなハマっている。 演出もラストの朗々と歌い上げる曲が流れるところ以外は、 派手さはないが概ね悪くなく、 まあ それ以上でも以下でもないが、 感心したのはアカマ自動車からブルーウォールパートナーズ、 鷲津ファンドまで、 架空の企業のロゴマークをきちっと作ってあるところだ。 スポンサードでないNHKなのに^ ^

難点を挙げるなら、 これだけの経済戦争的な問題に日本政府が関わってこないこと。 意図的に外しているのだろうか。 また、 松田龍平演じる かつてのIT企業CEOが鷲津に呼び戻されるが、 いまは旅館のオヤジとなっている男にドラマチックに協力を依頼したわりに、 演じる役割が軽すぎる。

しかしながら "金がない悲劇と金がある悲劇" や "私はあなただ" "彼はあなただ" などの名言も多数含まれ、 "資本主義の焼け野原" のこれからへの示唆は多くはないが、 先日Googleが発表した中国の問題、 このあたりはディープだなと思う。 "誰かになるんだ" と叫んだリュウ・イーファ、 頑張って誰かにはなれても、 自分自身になれる日はいつか来るのだろうか。


ハゲタカ (2009日本) 公式サイト 
原作 真山仁 監督 大友啓史 
大森南朋 玉山鉄二 栗山千明 高良健吾 松田龍平 
中尾彬 志賀廣太郎 嶋田久作 遠藤憲一 柴田恭兵 

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