1.07.2014

この世界と私の場所 “How I Live Now”



冒頭でそんな曲が流れたように思うし、 タイトルバックもワイルドでそれっぽかったから、 70年代っぽさが狙いの映画なのかと勝手に思った。 が、 そういうわけでもなかった。 原作は近未来を描くSF。 しかも場合によっては明日にでも起きそうな近未来。 第三次世界大戦らしい。 。

アメリカからイギリスのいとこの家に遊びに来たデイジー。 遊びなのか疎開なのかは実のところわからず。 しかし疎開の意図は外れ、 ニュースによるとロンドンに核爆弾が落とされたとか。 片田舎のこの地にまで爆風は届き、 核の雪が降る。 それでもこの のどかな風景の中にいる限り、 それは遠い世界の出来事のようで、 いとこ同士は恋に落ちる。 ほどなく戦火は拡大。 兵士がやってきて避難の名のもと、 いとこや兄弟を引き裂いて別々の地にやってしまう。 別れ際“ここに戻ってくるんだ”との約束を残して。

これまでは先進国の十代として進路のことやダイエットに責め立てられていたデイジーだが、 この出来事を通して幸か不幸か平和ボケから目覚めることとなる。 しかしその代償は大きかった。 たった数日の間に世界は破壊され、 多数が死んだ。 やがて何もなかったかのように日常は帰ってきつつあった。

いわゆる原作ノベルの映画化にすぎないかもしれないが、 作品がリアリティを持つ気配が世界には充満しているように思う。 そういう意味で見る意義のある映画だろう。 十代の視点で描かれた戦争、 自分には関係ないかのようなスタンスで描かれながら、 上の年代が見ると、 自分たちに果たして戦争を回避することができるのかという焦燥がからみつく。 焦燥感から希望を見出す光は弱く、 弱いからこそ尊いとも言えるが、 そんな心情に反してのスクリーンいっぱいのみずみずしい描写すら遠い思い出、 死の瞬間のフラッシュバックのように感じる。 乞うご期待。



わたしは生きていける How I Live Now (2013イギリス) 日本公開2014.8
監督 ケビン・マクドナルド 
シアーシャ・ローナン ジョージ・マッケイ 
わたしは生きていける原作
メグ ローゾフ Meg Rosoff

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