1.09.2014

例外、優越も制度の一部 “12 YEARS A SLAVE”



明治維新のような邦題がついておりますが、 あちこちの賞レースにいつも出てくる例の作品。 ところどころで長いショットが効いている演出とともに、 さすがにしっかり出来ているようす。 ブラピはプロデューサーとしても名を連ねながら、 さすがにいい役を押さえてる^ ^ 

こちらは実話でもあり全く違うのに、 奴隷ものということでこれがオーバーラップして、 やや食傷気味^ ^ 予想通り抑圧された苦々しい時間が続く。

しかし自分は奴隷でもないのに、 なぜ支配される側の意識がわかるのか考えてみたら、 やはり会社とか、 学校とかだろうな。 奴隷制はなくなったかのように見えて、 実は拡大しているのかもしれない。 資本主義という名の奴隷制が。

バイオリニストとして北部で妻や子どもたちと幸せに暮らしていたソロモン。 おいしそうな仕事に乗ってみたら、 これがとんでもない落とし穴。 しかし奴隷として売られてからも“例外的なニガー”として一目置かれるが、 自らの才能や能力に見合う例外性を取り戻そうとするばかり。 やがてコットン畑で同僚が死に、 そのささやかな葬式でゴスペルが歌われるシーンで、 みんなの深い怒り、 悲しみと一体になる。

ブラピ扮する大工は、 奴隷制はこの国を覆う病のようなものと語り、 しかるべき筋に経緯を伝えてソロモンは開放される。 12年ぶりに帰ったわが家では、 幼かった娘が孫を抱いて長期不在の父を出迎える。

その後のソロモンの活動はテロップで流れるだけだが、 裁判や制度改革は一筋縄ではいかなかったことが想像される。 あとは歴史の通り、 ということだが、 そういうことがあったんだ、 と歴史ドラマの一つとして見てしまえるところが惜しいように思う。 もう少し、 今という時代にペネトレートする何かが欲しかった気もするが、 とりあえず乞うご期待。



それでも夜は明ける 12 YEARS A SLAVE (2013) 日本公開2014.3/7 公式サイト
監督 スティーブ・マックィーン 
キウェテル・イジョフォー マイケル・ファスベンダー ブラッド・ピット 

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