7.04.2013

痛みの価値 The Brass Teapot



お金がザクザク出てくる魔法のポット・・ いかにもすぎて興味をそそられなかったが、 見てみたらそれなりに面白い。 主演は、 おお、 またかという感じのジュノー・テンプル。 彼女のエロさと、 世界を支配するカネという悪夢を楽しむ作品か。

一昔前的に言えば負け組の二人。 愛し合っていて幸せではあるが、 夫はつまらない仕事に疲弊し、 やがて会社をクビになる。 妻は学歴に見合う仕事をと今日も面接に精を出すが、 いい返事はなし。 そんなある日、 彼女は骨董屋で不思議なポットに魅せられ、 それを盗み出してしまう。 部屋でちょっとしたヘマをやってケガをする。 するとポットからお金が・・ 小判とかではなく紙幣で出てくる^ ^

どうやらこのポットは持ち主が痛い目に合うと、 その痛みに応じた額のお金を出すようだ。 その時点ではまだ楽しみながら痛みとその対価を享受。 整体に、 あるいは歯医者にポットを持参、 さらにはSMへと。 やがて持ち主本人の痛みでなくてもかまわないことがわかる。 また身体的苦痛だけでなく、 精神的な痛みにも反応することがわかる。 求める痛みはどんどんとエスカレートし、 深みにはまっていく。

無報酬に終わる徒労が多い昨今、 どうせイヤな思いをするのなら確実に対価が支払われるほうがいい。 そんな部分のツイストは効いている。 しかしマネーに関する考察が乏しすぎて、 ゲンナマをビニール袋に入れてトイレのタンクに隠す、 金庫預金するなどは一昔前過ぎて見ていてイライラし、 普通の教訓とともに中途半端なハッピーエンドで終わらせるのはつまらない。

最初の痛みを元手にして投資に回し、 上手くいけばお金は増えるし、 損失を出せばその精神的痛みで穴埋めすればいいのだ。 これほどよくできたエコシステムはないはず。 そしてその先にはどんな結末が待っているかも見届けなくてはいけない。 さらにはそうした魔法のマネーが出回って世界経済はおかしなことにならないか。 そのあたりまで、 もうひとひねり、 ふたひねりして描いてくれるとよかったのに、 という映画かな。 軽いファンタジーとして、 最近お金のことしか考えてないなと思うなら見るのも悪くない。



マジック$マネー The Brass Teapot (2012) 日本未公開
監督 ラマア・モスレー 
[DVDはレンタルのみ?]

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