3.15.2013

教育論 「トールマン」



前作 「マーターズ」 はエグイ!という前評判のわりにつまらなかったので、 反感を持ってしまっていたが、 その前作である 「マザー」 まで振り返ってみると、 パスカル・ロジェ監督は一貫した何かを持って脚本を書き、 映画製作にあたっているのがわかる。 それは親と子の関係だろう。

親と子の切っても切れない絆、 などということではなく、 むしろ断ち切ることで、 この腐った社会の悪影響から逃れて子どもは可能性を伸ばし、 より良い社会を築くだろう。 ホラー/サスペンスのパッケージのなかに、 そんな大マジメなメッセージが含まれている。 かと言って妄信的にそれを行えばカルトになるところ、 監督自身、 一抹の疑問も自覚しながら、 それでもこのように訴えかけることに意義を感じているようだ。

かつては栄えた炭坑町、 鉱山が閉鎖されてからは荒みきっている。 (微妙に古すぎるシチュエーション?) その町で子どもの失踪事件が続く。 住民から厚い信頼を受けていた医師の夫を失ってからも、 献身的な看護と息子の子育てに邁進するジュリア。 しかしある日、 ジュリアの息子もトールマンに連れ去られる。 トールマンと聞くと 「ファンタズム」 を思い出すが、 ここではフードを被った謎の存在で、 子どもをさらうとされているこの男をめぐって物語は大きく一転二転する。

ネタバレしないように書くのがむずかしいが、 トールマンの正体はあまりにも意外な人で、 キツネにつままれたような気になっていると、 さらに意外なオチとなる。 そして、 こんな荒廃した町の腐った親に育てられるより・・ という結論となる。 まあ、 なるほど、 ではあるが、 自分が子どもだったら、 新しい境遇もけっしてハッピーでないように思えて、 世界を変えるのは簡単ではないと知りつつも、 見て、 考えてもらえばいいであろう、教育論のように真面目な作品^ ^ どうせなら最後は、 子どもが親を選ぶような設定にすればよかったのになと。


トールマン THE TALLMAN (2012アメリカ・カナダ・フランス) 公式サイト
脚本・監督 パスカル・ロジェ 
ジェシカ・ビール ジョデル・フェルランド サマンサ・フェリス 
コリーン・ウィーラー 

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