1.26.2013

誰かを想う “YOU and I ”



アメリカとロシアの合作で、 劇中でもアメリカ人とロシア人の友情が描かれる。 二人が好きな t.A.T.u. (そう言えば、 いたな。 すでに懐かしい) が彼女たちを結びつける。 やや外れた感じの作品でレビューも少ないが、 つっこみどころ満載だろうと見てみた。

しかし意外に真面目な作品で、 十代のシリアスな感情が自分にもほんの何ミリグラムか残っていたのだろうか、 幼稚な映画と切って捨てられないところがある。

彼女たちのシリアスさは、 生まれた町が嫌い、 義母が嫌い、 自分は特別、 でも何もできない、 そんな平凡なところに根ざしているが、 いまだにこれを笑い飛ばせない。 若さにまかせて突進し、 砕け、 感情を持て余す。 それでも最後に残された真実だけは裏切れない。 こういう人種はもう古風なんだろうかね。

家を出て、 帰る場所もなく、 あちこち泊まり歩いて、 有名カメラマンには "モデル? その大陸並みのヒップを自分で見たことがあるの?" と鼻であしらわれ、 誤解、 寂しさ、 自己嫌悪。 プランAもプランBも上手くいかず。 しかしやがて、 二人を結びつけた t.A.T.u.のマネージャに詞と曲を見出される。

その詞と曲が、 それほどかな? と思うところで少し冷めるが、 まともな大人が出てくることで救われるのは、 十代でこの映画を見たならどう感じただろう。 エントリータイトルはミーシャ・バートン演じるラナがスカジャンの背中に入れる刺繍 "LOVE ONE ANOTHER" より。 あの頃の気持ちを何ミリグラムか取り戻せる、 それほど悪くない作品だった。



YOU and I (2011アメリカ・ロシア) 日本未公開 
監督 ローランド・ジョフィ 
ミーシャ・バートン シャンテル・ヴァンサンテン ヘレナ・マットソン 
アントン・イェルチン アレクサンダー・カルジスキー 
チャーリー・クリード・マイルズ ブロンソン・ピンチョット t.A.T.u. 

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