IMDbでは評は少ないながら gem などと表現されている。 昨今のバンパイアブームに乗ってきたというより、 現代に吸血鬼がいるとしたら、 という着想をリアルに攻めて独自の地平にたどり着いた感じ。 男は25歳を目前に、 さなぎが蝶に変わるように、 あるいは潜伏していた病気が発症するかのようにバンパイアとなる。
その '真夜中の息子' は子どもの頃から日光に弱く、 今は夜勤の仕事をしている。 半地下になった部屋では太陽の絵ばかりを描いている。 そしてなぜだか近頃、 お腹がすいてしようがない。 何を食べても空腹は満たされない。 ふとスーパーの発泡スチロールのトレーに残された、 ステーキ肉がこぼした血を飲む。 すると何だ、 この満足感は。
近くで殺人事件があった。 記憶が空白となっているその時間を夢のように思い出す。 横流しで手に入れた輸血パックをジュースのようにすする。 バーでタバコを売っていた女と話し込む。 部屋で男の絵を見た彼女は魅了される。 紹介料にも魅了されてギャラリーに紹介してくれる。 輸血パックを調達してくれる男と争いになる。 自分が予想もしなかった怪力で男を投げ飛ばしてしまう。
また記憶が曖昧になっているので、 殺してしまったのでは、 と考えていると男が姿を現す。 太陽に焼かれた傷跡を見せつけて。 彼女が銃で撃たれる。 衝動にかられ傷口から弾丸を吸い出すが、 そのとき彼女もこちら側の者となる。 殺人事件を追う刑事が部屋にやってくる。 空腹を訴える彼女、 開かれる扉。 そのとき二人は生き方を決める。
こうして書いてしまうとネタバレではあるが、 十字架やニンニクは除外してあるものの、 いわゆるバンパイア物語を追っているに過ぎない。 しかしリアルとロマンが微妙なラインで交錯する独特の雰囲気は見ないとわからない。 "珠玉の" というには血なまぐさいが、 確かに gem な後味を残してくれる。 例によって日本公開未定、 乞うご期待。
MIDNIGHT SON (2011) 日本公開未定
監督 スコット・リバーチェ
ザック・キルバーグ マヤ・パリッシュ ジョー・D・ジョンズ ラリー・セダー
輸入版 (Blu-Ray) [Import] Midnight Son powered by G-Tools |
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