11.08.2012
これは始まりにすぎない 「ちいさな哲学者たち」
"国家予算のムダ使いが問題視されるなか、 はたして修士資格が子守りをするだけの職員に必要なのか" フランスの教育相がそう言ったらしい。 それは幼稚園で哲学のクラスを始めた先生を指しているようだ。
フェイクでないドキュメンタリーで、 娯楽性はないので中盤やや退屈して中座、 けっきょく三日かけてしまったが無事 見終わった^ ^ ふと 「娯楽」 って何だろう、 などと考えたのは、 この映画の影響だろうか。
それにしてもフランス人は哲学好きだなと改めて思う。 アートやファッションと並んで文化だとも言える。 しかしお国のほうでは上の発言なので、 文化予算を引き出すのも簡単ではないようだ。 その幼稚園はどちらかというと白人の少ないエリアにあるようで、 ある種 世界の縮図のような教室で先生がろうそくに火をつけて 「さあ頭を使いましょう」 と切り出す。
「友だち」 って何? 「愛」 って何? から始まり、 「死」 「自由」 「違い」 「貧困」 などをテーマに哲学セッションは1年間続く。 しかし、 これで終わってしまうのか、 来年も続けられるかは微妙なようだ。 そもそも哲学は言葉による数式のようなところがある。 ボキャブラリーの少ない幼稚園児にとっては突拍子もない企画だったかもしれない。 案の定、 最初は混線し、 もじもじしながら話す子どもたち。 しかし回を重ねるごとに一人前の発言をするようになる。
友だちは手をつなぐけどキスはしない。 子どもは自由ではないが大人も自由ではない。 ホームレスに与えられないのは急いでいるから・・ 常識という定義に毒されてない子どもだからこそ、 考える習慣は身につきやすいかもしれない。 オシャレなヘアスタイルで哲学談議に花を咲かせる?黒人の女の子たちを見ていると、 フランス健在なりという気がする。
1年間の哲学セミナーが終わり、 小学校へ上がるとこの幼稚園が恋しくなるだろうと話す女の子。 しかし、 あるワンパクな男の子は、 話し合いによる解決はあいかわらず疑問のようだ。 先生は笑顔ひとつ浮かべない固い表情で、 次々に質問を投げかける。 それは決して結論を誘導するものではないが、 必ずしも子どもたちのためではなく、 自分の修士資格へのプライドだったかもしれない。 それにしても日本でこういう光景を目にすることは、 孫の世代になってもないという気がする^ ^ 幼稚な邦題がその証拠。 原題では "これは始まりにすぎない" のだから。
ちいさな哲学者たち (2010フランス) 日本公開2011.7 公式サイト
CE N'EST QU'UN DEBUT / JUST A BEGINNING
監督 ジャン=ピエール・ポッジ+ピエール・バルジエ
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