11.03.2012
それがジョージだ
「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」
中学一年のお昼の校内放送で流れた "She Loves You" が音楽への目覚めだと言ったら笑われそうだが、 事実なので困ったもんだ。 。 まさに電撃の走る瞬間だった^ ^ さすがにそれはリアルタイムではなく、 意識的な放送部の選曲によるリバイバルだったが、 見慣れた教室が、 窓から見る風景が、 その一瞬、 ハレーションして歪んだ。 その曲が何なのか調べて、 収録されているビートルズのアルバムを1枚買った。 アルバムの他の曲はやや退屈に感じて、 後にも先にもビートルズはそれ1枚きりだったが、 硬質な60年代の音源に触れると今でもビリっとくる気がする。
しかしなぜか、 そのスーパーグループにそれほど傾倒したわけでもなく、 とくに後期のヒッピー崩れ的なサウンドは辛気くさいとも感じて、 少し上の世代から学園紛争の話でも聞くように、 エネルギッシュだった時代にやや憧れを抱きながらも、 自分の時代と日常に帰って行ったように思う。 だからビートルズと言えばジョン、 ポールでしょ? 程度の知識しか持ち合わせず、 なぜスコセッシが今頃こんなドキュメンタリーを作ったのか、 しかもメインを張るのがジョージ・ハリスン? ・・というのが最初の感想だった。 ハリスンの奥さんに金を積まれたか? とか。 。
しかし見てみると、 何といい人なんだろう、 ジョージは^ ^ 流れる曲もなぜか半分以上は知っている。 ジョージにヒット曲なんてあったんだ ・・みたいな^ ^ あったどころか、 ビートルズが解散してからのビルボードの1位2位をジョージのソロがダブル独占するという快挙だったらしい。 そこでようやく、 ああそう言えば中学の頃、 俺はジョージが一番好きだと言い切る友人がいたことを思い出した。 その頃は、 あ、 そう・・ としか思わなかったが、 今ようやくジョージの魅力がわかった気がする。 そう言えば 「(500)日のサマー」 の彼女はリンゴが一番好きと口走って物珍しがられてたな。
3時間の長丁場にもかかわらず、 時代のエネルギーと鬱の伝わってくる映画だった。 同時に、 そんな時代はもう二度と訪れない、 いや、 自分たちには一度たりとも訪れていないことの空虚感を、 アヘンの燃えカスのような無感情とともに味わうことのできる希有なドキュメンタリーだとも言える。 それでも俺のギターは優しくむせび泣くぜ・・
ジョージ・ハリスン/リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド (2011)
George Harrison: Living in the Material World 公式サイト
監督 マーチン・スコセッシ 象のロケット
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