
新作を追う日々のなか、 今日は気まぐれに数年前の作品を取り上げよう。 登場する女性は一様にタンクトップで、 夏の日差しを感じる映画。 大したことは何も起こらないが、 遠い夏の日をふと思い出すような、 あるいはこの夏起きることを予見するかのような、 不思議な感情を掘り起こされる映画だ。
フランスの小さな街ストラスブール、 青年はこじんまりしたホテルに滞在している。 カフェに座り、 人々をスケッチする。 一人の女性をみつけると青年の顔がほころぶ。 しかし彼女は行ってしまう。 後を追う。 彼女は延々と歩く。 見失う・・
この街には路面電車が走り、 のんびりとした午後がある。 青年は再び彼女の姿を確認、 路面電車の車内で声をかける。
シルビィだろ? 人違いよ
青年は6年前に出逢ったシルビィを追って、 この街を再び訪れたらしい。 シルビィに似た人は去り、 青年は途方に暮れる。
内容はほぼそれだけで1時間25分。 これを退屈と思う人も当然いるだろうが、 自分などはインスタントに旅してきた気分になれて、 なかなかよかった。
しかしまあ煮え切らない映画ではある。 そんなに好きなら なぜ6年も空けてしまったのか。 あるいはそれすら青年の幻想か。 ラスト間際にちらっと映る、 顔に大きな傷のあるサングラスの女は何? 過去だけを追い求めず、 今ここで新しい出会いを作ればいいじゃないか、 などなど。 。 ああ、 夏。 どうせならもっと暑くなってくれないかな。


シルビアのいる街で (2007スペイン・フランス) 日本公開2010.8月
EN LA CIUDAD DE SYLVIA 公式サイト
監督 ホセ・ルイス・ゲリン
グザヴィエ・ラフィト ピラール・ロペス・デ・アジャラ
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