7.09.2012

遠い夏休み 「シルビアのいる街で」



新作を追う日々のなか、 今日は気まぐれに数年前の作品を取り上げよう。 登場する女性は一様にタンクトップで、 夏の日差しを感じる映画。 大したことは何も起こらないが、 遠い夏の日をふと思い出すような、 あるいはこの夏起きることを予見するかのような、 不思議な感情を掘り起こされる映画だ。

フランスの小さな街ストラスブール、 青年はこじんまりしたホテルに滞在している。 カフェに座り、 人々をスケッチする。 一人の女性をみつけると青年の顔がほころぶ。 しかし彼女は行ってしまう。 後を追う。 彼女は延々と歩く。 見失う・・

この街には路面電車が走り、 のんびりとした午後がある。 青年は再び彼女の姿を確認、 路面電車の車内で声をかける。

 シルビィだろ? 人違いよ

青年は6年前に出逢ったシルビィを追って、 この街を再び訪れたらしい。 シルビィに似た人は去り、 青年は途方に暮れる。

内容はほぼそれだけで1時間25分。 これを退屈と思う人も当然いるだろうが、 自分などはインスタントに旅してきた気分になれて、 なかなかよかった。

しかしまあ煮え切らない映画ではある。 そんなに好きなら なぜ6年も空けてしまったのか。 あるいはそれすら青年の幻想か。 ラスト間際にちらっと映る、 顔に大きな傷のあるサングラスの女は何? 過去だけを追い求めず、 今ここで新しい出会いを作ればいいじゃないか、 などなど。 。 ああ、 夏。 どうせならもっと暑くなってくれないかな。


シルビアのいる街で (2007スペイン・フランス) 日本公開2010.8月
EN LA CIUDAD DE SYLVIA 公式サイト
監督 ホセ・ルイス・ゲリン 
グザヴィエ・ラフィト ピラール・ロペス・デ・アジャラ 

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