7.07.2012
ジャンルミックス 「キル・リスト」
今さらではあるが昨年、 いくつかの映画祭で評判だったらしいインディーズ作品、 正式な日本版DVDスルーでその面白さを検証してみよう^ ^ 監督は新人で、 キャストも当然 聞かない名前だが、 こうして眺めているとイギリス人の名前ってヘンなのが多いなとあらためて思う。
7~8才の男の子がいる夫婦。 夫は8ヶ月 仕事をしていないらしい。 いがみ合いから始まって、 どこの国でもこんなもんかと見ている。 男はリストラかなとか、 悩みでもあるのかとか考えながら、 大した演出もされてなさそうなのに どこか面白くて目が離せない。
そうこうして男は仕事を再開するが、 これが何と、 殺し屋。 リストラならぬキル・リストだったわけだが、 キエフでの失敗がどうとか断片的な会話から、 東欧出身者なのかとか、 ターゲットとして指定されるのが聖職者だったり、 子供ポルノ業者だったりと、 政治的なリストではなさそうとか。 しかも奥さんは夫の職業を知っているようす。
親友の男と二人で出かけて、 死体は帰りに焼却して一丁上がりのシステマティックさ。 孤独な殺し屋のイメージとは違うところが、 まさに監督が語るところの "サスペンスにコミカルな要素" となっている。 親友は比較的温厚でビジネスライクに物事を進めるが、 男は当初のうだつの上がらない雰囲気から一変し、 キレたらどうなるかわからないという一面を見せ、 ターゲットに指定されてない者までもを不必要に惨殺してしまう。
そして最後は予想だにしない展開となって、 薄気味悪く、 後味悪く終わる。 うだつの上がらない無職夫→キレたらヤバい殺し屋→XXXと2段階くらいの裏切られ方だが、 最初の裏切りは好意的に迎えられるのに、 後のは本当に裏切られた気になる。 しかしなるほど、 面白い。
面白さの秘訣はジャンルミックスということかなと思う。 コメディ、 クライムストーリー、 ホラー・・ あらかじめジャンルの中央にどっかり座った作品だと観客を裏切るのも大変だろう。 しかしコメディかと思わせてサスペンス、 かと思わせてオカルトだったりしたら比較的カンタンではないか。 ただし中途半端にミックスしてしまうと こうはならないはずで、 各ジャンルのソリッドなものをマルチに持ちあわせた上でのミックスでないと成功しないだろう。 脚本はイージーでも演出の腕が必要か。 飽和したエンタテイメントの打開策として3Dと並び、 今後 重宝される手法かもしれない。
キル・リスト KILL LIST (2011イギリス) 日本未公開
監督 ベン・ウィートリー
ニール・マスケル マイケル・スマイリー
マイアンナ・バーリング エマ・フライヤー
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