6.11.2012

神々の黄昏 「アイアン・スカイ」



ナチスが実は逃げ延びて、 月の裏側で虎視眈々と反撃の機会をうかがっていた、 という噂のトンデモSF、 一足先に見た^ ^ 発想はいいとしても全体にユルユルで、 宇宙船が飛来した際の国際会議で北朝鮮が "あれはうちが飛ばした" と発言して嘲笑を受けるあたりくらいしか笑えなかったが、 それでも最後は妙にシリアスで、 戦争を繰り返す人類を憂いながら終わるところなどは悪くない。

ナチスが黒人というものを知らなかったなんて、 どういうニュアンスなのかイマイチわからず。 アメリカの月着陸船から降り立ったジェームズ・ワシントンは捕らえられ、 白く染められる。 彼が持っていた携帯電話。 これは何だと聞かれて、 コンピュータだと答えると、 まさか、 コンピュータとはこれだと部屋一杯の年代物のマシン。 しかも研究者は老人一人だけ。 このあたりは思いついたまんまで ほとんど笑えない。

かたや地球、 アメリカでは女性大統領が誕生しているが、 それを知らない次期総統アドラーは ずっと him と言っている。 極端に描かれるアメリカの覇権、 それは女性大統領になっても変わらないらしい。 あっちでも、 こっちでも権力争い。 ネオナチが中途半端に出てきたり、 ナチスのマークはそもそも愛と平和の象徴だということになったりして、 混線して収拾がつかない。

アメリカ大統領が再選の際に行なった演説、 ブレーンが用意した原稿はナチ的なアジテーションそのものだったというところなどは それなりに面白いが、 やっぱり最後までトンデモの領域を出ず惜しい作品と言える?かもしれない^ ^ 乞うご期待。 エントリータイトルは月の第4帝国最終兵器 Götterdämmerung より。




アイアン・スカイ (2012 フィンランド・ドイツ・オーストラリア) 日本公開9/28
IRON SKY 監督 ディモ・ヴォレンソラ  公式サイト 
ユリア・ディーツェ ゲッツ・オットー クリストファー・カービイ ウド・キア 
ペータ・サージェント ステファニー・ポール ティロ・プリュックナー 

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