4.05.2012
はじめから失われているもの 「マリリン 7日間の恋」
見たかった作品だが、 見てみたら期待したものとは違った気もした。 だが意外にさわやかな後味。 マリリン・モンローについては正直よく知らないが、 ミシェル・ウィリアムズがモンロー役に決まったと聞いたときは、 おお、 と言いながら、 違う気もしていた。
本編を見てもやはり、 両親の愛を知らずに育ったマリリンと、 しっかり愛されてきてそうで、 思いっきり健康そうなミシェルは真逆という印象を受ける。 しかしそこはメイクや演技でマリリンになっているところが見所の一つではあるだろう。 イギリスっぽい大御所のキャスティングは泊づけでしかないような気もしたが、 助監督役のエディ・レッドメインや衣装係のエマ・ワトソンがみずみずしい。
誰かを本当に愛していて、 100%本気でそのことを伝えたつもりが、 その瞬間に1%くらいは自分の言葉に嘘が混じってると感じたことはないだろうか。 まあヘンな言い回しだが、 では100%は嘘なのかというとそうではないし、 伝え方に照れがあったかというとそうでもない。 なのに1%はどこに消えていったのか。 そのことをじっくり考察してみてもいいが、 答えはなかなか出ないだろう。 そんな感じの映画だ^ ^
猪突猛進で映画界に飛び込み、 甘んじて使いっ走りに奔走するコリン。 だが初仕事の作品はいきなり大スター、 マリリン・モンローをイギリスに招いてのローレンス・オリヴィエ主演兼監督の大作。 しかもマリリンに気に入られ、 名誉あるお守役かと思えば深入りしてしまう。 憧れのスターとキスシーンどころかベッドシーンまで・・
舞い上がりながら冷静に対応し、 かつマリリンの心境を理解しているコリン。 その瞬間は本気なのに、 すぐに終わりが来ることも理解している。 切り取られた一瞬を永遠にスクリーンに投影しつづけるコリンはまさに映画人と言えるし、 不安定なメンタルを抱えながら、 最終的にはフィルムに輝きを焼き付けるマリリンもまさにムービースターだった。
マリリンがメソッドアクティングの指導を受けていたというのも興味深いが、 それがローレンス・オリヴィエの演技論とぶつかる。 企画が規格にハマってくれない。 セリフに "too" を付けるか付けないかで もめるなども面白いエピソードだ。 創造的なぶつかりあいの結果オリヴィエはその後、 監督業をあきらめて役者に専念することとなる。
オリヴィエの奥さんがヴィヴィアン・リーで、 当時42才で "もうアナタには なれないの" とマリリンに語るところなども興味深い。 ふらっと劇場へ足を運んでも楽しめる作品、 映画ファンが見れば1.5倍は楽しめる映画と言えるだろうか。
マリリン 7日間の恋 MY WEEK WITH MARILYN (2011イギリス・アメリカ) 3/24~
監督 サイモン・カーティス 公式サイト・予告 象のロケット
ミシェル・ウィリアムズ ケネス・ブラナー エディ・レッドメイン
エマ・ワトソン ジュリア・オーモンド ドミニク・クーパー
ジュディ・デンチ
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