4.27.2010
帰りたくない 「21番目のベッド」
どこかへ出かけて、 それが遠くでも近場でも、 ハッピーでも そうでなくても、 そろそろ帰らなきゃというときが迫ると・・ ダルくなるんだよね。 若い頃はとくにそうだった。 最近は律してるけど、 それでもときどき、 子連れで出かけていても思う。 帰りたくないな・・ と。 地球の一日は短かすぎる。 24時間の枠組みの中に押し込めると、 すべてがチマチマしてくる。 きっと、 もっと大きな惑星から来たんだろうな、 遠い昔に・・
なんてセンチメンタルな書き出しで始めてしまったが、 突然のラブストーリー企画 本日は第三弾、 そしてたぶん最終日^ ^アルゼンチン出身の監督によるイギリス映画は、 昨日・おとといとは打って変わって、 未成熟でストレートな物語が交錯する青春ラブストーリーだ。 帰りたくない・・ これを女の子に言われると甘酸っぱいセリフとなるが、 あくまでも I Love You とは違う。 だからラブストーリーと言うよりは、 旅立ちの物語かもしれない。
青年は父を捜しにロンドンにやってきた。 ライブハウスで知り合った人の家になんかに点々と寝泊まりし、 寝たベッドやソファの数は青年の歳と同じ20。 そして21番目のマットレスは、 これから出会う予定の彼女が捨てたもの。 青年はイギリスの高校の制服を拾い これを気に入って着ているが、 これも彼女が捨てたもの。
制服とは言ってもエンジにベージュのストライプが入ったカッコイイもので、 一時期のヨージヤマモトな感じのジャケット。 しかし青年には着慣れないテイラードだから、 会う人にはいつも "ビジネスマンみたいかな?" と聞く。 自分も遠い昔の、 初めてテイラードのジャケットに袖を通したときの感覚を思い出す。
そして出会うべき彼女は、 空を見上げて "仕事はスチュワーデス" と嘘をつき、 名前も告げず交わされる一夜限りの恋に寄り道し、 思い出は次から次へと捨てていく。 青年も酒に弱く、 夜の出来事は翌朝 完全に忘れている。 そんな慢性記憶喪失の若き二人が出会うのはラスト21分。 さらには、 これはどう見ても 'ボーイミーツガール' の物語だと思っていたのに、 結局二人はその出会いすら忘れ、 捨て去ってしまう。
青年を見守るライブハウスの店長といっしょに、 朝はいつもコーンフレークを食べながらスカイダイビングのビデオを見ることとなる。 彼は一度失敗したダイビングに再挑戦するつもり。 青年が探し当てた父は不動産会社勤務の普通のビジネスマンで、 小さな娘がいた。 そして思い出を捨ててきたはずの彼女は、 ステージで歌う自称 "X線技師" 男と再会する。 その曲のリズムはなぜか水戸黄門。 。
ときどき二人のネイティブ言語であるポルトガル語やフランス語が混じり、 今のロンドン事情も垣間見れると同時に、 ひらめきのあるカメラワーク、 編集、 音楽・・ 映画に若さを取り戻すかのようなフレッシュさに満ちている。 エポックメイキングな何かは見当たらないが、 倦怠でも暴力でもない新世代の若さがここにはある。 そのくせ、 かつて青年だったオジサンにも共感できる。 ナイーブすぎるこんな感性が、 いま現在 主人公と同年代の人には、 実際のところ どのように映るのだろうか。 映画はこれからも若者に支持されるのだろうか。
21番目のベッド Unmade Beds (2009イギリス) 日本未公開
監督 アレクシス・ドス・サントス
フェルナンド・ティエルブ デボラ・フランソワ ミヒル・ホイスマン
イド・ゴールドバーグ リチャード・リンターン
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