11.17.2009

破戒映画? 「NO NEW YORK 1984-91」



リチャード・カーンやリディア・ランチ、 ニック・ゼッドについての1時間強のドキュメンタリー。 "黙殺という名の検閲" によって知る人も少ない彼らの作品だが、 作品中に多数登場する映画は どれも見たことがなかった。 暴力とSEXの渦巻く当時のNYを 'サイテー' と坂本龍一氏が かつてラジオで言ってた気がするが、 それが彼らなのだ^ ^ 'PUNK' と呼ばれて商業化したムーブメントやイギリスのパンクロンクと一線を画すように自らを 'NO WAVE' と呼んで音楽や映像作品を作った。 それらは "破戒(はかい)映画 Cinema of Transgression" と命名された、 とのこと。 '破戒' なんて言葉も字面での印象でしか理解できないが、 それなりに上手い訳だなとは思いながらも、 映画に精通した?自分も初めて聞いたジャンルだ^ ^

ドキュメンタリー自体は今や50代となったオジサンやオバサンが、 かつてを語り、 その間に当時の作品の一部が放り込まれるだけなのだが "評価されることすら拒否" しながら、 後の世には影響を与えたようで、 今ではそれほど珍しくもなくなった過激表現のルーツがオンパレードされる。

当然ながら低予算の自主製作作品で "彼らに比べればジム・ジャームッシュがプロのように見える" ごとく荒っぽいが、 ニック・ゼッドの 「警察国家」 などは、 警官を下から、 一般人を上からのアングルで撮ったりしている。 警官の威圧感の表現だ。 何だ、 ちゃんと計算してるじゃないか^ ^ ただの暴れん暴ではないのだ。 "アートや映画の歴史・系譜を踏まえて実行する" インテリでもあったりするのだ。 ゼッドは自ら雑誌を作り、 ペンネームを使って記者として "驚愕の監督 出現" などと書いたりする。 ブルース・ラ・ブルースがこの破戒映画を 'サイテー' と評することでシーンはマッチポンプ式に空虚に盛り上がる。

ベビーブーマーの世代と比べると、 やはりこの世代はムーブメントを起こそうとしても不発で終わる気がする。 だが まだ怒りだけはあった。 今のユースはそれすらなく、 ただ絶望と居心地良く過ごす技術だけが残されたと感じるのは悲観しすぎか。 80年代パンクに近い世代の自分はある種の懐かしさすら覚える 微笑ましくもショボイ作品だが、 20代なんかが見るとどう感じるのだろう。 何も感じない? 失礼しました^ ^




NO NEW YORK 1984-91 LLik Your Idols (2007) 日本公開2009
監督 アンジョリーク・ボジオ  アップリンク 
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