10.25.2009

下水に流れた才覚 「新宿インシデント」



この手のノワールもしばらく見てなかったので、 それなりに満足。 ジャッキー・チェンはもう体が動かなくなったのか、 この映画ではカンフーアクションはまったく見せない。 顔も老けたなという気がする。 恋人を追って日本に来る歳でもなさそうな。 。 探し当てた恋人は極道の妻になっているのだが、 その役にジュー・ジンレイがどうもフィットしないなあ。 ファン・ビンビンはキレイだが中途半端な役どころだし。

90年代の集団密入国事件をモチーフに、 恋人を追って若狭湾に流れ着いた男は、 その後、 歌舞伎町の裏の顔役にのし上がってゆく。 中国の田舎でトラクターに乗っていただけの男なのに、 覚悟を決めたら見事な才覚を発揮して中国人グループをまとめ、 暴対法成立後の新宿界隈のヤクザにも見込まれる。

抗争後に勢力を拡大するが野心はあまりなく、 そっち系の仕事は仲間に任せて自分は農耕機販売などを始めたりする。 しかしその結果、 男のグループは国内最大の外国人犯罪組織となる。 もともと人のいい男で、 一方では刑事の命を救ったりして、 そっち方面にもある種のコネを持ってしまう。 やがて時代の渦の中、 これまでのことを清算しなくてはならない状況がやって来る。

新宿ロケ、 ヤクザものということで、 香港映画と言うよりVシネマなテイストだが、 見せ場がきっちりとあるのはさすが。 ジャッキー演じる"鉄頭"の男気は素敵だが感情移入してしまうほどでもなく、 かと言って加藤雅也はじめ日本のヤクザが主役というわけでもないので、 日本刀の抗争はそれなりに迫力があるが全体に こぢんまりした印象を受ける。 繁栄と貧困とか、 権力対はみ出し者みたいな大きな対立軸がないのだ。

日本ヤクザ対中国マフィアみたいな話でもまったくなく、 日本のヤクザもすでに微妙な支配のバランスのなかにあり、 中国人のなかにも華僑グループとそうでない者の生き方の違いがある。 もはやノワールが成立する時代ではなかったのかもしれない。 そして最後は "中国の発展とともに2000年以降は こうした密入国は減少する" とのテロップが出て終わる。 ようするに日本がもう、 おいしい国ではなくなったのだ。 そのあたりのわびしさだけが妙に残る映画だったなあ^ ^



新宿インシデント The Shinjuku Incident/新宿事件 (2009香港)
監督 イー・トンシン  公式サイト 
ジャッキー・チェン (製作総指揮兼) 竹中直人 加藤雅也 ダニエル・ウー 
シュー・ジンレイ ファン・ビンビン 峰岸徹 倉田保昭 長門裕之 
新宿インシデント [DVD][DVD]

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