10.24.2009

100年前の風 「ココ・アヴァン・シャネル」



遅いエントリーになってしまった。 というかエントリーしなくてもいいかと思っていたのだが、 知り合いとファッションの話で少しだけ盛り上がったので、 やっぱり書いておこう。

映画は正直、 特番の大河テレビドラマみたいな雰囲気で、 オドレイも老けたのか、 役作りでゲッソリしてるのかはわからないが、 かつての輝きは感じない。 ただスネて世の中を見た、 それでいて したたかに狙っているような目つきはよかったかな。 タイトルは "シャネルになる前のココ" ということだし、 これでいいのかもしれない。 コルセットを拒否し、 男物の服で世間を驚かせたシャネルも、 '女' を使って世渡りするハングリーな人だったことがわかって、 それはそれで納得。 ようするに "パトロンの作り方" みたいな映画だ。

しかしながら CHANEL が いかに革命的だったかは、 想像力を持って見れば追体験できる。 馬車の時代、 やがて自動車が徐々に増えてくる時代の話なのだ。 貴族社会、 政略結婚・・ そんな時代、 ファッションは上流階級のもので、 通常では起きるはずのないことが起きるには、 それなりの策略がいるのだ。 革命とはすなわち階級闘争。 その意味においても、 まさに革命的な人だったのだ。

そんな時代から100年近くが経って、 いま自分たちがイメージする CHANEL というとブランドの代名詞というか、 エレガンスの権化のような捉え方ではないか。 あの時代にココがモード界に送り込んだ黒い服、 アンチエレガンス、 男物テーラードというと、 コムデギャルソンやヨージを思い浮かべてしまう。

ある冬の日に、 フロムファーストだったかな、 下のカフェでヨージさんと川久保さんがお茶してるところに、 偶然 僕と友だちが入っていったことがある。 二人ともその年のコレクションを着て。 当然チラッと見られたわけだが、 着ていたのがヨージだから、 耀司さんの微妙に勝ち誇った顔がよかったなあ。 川久保さんのほうは、 なぜ私の服じゃないの?って顔で^ ^ いまヨージは経営が上手くいっていないとの寂しい情報が耳に入るが、 一番好きなデザイナーだったのだ。

話を CHANEL に戻そう^ ^ つまりモード界広しと言えど、 ココ・シャネルこそがアンチファッションの元祖なのだ。 なのにブランドというのは罪なもので、 デザイナーを変えてもブランドは存続し、 いつのまにか正反対のものになってしまっている部分さえあるのだ。 一人の革命児が巻き起こした旋風を100年維持するのは経営努力の 'たまもの' だろう。 だが耀司さんのデザインしないヨージヤマモトを想像してみても意味は見えてこない。

収拾のつかない話になってしまった。 。 革命児の伝記としては物足りないが、 ファッションやデザイン、 そしてビジネスについて考えている人には、 まったく時間のムダになる映画というわけではないので、 DVDになったら借りてみても損はないはず。 ココとボーイがテラスでお茶をしているときに吹く、 やたら強い風がなぜか印象に残った。 ロケの際に、 ただ偶然に吹いた突風にすぎないのかもしれないが。


ココ・アヴァン・シャネル COCO AVANT CHANEL (2009フランス) 
監督 アンヌ・フォンテーヌ  公式サイト 
オドレイ・トトゥ ブノワ・ポールヴールド アレッサンドロ・ニヴォラ
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